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彼女は特級ポーションを買う

テレーズ、人々の病や怪我を治す

「というわけで、特級ポーションを買ってもいいですか?」


「どういうわけだ。一から説明してくれ」


またもテレーズの突然の思い付きに、ボーモンは呆れ顔である。でも、手のかかる子ほど可愛いので内心頭を撫で回したい衝動に駆られていた。


「あの、治療院に入院している人々を治したいなって思って!彼らが元気になった方が税収とかにもほら、いいんじゃないかなーって思ったんですけど……」


治療院。治癒術師でもすぐには治せない重い病気や怪我を負った人々のための施設である。実態としては、そのほとんどが末期の病気の患者や身体の一部を失った人々の最期を看取る場所となっている。


「……なるほど。たしかに働ける若い世代の患者達が元気になれば私としても助かる」


「よかった!」


「ただ、特級ポーションはどんな病気や怪我も治して健康体になる代わりにすごく高額なのは知っているだろう?」


「それはまあ」


「ビン一本分で私のあげたお小遣いは吹き飛ぶと思うが、いいのか?他に欲しいものがあるなら優先していいんだぞ」


ボーモンの言葉にテレーズは笑顔で答える。


「物を買うより、ボーモン様の役に立ちたいです!」


ボーモンはいよいよテレーズが可愛くて仕方がなくなった。テレーズの兄達がテレーズを溺愛した理由が今ならわかる。


「わかった。それなら、好きにしなさい」


「ありがとうございます!ボーモン様!」


そうしてテレーズは、次の日の朝に速攻で教会に特級ポーションを買いに行った。そして領内の治療院に行き、入院患者全員に特級ポーションビン一本分を少しずつ与えた。


「治った……本当に治ったぞ!見てくれ、足が生えた!」


「見える!目が見える!」


「奥様!ありがとうございます、心から感謝します!」


結果、彼らは病気も怪我も完璧に治り元気になった。彼らはテレーズに心から感謝した。そして侯爵家への忠誠を誓う。治療院も、部屋が空くのを待っていた患者達を新しく受け入れてあげられるとテレーズに感謝をする。テレーズはたくさんの人々の喜ぶ姿に、幸せを感じていた。


「ボーモン様、お役に立ちましたか!?」


「ものすごく役に立った。さすがは私の妻だな」


「えへへ」


ボーモンからも褒められたテレーズは、幸せの絶頂である。

テレーズ、着実に人々から愛される

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