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彼女は叱られる

ボーモン、ホッとする

「テレーズ……テレーズ!よかった!」


「ボーモン様?」


ボーモンは目覚めたテレーズを抱きしめる。テレーズはいきなり抱きしめられて目を丸くする。


「あの、ボーモン様。心配かけちゃいましたか……?」


「当たり前だ!このバカ!君が血を流して倒れて、私がどんな気持ちになったか分かるか!?」


ボーモンは抱き締めていたテレーズを離して、顔を見てお説教を始める。しかしテレーズはその言葉に笑う。


「えへへ。心配してもらえるなんて、嬉しいです……」


「言ってる場合か!……もうこんな無茶はするな。心配しなくても君も領民達も私が守る」


「……でも、それじゃあボーモン様は誰が守るんですか?」


「私は守られなくても平気だ」


「平気じゃないです!ボーモン様が居なくなったら、私生きていけません!ボーモン様のそばだから幸せなんです!だから、ボーモン様が怪我するより無茶した方がマシなんです!」


ボーモンは目を見開いた。テレーズはテレーズで、覚悟の上でボーモンの為だけに力を使ったのだ。


「……弱ったな。君を説教しなければいけないのに、そんなことを言われると弱い」


ボーモンはテレーズの頭を優しく撫でる。


「とりあえず、パン粥を用意させる。少し待っていてくれ」


「……はい」


心細そうなテレーズに、もう一度そっとハグをして離れるボーモン。部屋の外で待機していた使用人にパン粥を持ってくるよう命令して、テレーズの元に戻る。なおマルカは日がな一日テレーズを看病して、疲れ切って仮眠中である。ポロはそんなマルカに寄り添っている。


「テレーズ。そこまでの覚悟があるなら、大人しく守られていろとは言わない。けれど、無理だけはするな。血を流したり気を失ったりしない程度に協力してくれるなら、こちらからもお願いしたい」


「……はい」


「その代わり、私も無理はしない。君の元に必ず無事に帰る。それでいいか?」


「絶対ですよ?約束ですからね?」


「もちろんだ。何処かの誰かさんと違って、私は加減を知っているからな」


そう言ってボーモンは微笑む。


「……むぅ」


「むぅはこちらのセリフだ、バカ。もう、心配させないように」


「はーい。あ、じゃあ、無理をしないためにも魔封じの網を毎日少しずつ作っていいですか?いっぱい作っておいて備えておけば、私の出番すらないかも」


「なるほど。君の負担にならない範囲で頼む」


「わかりました!」


そこでちょうどパン粥が届いた。ボーモンはテレーズに手ずから食べさせてやる。テレーズはその優しい味と、ボーモンの優しさにただ甘えた。

テレーズ、甘やかされる

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