彼女は婚約を聞かされる
二人の婚約の立役者
「女王陛下、急ぎのお知らせってなんですか?」
「ふふ、テレーズにとっては良い知らせです。テレーズは〝あの御二方〟の関係を応援していたでしょう」
「……!アダラール様と月詠殿下に進展が!?」
テレーズは女王陛下に呼び出された。急ぎのお知らせがあると。なんだろうと首を傾げていたテレーズだったが、女王陛下の言葉に笑顔になる。
「ええ。御二方の関係がお互いの国に認められました。御二方の婚約が内定しましたよ。そのうち公式に発表されるでしょう」
「やったー!お二人には幸せになって欲しかったんですー!」
我が事のように喜んでいるテレーズに女王陛下は微笑む。
「我が国としても、三国同盟がより深まるのはありがたいお話です。その上御二方の仲を取り持ったのはテレーズだとか。益々好ましいお話ですね。テレーズ、良くやりました」
「えへへ。お役に立ててよかったです!」
和の国の帝の末姫がベルトラン公国を治める大公の五男に嫁ぐ…それも仲を取り持ったのはコンスタン王国の女王の姪にあたる侯爵夫人というのは、同盟を結んだばかりの三国にとってとても良い知らせである。テレーズは自分で思う何倍も国の役に立っているのだが、自覚がないのが玉に瑕である。
そして数日後、アダラールと月詠の婚約が正式に発表された。発表の場はベルトラン公国の大聖堂。そこではテレーズが仲を取り持ったことも併せて伝えられる。アダラールと月詠は幸せそうに笑い、テレーズのおかげだと言う。テレーズはそんな二人の側で照れて笑っていた。魔法で映されるその映像を見守る三ヶ国の国民達は大いに湧いた。
「そうだわテレーズちゃん!貴女新婚さんなのにボーモンとハネムーンもまだなんでしょう?後で二人とも我が国に招待するから、ハネムーンだと思って楽しみなさいな」
「まあ!良い考えです!では、私の和の国にも是非ご招待させてくださいませ!」
「ありがとうございます、月詠殿下!アダラール様も!」
「うふふ。私のお友達のためですもの。当然ですわ」
「えへへ。月詠殿下にそう言っていただけて嬉しいです!」
こうしてボーモンの知らないところで新婚旅行の予定が決まり始めていた。ボーモンはテレーズ達の会話など露知らず、友人の婚約を魔法の映像越しに祝っている。それを応援したらしい自分の妻に感謝もしていた。
テレーズとボーモンの新婚旅行はどうなる!?




