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彼女は誤解が解ける

マルカとポロの心境は宇宙猫

「奥様、それはどういう意味ですか?旦那様はどう見ても奥様を溺愛されていますよね?」


「そうですよテレーズ様!あんなに愛されているのに!」


「は、はい。ですから、愛されてはいると思います。ただ、恋愛感情とは違うかなって」


マルカとポロは再び顔を見合わせる。


「その、旦那様から何か言われましたか?」


「……えーっと、女嫌いだって自己紹介が最初の頃に」


「他には?」


「特には。その次の日からもうすごく優しかったので、女嫌いって冗談だったのかなーとか思ってました。噂ってあてにならないなーって」


マルカとポロは混乱する。


「なら、何故旦那様の気持ちを恋愛感情ではないと?」


「だって、私こんなちんちくりんですし」


充分ナイスバディの美女である。


「性格も悪いし」


少なくとも嫁いできてからは最高の女主人である。


「それなのにボーモン様は、すごくかっこよくて優しくて、とっても素敵な方ですし」


優しいのはテレーズが来てからである。


「……正直言って、釣り合わないです」


しょぼんと肩を落とすテレーズ。いやいや誤解だそんなことはないとマルカとポロが否定しようとして、止まった。


「むしろ、私達はお似合いだと思うんだが」


そう言って、ボーモンがテレーズを後ろから抱きしめた。


「ボーモン様!?いつから聞いてたんですか!?」


「多分最初からだな。君がポロにルーヴルナのことを聞いていた辺りから」


「えっ!」


テレーズはボーモンを振り返る。残念ながら身体はボーモンに抱きしめられて固定されているので、首だけ動かす。


「テレーズ。私とルーヴルナの関係はポロが言った通りだ。彼女に恋愛感情はない」


「ええ……本当だったんだ……いやポロさんを疑っていたわけではないのですけど……さすがにルーヴルナ様が可哀想です……」


「私もちょっとやりすぎたと反省している」


マルカとポロはそこじゃなくて恋愛感情じゃないと思っているところを否定しろよとやきもきする。


「で、だ。私達が釣り合わない、という話だが」


「は、はい」


「私達以上にお似合いの夫婦はいないと思うぞ」


テレーズは目をパチクリする。


「そうでしょうか?」


「ああ。そうだとも。君はちんちくりんと言うが、見た目はかなりナイスバディの美女だろう?ただ、言動が幼いからちんちくりんに見えるだけだ」


一言多い。


「性格が悪いというが、少なくとも嫁いできてからは君は優しくて可愛らしい、ちょっと幼い良い子だ。昔の君は知らないが、今の君を知って悪く言う者はいないだろう」


軽く口説いている。


「それに私は、すごくかっこよくて優しくて、とっても素敵な方ではない。顔はまあともかく、並より自他共に厳しい方だし、ルーヴルナにした所業もあるしな……だから、釣り合わないのだとしたらそれは、君ではなく私の方だ」


「そんなことないです!ボーモン様は世界一の優しい人です!私が保証します!……まあ、ルーヴルナ様の件は普通に引きますけど」


「うっ……」


「でも、ちゃんと謝りましたよね?」


「ああ、生前も、墓前でも」


その言葉にテレーズはにっこりと笑う。


「謝ればなんでも許されるわけではないですが、謝れるのは大人の証拠です!偉い偉い」


テレーズは背伸びしてボーモンの頭を撫でる。


「……じゃあ、とりあえず誤解は解けたと言うことで」


「別に喧嘩していたわけではないが、一応仲直りしておくか」


「そうですね。ボーモン様、大好きです!」


「テレーズ、大好きだ」


抱きしめ合いいちゃいちゃしている二人を置いておいて、マルカとポロは戦慄していた。この二人、まさかの無自覚両片想いなのではないかと気付いてしまったのだ。


その通り。テレーズもボーモンも、自分の中の相手への恋心に全く気づいていない。相手からの好意にも気づいていない。紛うことなき無自覚両片想いである。


マルカとポロは顔を見合わせて頷く。下手に手を出すと却って拗れる。誰にも伝えずそっと見守ろうと確認し合った。

仲直り出来たけど進展はゆっくり

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― 新着の感想 ―
[一言] まぁこう言うのに口を出すと『馬に蹴られる』んですね! っていうか、無自覚でもイチャイチャできてんだからほっといてもそのうち上手くおさまるのでは?マルカとポロ、正解w
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