彼女はお母様からのプレゼントに驚愕する
まさかのプレゼント
「さて、お母様からのプレゼントはなんでしょうか」
テレーズは結局丸一日ボーモンとイチャイチャしながら過ごし、夜になった。マルカに手伝ってもらいつつプレゼントを開封して、適切な場所に保管していった。そして、最後に残ったのは母からのプレゼント。開封すると、香水のようなものが出てきた。
「香水ですか?」
「みたいですね……説明書と、お手紙も」
テレーズは説明書を見ると、顔を真っ赤にして香水を放り出した。幸いマルカが上手くキャッチしてくれる。
「テレーズ様?割れちゃいますよ、どうしました?」
「び、び……」
「び?」
「媚薬効果のある香水だって……」
「え!?」
マルカはしげしげと香水を見る。何故またそんなものが贈られてきたのか。
「お、お母様のお手紙……」
テレーズはなんとか正気を保ち手紙を読む。そこには、早く孫の顔を見せて欲しいと書いてあった。いや、わかる。わかるけどそんな露骨なプレゼントをしなくても……!
「どうしましょう、テレーズ様。今晩から使いますか?」
ブンブンと首を横にふるテレーズに、マルカは苦笑した。
「テレーズ様がそうおっしゃるなら、机の奥にでもしまいましょうか」
「うん!」
ということで媚薬入り香水は封印された。そしてテレーズの部屋からドアを一枚挟んで繋がる夫婦の寝室に入ると、ボーモンは先にベッドに腰掛けていた。
「テレーズ、今日は楽しかったか?」
「はい、とっても楽しかったです!思い出に残る誕生日でした!」
「それは良かった。プレゼントは気に入ったか?」
テレーズはそう聞かれ、思わず媚薬入り香水を思い出し赤面する。
「テレーズ?」
「その……はい。とても素敵なドレスや装飾品、靴ばかりで……ボーモン様にはやく着ているところを見てほしいくらいです」
「それは良かった」
ボーモンはテレーズを優しく抱き寄せる。
「本当に、誕生日おめでとう。テレーズ、君は私が幸せにする。ずっとそばにいてくれ」
「はい、ボーモン様」
こうして二人はベッドへ潜り込む。テレーズもボーモンも何をするでもなく、ただ抱きしめあって眠った。ただ、媚薬入り香水なんてもらったからだろうか?妙に意識してしまったテレーズは、しばらくドキドキして落ち着かない思いをした。ボーモンは珍しく寝付きの悪いテレーズの背中をぽんぽんと叩いてやり眠りを促す。やがて二人は眠った。子宝に恵まれる幸せな夢を見て、朝起きた時に『なんだ夢か』と落ち込む二人であった。
案外正夢になる日も近いかも?