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恐怖!! 早めの予防接種!!

作者: HasumiChouji

「すいません、総理、あの伝染病のワクチンを打たれた、と言われても……どこ製のワクチンをいつ打たれたのですか?」

「……」

「あの……他にお心あたりが有る方は?」

「……」

「……」

「……」

「……」

「全官公庁のあらゆる文書を確認しても、皆様が打たれた『ワクチン』が何だったのか、一切、記録が残ってなかったのですが……」

「……」

「まさか、皆様が打った『ワクチン』に関する記録を全て破棄させたなんて事は?」

「……」

「そもそも、皆様が打ったのは本当に『ワクチン』なんですか?」

「……」

「わかりました。会議は一時休憩して、昼食にしましょう。御希望通り、屠畜場から直送された新鮮な最高級の生の骨付き肉と内臓と脳味噌を用意しました」

「がるっ♥」

「ぎゃおっ♥」

「ふぎゃっ♥」

「あと、どうやら、皆様と同じ『ワクチン』を打ったらしい某政令指定都市の市長が、マスコミが居る前で同席した人に噛み付きかけたので、皆様も気を付け……おい、騒がずに、少しは人の言ってる事を聞け、この躾のなってねぇ、クソ爺ィどもッ‼」

 ある伝染病の世界的流行の中、さる国の閣僚と与党幹部達は、いち早く秘かに試作型と思われる「ワクチン」の接種を済ませ……そして、ゾンビ化と引き換えに、ほぼあらゆるウイルス性の感染症に対する耐性を獲得した。

 ただ、それから約半年で脳の劣化が進行し……記者会見や国会答弁は条件反射で何とかなっているものの、まともな思考能力は失なわれつつあった。

 だが、その「ワクチン」についての記録と記憶は既に失なわれており、「ワクチン」の正体は不明である。

 つまり、「ワクチン」の副反応(もしくは主反応)であるゾンビ化への対処方法が判明する見込みは、ほぼ、無い。

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