彼女は夫の悪戯に笑う
ボーモンがドキドキするお話です!
今日は、珍しくテレーズが起きる前に目が覚めたボーモン。
「よく寝てるな」
テレーズの寝顔をなんとなく眺める。
「……普段の言動も幼いが、寝顔も幼いな。整った顔立ちのはずなんだが、まだまだ子供だな。まあ、五歳も年下ならそんなものか」
年下の妻はいつも可愛い。いつも可愛いが、寝顔もすごく可愛い。もっと早く見ておけばよかったと少し悔しく思うボーモン。
「……ふむ」
「えへへ……」
寝ながらニヤニヤするテレーズに、なんの夢を見てるんだかと微笑むボーモン。
「ボーモン様……」
にやけ顔で名前を呼ばれると、なんとなく落ち着かない気持ちになった。これはどうしたことか。ボーモンはその胸のざわめきに心当たりがまったくない。ただ、嫌な気持ちとは違うのはわかった。
「……えい」
「ふぎゅっ」
なんとなく、ボーモンはテレーズの鼻をつまむ。小さな悪戯にも反応はするが起きないテレーズに軽く笑う。胸のざわめきは落ち着いた。
「……そろそろ起きる時間だしな、いいか」
ボーモンはそのままテレーズを起こしにかかることにした。テレーズの身体をこちょこちょとくすぐる。その悪戯にテレーズはさすがに起きた。
「ふ、ふふ、あははは!え、ボーモン様?あははは!」
「起きたか、テレー……ズ……」
予想外だった。
はだけた寝巻き、起き抜けでくすぐられ染められた頬、こちらを見つめる涙目の瞳。ちょっと、朝には刺激が強かった。
「……す、すまない。よく寝ていたから、つい悪戯してしまった」
「もう、ボーモン様ったら!」
そんなボーモンの内心には気付かずいつも通りのテレーズにボーモンはホッとする。さっきのドキドキは、刺激が強すぎただけだと言い訳していつも通りテレーズの頭を優しく撫でる。
「おはよう、テレーズ」
「おはようございます、ボーモン様!」
今日もいつも通りの朝がやってくる。一体二人はいつになったら進展するのだろうか。
一歩ずつ進んではいるんです、ゆっくりと。