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彼女は泣き顔を見られる

ボーモン、テレーズに頼み込む

今テレーズは自室のベッドの上でたばぁっと涙を滝のように流している。マルカがお勧めしてくれた恋愛小説があまりにもドストライクで、その感動的な展開に涙を抑えきれない。


「よかったねぇ……よかったねぇ……」


孤独だった少女が、世界を救うために孤軍奮闘しやがてたくさんの仲間に恵まれるお話。誰も不幸にならない、悪役すら救われる完全無欠のハッピーエンド。このラストは賛否両論らしいが、テレーズにとっては最高の大団円だ。その時、テレーズの自室のドアがノックされた。


「テレーズ、少し時間をもらっていいだろうか?」


「はい、大丈夫です!」


ボーモンの声がしたので、テレーズは急いでハンカチで涙を拭ってボーモンに返事をする。


「テレーズ、突然すまないな。実は君に頼みたいことがあって……」


ボーモンはそこまで言って止まった。テレーズの頬に泣いた跡がある。


「テレーズ、何かあったのか?」


「いえ……そのマルカからお勧めされた恋愛小説がすごく良くて、感情移入し過ぎてしまって」


ボーモンはホッと胸をなでおろす。


「そういうことならいい。だが、もし何かあったらすぐに言いなさい」


「はい、ボーモン様!ところで頼みたいことってなんですか?」


ボーモンは真剣な表情でテレーズに頼み込む。


「君の持ち前の魔力と魔力を編む技術を貸して欲しい」


「もちろんいいですよ!何をすれば良いのですか?」


当然のように受け入れるテレーズに、ボーモンは肩の荷がおりた。


「ありがとう、テレーズ。正直すごく助かる。何を頼みたいかというと、魔獣を捕獲して魔法を発動出来なくする網が欲しくてな。君の魔力の糸を編む技術でなんとかならないか?」


ボーモンの言葉にテレーズはにっこり笑う。


「もちろん出来ます!魔封じの網ならお任せください!でも、何故魔封じの網が必要なのですか?」


「最近凶悪な熊型魔獣が領内に出現して、主に平民……畑をやっている農民たちが被害に遭っている。幸い死者はいないが、怪我人は出ている。これ以上放っておけないが、捕まえても魔法でその場を撹乱され逃げられるんだ」


「なるほど、熊型魔獣を……なら、とびきり大きいのを作りますのでお時間いただけますか?」


「もちろんだ。ただ……被害が出ているので、出来れば急いで欲しい」


「わかりました!早速作ってみますね!」


ということでテレーズは魔力の糸を編み、網を作る。一週間かけて出来た丈夫で大きな網をボーモンに渡した。


「お役に立てれば幸いです!」


「ありがとう、テレーズ。これで被害の拡大を防げる。幸いこの一週間、死者も出ていないしな。本当に感謝する」


「いえいえ」


その後、熊型魔獣は無事に捕獲され国の魔獣研究所に保護された。テレーズのお手柄であった。

テレーズ、大手柄

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