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彼女は悩む

テレーズ、罵声を浴びる

「うーん」


テレーズは悩んでいた。ボーモンから貰うお小遣いは孤児院の子供たちのためのスイーツパーティーの資金と、孤児院への寄付金、スラム街の更生施設の運営費用に充てているので使い道に問題はない。


領民達の中でテレーズの名前は知れ渡っていて、とんでもない悪女が来たと思ったらとんでもない聖女だったと話題である。評判が良くなったので問題はない。


助けた人たちや使用人たちからは感謝され、忠誠を誓われる。過ごしやすいし問題はない。


旦那様であるボーモンとは、恋愛感情はお互いにないものの【愛】はあると思う。お互いを尊重して、大切に思っている。問題はない。


じゃあ何に悩んでいるか。それは。


「後継、かぁ……」


ボーモンの親戚から放たれた言葉に傷ついて、真剣に考えていたのである。


この日、ボーモンは仕事で不在であった。おそらく彼はそれを知っていて突撃してきたのだろう。ボーモンの遠縁の親戚の一人が押しかけてきた。


テレーズは、突然の訪問にも笑顔で対応する。しかし、彼は開口一番にこう言った。


「どうやってあの若造を誘惑した!このあばずれめ!」


テレーズは傷ついたが、それを隠して微笑んだ。


「三年だ!三年待ってやる!三年間子無しだったらあの若造と別れろ!今度こそうちの娘と結婚させてやる!」


言いたいだけ言うと帰っていった。使用人達は困惑した表情でその背中を見つめたが、玄関のドアが閉まるとそこに向かって塩を撒いた。


「テレーズ様、大丈夫ですか!?」


「テレーズ様、庇えなくてごめんなさい……」


「テレーズ様、テレーズ様の大好きな蜂蜜たっぷりの甘ーいホットミルクをお入れしますから、少し休みましょう!」


みんなテレーズが大好きである。立場上逆らえないとはいえ、あの親戚の男には反感を抱いた。


「えっと、ありがとうございます。私は大丈夫ですので、皆さんも気にしないでくださいね。あ、今日のことはボーモン様には内緒ですよ!」


気丈に振る舞うテレーズに、使用人達は涙ぐむ。


「あと、ホットミルク楽しみです!」


全力でホットミルクを用意した。


「子供、かあ……」


テレーズとボーモンは、一緒には寝るがそういう行為はしない。そもそもお互いに今のところそういう気はない。でも。


「後継は、大事ですもんね……」


それを考えるなら、大人しくさっさと身を引くべきだ。もちろん、親戚の子供のうち優秀な男の子を貰うという手もあるが。


「いくら幸せだからって、しがみついていたらみっともないですよね。私はボーモン様に嫌われたくないです」


どんどん悪い方に思考が流れていく中で、急に後ろから抱きしめられた。


「嫌われるのが怖いなら、私から離れていこうとするな」


テレーズは気がついたら、ボーモンの腕の中だった。

ボーモンはテレーズを離す気はありません

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