表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/103

彼女は蜂蜜を掬う

テレーズ、無意識にやらかす。

「蜂蜜?」


「はい!とっても高かったんですが、とっても美味しいんです!」


「ふむ。そのくらいならお小遣いからではなく普通に買ってしまっていいんだが」


「自分のために買ったものですから!」


とても美味しい蜂蜜が手に入ったとご満悦で報告に来たテレーズに、ボーモンは優しく微笑む。


「よかったな、テレーズ」


「はい、ボーモン様!ありがとうございます!ボーモン様も一口味見しますか?」


「いいのか?」


「はい!」


ボーモンがそれならスプーンを用意させなければと考えている間に、テレーズが自分の指で蜂蜜を掬う。


「どうぞ!」


「……ありがとう」


ボーモンは一瞬迷ったが、蜂蜜が垂れる前にテレーズの指ごと舐めとった。テレーズはくすぐったいのか少し笑う。一方でボーモンは、なんだか悪いことをしている気になって気が気ではない。使用人たちもその光景に、ある者は赤面して目を瞑り、ある者はそのラブラブっぷりに頬が緩むのを隠せない。


「……どうした?」


「ボーモン様はしてくれないんですか?」


期待した目を向けてくるテレーズに、ボーモンはまたも一瞬だけ迷ってすぐに指で蜂蜜を掬う。


「ほら、あーん」


「あーん」


テレーズは至って無邪気に蜂蜜を舐めとる。ボーモンとの戯れ合いが楽しいらしい。一方でボーモンは、ちろちろと動く赤い舌や指を這う動きにどうしてくれようかと考え、蜂蜜に満足したテレーズが離れるとその頬をむにょんと引っ張った。


「むー。ボーモン様?」


「むーはこちらのセリフだ。他の男にはやるなよ」


テレーズは理解していないなりに頷く。


「私が蜂蜜を分け合いたいのなんてボーモン様だけですもん」


「それは良かった」


ボーモンはハナからテレーズが理解するとは思っていないので、その返事で満足した。


「あと、これからはちゃんとスプーンを使いなさい。はしたないぞ」


「あ、ごめんなさい!つい、早く味見してほしくて……」


怒られた子犬のようにしゅんとするテレーズに、ボーモンは困ったように笑う。


「怒ってはいない。美味しい蜂蜜を分けてくれてありがとう」


「……!はい!」


パッと笑顔になるテレーズに単純だなぁと思うボーモンも、テレーズに関することには大分甘くなっていることに気付いていない。ボーモンもある意味単純になってきている。そんな二人に使用人たちは今日も癒されていた。

ボーモンもテレーズには甘々。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 使用人たちもその光景に、ある者は赤面して目を瞑り、ある者はそのラブラブっぷりににやける頬を隠せない。 【若気る】(にやける) 男性が女性のようになよなよして色っぽい様子 鎌倉・室町…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ