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彼女は心がぎゅっとなる

テレーズ、心の痛みの理由がわからない

「……ルーヴルナ」


「ボーモン様……?」


夜、ふと目が覚めたテレーズ。もう一眠りしようと思い目を閉じたが、ボーモンが女性の名前を呼んだので目を開ける。ボーモンは涙を一筋流していた。


「……幼馴染さん、でしょうか」


ボーモンは全くそんなつもりはないのだが、テレーズはボーモンの幼馴染への親愛を恋愛感情だと勘違いしている。ちくちくと胸が痛い。その胸の痛みをテレーズは理解できない。


「ボーモン様。どうしたら私、ボーモン様を慰められますか?」


自覚がない故にどんどん拗れる。ボーモンが気付かないうちに、事態は深刻になっていた。















テレーズは翌朝ポロに相談してみることにした。なんとなく、男性に聞いた方が分かるかなと考えたのだ。ポロは幼い頃からこの屋敷にいるので、ちょうど良い。


「奥様、ご相談というのは?」


「あの、ボーモン様の幼馴染さんの名前って……」


「旦那様の幼馴染ですか?ルーヴルナ様ですが……気になることでもありましたか?」


「あ、いえ。別に何も……」


「奥様?」


テレーズはそう言うと俯いてしまう。やっぱり、昨日ボーモンが泣いていたのは幼馴染のことだったらしい。


「その、込み入ったことを聞いていいですか?」


「なんなりと」


「ボーモン様は、やっぱりその方を……その」


「……あー。そういうことですか」


「?」


ポロはテレーズの誤解に気付く。これは下手を打つと拗れる。テレーズのそばに控える幼馴染、マルカに目を向けると頷かれる。クビになる覚悟を決めた。


「奥様。それは誤解です」


「……それとは?」


「旦那様はルーヴルナ様に恋心などカケラもありません」


「え」


「ルーヴルナ様は過去、旦那様にこっ酷くふられて大泣きしております」


「え!?」


予想外の展開にテレーズは目を丸くする。


「ルーヴルナ様は、ずっとずっと旦那様だけを見つめて一途に愛しておりました。しかし、旦那様は恋愛感情を向けられているのに気付いた瞬間からルーヴルナ様を遠ざけるようになりました。最後の方はルーヴルナ様も諦めて、また普通の幼馴染に戻っていましたよ」


「え……え……ボーモン様酷い……」


ボーモンの所業に軽く引くテレーズ。


「酷いでしょう?でも、旦那様はそれくらい女性嫌いなのです」


「でもでも、ボーモン様はすごく優しいです」


「ええ。それは、奥様が相手だからですよ」


「……私だから?」


「ええ。凍りきった旦那様の御心を溶かしたのは、貴女様だけなのです」


ポロの真剣な表情に、テレーズは何も言えない。


「……ですから、そんなに心配なさらないでください。旦那様が愛するのは、奥様だけです」


ポロはふわりと微笑む。これで奥様は心労から解放されるだろう。


ところが、テレーズから爆弾が落っことされた。


「いえ、ボーモン様は私を恋愛感情で愛してはいませんよ?【愛】はくれますが」


マルカとポロは、目玉が飛び出るかと思った。

マルカとポロは混乱する

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