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テレーズ、音楽家に指導される

テレーズ、音楽家に会う

今日は女王陛下の勧めてくれた音楽家がやってきた。


「テレーズ・バスチアンです。これからよろしくお願いします、先生」


「ラルク・ナーサリィライムと申します。テレーズ様、これからよろしくお願いします」


ナーサリィライム。童歌の名を持つこの男爵家は、代々優れた音楽家を多数輩出している。もちろん今代も爵位を継ぎ領地経営に勤しむ当主には残念ながらそんな暇はないが、爵位を継がない次男や三男、長女なんかは音楽家として有名である。ラルクは特に希代の天才と呼ばれている。ちなみに三男である。


「今日はテレーズ様のために曲を一曲ほど作って参りました。どうか、聞いてくださいますか?」


「もちろんです、先生!」


ラルクはテレーズの為にヴァイオリンで曲を演奏する。その音色は華やかで上品、しかしそれだけではなく可憐なイメージでもある。『悪の華』と噂されるテレーズに向けた曲とは思えない。それでも、その曲を気に入ったテレーズは演奏が終わると立ち上がって拍手した。


「先生、とっても素敵でした!」


「ふふ。実は女王陛下のお茶会の際、私も用があり王城に訪れていたのです。そこで偶然にもテレーズ様とすれ違い、その清楚で可憐な姿を見てインスピレーションを受けたのです!この曲を書き上げた際には是非ともテレーズ様に聞いていただきたかった……このような形で叶い幸せです」


なるほど、あの時のドレス姿を見られていたならこの曲の可憐なイメージも納得である。


「ふふ、本当に嬉しいです!」


「せっかくですから今日の授業では一緒に作詞して歌を付けて、歌ってみていただけますか?」


「もちろんです!」


こうしてラルクとの初授業は始まった。


ー…


「今日はここまでにしましょう。美しい歌詞も付けられて、美しい歌声を聞けて幸せでした」


「私も歌詞を考えるなんて初めてですごく楽しかったです!久しぶりにたくさん歌えてすごく満足です!また教えてくださいね!」


「もちろんです。テレーズ様は筋がいいですから、すぐに女王陛下にも歌声を届けられるようになりますよ」


「ふふ、楽しみです!」


テレーズは微笑む。ラルクは心の中で思う。テレーズこそが『私のミューズ』だと。


ミューズというのは、作曲家にとって多大なる影響を与えるいわばインスピレーションの塊のような存在である。作曲家の命とも言える。ラルクはもちろん恋愛感情こそないが、すでにテレーズに傾倒していた。


「ではまたレッスンを楽しみにしていますよ、テレーズ様」


「はい、先生!今日はありがとうございました!」


そんなことなど露知らず、テレーズは無邪気にラルクを見送っていた。

ラルクは特に下心はないのでご安心下さい

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