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彼女は風邪をひく

糖度8。甘やかすボーモン。

「うー……」


「大丈夫か?テレーズ」


「大丈夫ですぅ……」


「大丈夫そうには見えないな……」


この日、彼女は風邪をひいていた。秋から冬へ切り替わる時期の寒暖差にやられたのである。


「とりあえず、パンがゆを作らせているから今日はそれを食べなさい」


「それはそれで美味しそう……」


「はやく元気になればお祝いにハンバーグが出るぞ」


「はやく治しますぅ……!」


ずびずびとティッシュを消費して鼻をかむテレーズに、鼻が痛くなるだろうと優しい手つきで乾燥防止のクリームを塗ってやるボーモン。今日必要な仕事はこなした。あとの時間はテレーズの看病に当てられる。


「テレーズ様ー!パンがゆ出来ましたよー」


マルカがシリルの作ったパンがゆを運んでくる。テレーズはそれを見て途端に笑顔になる。


「やっぱり美味しそう!」


「まあ食べやすいことに間違いはないが」


「ですよね!」


「……君が良いならいいか。ほら、あーん」


「あーん」


ボーモンは当たり前のようにテレーズを甘やかす。テレーズも当たり前のようにそれを受け入れる。マルカはそんな二人の様子にご満悦である。屋敷の当主と奥様が仲睦まじいのは、心から嬉しいものである。


「でも本当にはやく治しますね!ボーモン様のお時間を奪ってるようで申し訳ないです」


「何を言うんだ。伴侶の体調を気遣うのは当然だろう。君だって以前、私のために魔力の糸を編んでお守りをくれたじゃないか。今もほら、私をこうして守ってくれている」


「お役に立てて何よりです!」


無自覚にお互いにデレデレな二人。マルカははやく他の使用人たちに報告したくて仕方がない。ボーモンとテレーズのらぶらぶっぷりを見かけたら、お互いに報告し合うのが最近の使用人たちの流行りである。この間なんて、ボーモンが愛おしそうにテレーズが作ったお守りを撫でていたことなども報告に上がっていた。プライバシーの侵害ではなかろうか。


「ボーモン様、ありがとうございます。大好きです!」


「私も君が大好きだ。だから、はやく治してしまいなさい」


「はーい!」


これでお互いに無自覚なのだからある意味すごい。お互いに恋愛感情はないと思い込んでいる。思い込みとは怖いものである。

お互いに今の距離感に何の疑問もないのがすごい。

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