彼女は和の国とベルトラン公国の架け橋にもなる
アダラールと月詠の仲
テレーズは二人の顔を交互に見つめ、はやくも二人の気持ちを察した。陰ながら応援する気満々である。
「アダラール様。こちら和の国の月詠殿下です」
「お、お初にお目にかかります。月詠と申します」
「ご、ご丁寧にありがとう。可愛い方ね」
「ま、まあ……可愛いだなんて……」
甘酸っぱい雰囲気に、テレーズもご満悦だ。
「月詠殿下。こちらはベルトラン公国のアダラール様です」
「はじめまして。よろしくね」
「こちらこそよろしくお願い致します……」
恥じらう乙女の月詠。そんな月詠にキュンとするアダラール。
「我がコンスタン王国では、最近ベルトラン公国と同盟を結びました。和の国と同盟を結ぶ調整も現在されています。同盟国であるベルトラン公国と、同盟を結ぶ予定の和の国には同盟前提で交流を深めていただきたいと考えています」
「いい考えだわ。コンスタン王国の影響で、ベルトラン公国でも和の国ブームは火がついたし。コンスタン王国だけでなくベルトラン公国までバックにつけば和の国も安泰よ。我が国と和の国が同盟を結ぶのは賛成だわ」
「それはとても良いお話ですね。外の世界と交流が持てるのは我が国にも良いことです」
「ということで、まずは私達がお友達になりましょう!そして国同士でも文化交流を積極的に行いましょう!」
ということでおそらく両思いの二人の間を取り持つテレーズ。
「アダラール様。月詠殿下のドレス姿、お似合いだと思いませんか?」
「ええ、とっても似合っているわ。最高に可愛い!」
「ま、まあ……アダラール様はお上手でいらっしゃるのね」
口ではそう言いつつも満更ではない月詠。アダラールはそんな可愛らしい反応をする月詠に益々惚れ込む。
「月詠ちゃんって呼んでも良いかしら」
「え、ええ」
〝ちゃん付け〟は初めての月詠はそれだけでときめく。
「月詠ちゃんは本当に素敵な女の子だわ。この数日間、仲良くしてくれる?」
「もちろんです!」
テレーズは若干置いてけぼりになったが、可愛らしい二人のやりとりを見て満足していた。
そして月詠とアダラールの滞在期間中、二人は順調に愛を育んでいった。大公の息子と帝の娘の仲はやがて噂となる。
その後、滞在期間が終わり二人が国に帰るとベルトラン公国と和の国の国交が樹立され、文化交流も積極的になされた。そして、コンスタン王国とベルトラン公国、和の国の三国同盟が結ばれることとなった。女王陛下もこの成果にご満悦で、テレーズは直々に褒められてますます己の価値を高めた。
あまりの甘酸っぱい雰囲気にテレーズもニヤニヤ




