彼女は表彰される
テレーズ、功績を称えられる
テレーズの活躍で小麦の問題が解決し、無事領内の小麦を例年通りの品質でいつもよりたくさん出荷出来たバスチアン領。
「結局小麦の流通ってどうなったんですか?」
「テレーズのおかげで問題なく回っている。小麦の高騰は抑えられたよ。ありがとう、テレーズ」
「えへへ。お役に立ててよかったです」
国内全域を見ると今年の収穫量は少ないが、その分バスチアン領が大量に収穫し出荷したことで国内の小麦の流通は安定し飢饉は免れた。
「女王陛下からお褒めの言葉もいただいて、テレーズの価値は上がる一方だな」
「えへへ。女王陛下もボーモン様も優しくて大好きです!」
テレーズは今回の功績を称えられ、王宮に招待されて貴族一同の前で表彰されお褒めの言葉を授かった。貴族にとってなによりの栄誉である。
「我が領内の農家達も、今年は特に儲かったからな。蓄えも出来て、テレーズには心から感謝していることだろう」
「照れちゃいます」
今回の件で平民達からのテレーズへの評判は急上昇。さらに愛されることとなったテレーズである。
「でも、他領の農家さん達は今年は生活費とか大丈夫でしょうか?」
「女王陛下が税制面での優遇措置などをとられて少しでも農家達の負担を軽くしようと努力なさっている。問題はない…とは言えないが、そこまで生活が困窮することにはならないだろう」
「よかったぁ」
自領の平民達だけでなく他領の農家達の心配までする、優しいテレーズの心に触れて癒されるボーモンである。
「今まで君を目の敵にしてきた他の貴族達も、ここまでテレーズが活躍すればさすがにその功績は認めざるをえない。この間のテレーズの予防医療の提案に女王陛下の身内びいきだと喚いていた連中も、さすがになにも言えなかったらしいな」
「これを機に仲良くなりたいですよね!」
「仲良くか……そうだな。テレーズにもお友達が出来た方がいいだろう」
「えへへ。今度の女王陛下のお茶会が楽しみです!」
「ああ、近々女王陛下のお茶会が開かれるそうだな。また誘われたのか」
「はい!お友達をたくさん作りたいです!」
キラキラと輝く瞳で見つめられたボーモンは、たくさんはまだ無理じゃないかと言う言葉を飲み込んだ。
「応援している」
「ありがとうございます、ボーモン様!」
そっとマルカに目配せをするボーモン。マルカは心得たと頷く。女王陛下のお茶会で、テレーズを守るという大切なお役目がマルカに課された。
「次のお茶会はどんなお茶菓子が出るでしょうか?」
「楽しみだな」
「はい!」
そんなことなど露知らず、テレーズは無邪気な笑顔を浮かべていた。
テレーズ自身はあんまり栄誉とか気にしていない




