彼女はスラム街の浮浪者達を救う
テレーズ、慰謝料を使い切る
「マルカさん。ノブレスオブリージュって、あとは何をすればいいんでしょうか?」
「ええ?この間のスイーツパーティーで十分では?」
「だってお小遣いが余ってるんですもん」
テレーズは次のお小遣いの使い道で悩んでいた。
「旦那様にご相談してみます?」
「ボーモン様ならたしかに頼りになりますね!」
ということでテレーズはボーモンに相談することにした。
「ボーモン様、そういうわけで、アドバイスください!」
「どういうわけだ」
ボーモンは夫婦の寝室でいきなりアドバイスを求められ困惑する。
「お小遣いが余ってるんです!領民達の為に何かできることはありませんか?」
「ふむ……そうだな、スラム街の治安を良くするとかか?」
「スラム街の治安?……それなら、お兄様が行なっている政策を真似しましょう!」
「君の兄君の政策?」
「はい!」
テレーズの上の兄が父に提案して実行した政策。スラム街に大きな施設を作って、スラム街に流れ着いた人々を受け入れる。そこで、施設の人々のための食べ物を確保する畑仕事や畜産をしたり、施設内の家事をこなしたり、簡単な内職などを行いつつ就職活動をして社会復帰を目指すというもの。これによりスラム街の人々はわざわざ犯罪を行わずとも生きていけるようになり、スラム街と呼ばれたそこはかなり治安が良くなったらしい。
「なるほどな。良いかもしれない」
「全部私のお小遣いで賄うので、やって良いですか?」
「私は構わない。ただ、施設の運営費などはきちんと計算して行いなさい。途中で施設を運営出来なくなれば行き場を失った人々が可哀想だろう?」
「はい!」
こうしてテレーズは、スラム街の住民達を救うための施設を建設した。そして、スラム街の住民達を受け入れる。最初はおっかなびっくりだった彼らも、何の危険もない優しい施設の在り方を知って「はやく社会復帰して領主様の奥様に恩返ししなければ!」と頑張りだした。彼らはテレーズに心から感謝して、忠誠を誓うようになる。
「慰謝料としてもらったお小遣いは使い切れたし、あとはボーモン様からもらったお小遣いをどう使うかだね!」
テレーズはそんなことなどつゆ知らず、次は何をしようかとウキウキしていた。そんなテレーズをボーモンは優しく見守っていた。
テレーズ、次はもっとすごいことをする