彼女はプレゼントを貰う
テレーズ、贈り物に喜ぶ。
「テレーズ、ちょっとこっちに来てみろ」
「はい、ボーモン様!」
テレーズはボーモンに手招きをされ、素直に近寄る。
「この間贈ったネックレスを毎日つけていてくれて嬉しい」
「首輪だと思ってつけてます!」
「そんな首輪に便利機能をつけようと思う」
ボーモンはテレーズの首にかけているネックレスを一度外し、二つほど追加で宝石を通した。デザインにも拘ったのか、違和感はない。
「これ、魔石ですか?」
「そうだ」
魔石とは宝石に魔力を込めた守り石である。
「こっちの宝石は君がどこにいるか私にわかるようになっていて、こっちの宝石は君の身の安全を確保出来ない状況になった場合すぐに私に連絡が来るようになっている」
「ほえー便利」
感心しているテレーズに、再びボーモンは首輪…ではなく、ネックレスをかける。
「でもなんで私に?」
「……お茶会の件で君がいかに嫌われているかわかったから、念のためだ」
「ええ?皆様とは仲良く出来ましたよ?」
「残念ながらそう思っているのは君だけだ」
「えー」
納得がいかない様子で首をかしげるテレーズに呆れ果てつつも乱暴に頭を撫でるボーモン。テレーズはなすがままである。
「でも、ボーモン様からのプレゼントは嬉しいです!ありがとうございます!」
「こんなもので良ければいくらでも贈るが」
「だめだめ!有り難みが減っちゃいますよー!」
そんなことを言いながら大切そうに首にかかったネックレスを触るテレーズ。喜ばせるためではなく身の安全のために贈ったものだが、そんなに喜ばれると嬉しいものである。
「そういえばボーモン様」
「なんだ?」
「お兄様……上のお兄様が私に会いに来たいそうなんですが、よろしいですか?」
ボーモンは思わず目を見開いた。
「上のお兄様というと、フェリクス殿か?何故?お忙しい方だと伺っているが」
フェリクス・アルビオン。アルビオン公爵家の跡取りであり、現在は女王陛下の直属の部下として国をも動かす人物である。しかし彼には問題があった。
「私成分が足りないそうです」
「……は?」
重度のシスコンなのである。
テレーズのお兄様はどんな人でしょうか。