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冒険の世界へ

 「課長、オーン!」

 

 格闘家はスイッチを入れしまう。


 すると、モニターの文字が浮かび始める。


 『この物語は、五人の勇者が世界を救う物語』


 「おっ、始まったな!」


 「ありゃ?このゲーム機、確かに古いものだが、ホーム画面が一応あったような…?」

 博士が自身の記憶と現在の状況が合わず、混乱している。


 「ん?どうしたんだ、博士」


 格闘家が後ろの位置にいる博士の方を振り向いた瞬間、モニターから声が。


 『ようやく、ようやく来てくれたんだね、私の……この世界の勇者たち!』


 次の瞬間、部屋がガタガタと揺れだし、近くにあった棚の本が落ち始める。


 「うおっ!地震か!」


 「きゃあ!」


 「お前ら!」

 さすが博士だ、こんな状況でもうろたえず、冷静にしている。


 「こういう激しい地震の際はな!」


 と言おうとした瞬間、辺りに光が広がっていく。


 「な、なんだ!?」


 やいちは自分の部屋がどんどん光に浸食されていくのを驚く。


 光が広がる中心地はモニターのようだ。


 『じゃあ皆、おいで!私の世界に!』


 そのセリフと同時に、今度は四人に光が浸食され始める。


 「おおおおおおぉぉぉ…」


 格闘家は体全身が光に包まれた瞬間、どこかへと消えていく。 


 「かくとぉかーーーー!」


 叫ぶが、返事は無い。


 「うぉ、おお!」


 今度は博士が。


 「ゲーマー君!」


 姫に手を伸ばすが、間に合わず、彼女も消えてしまう。


 「くそっ!どうなってるんだ!?」


 やいちもまた、意識が、とお、のいて…………。




 「おい!人が、な、中に人が!」


 うるさいな、一体何が…。


 「早く引っ張り出せ!あ、あつっ!」


 「き、気をつけろ!慎重に引っ張り出すんだ!」


 だからうるさいな。一体何なんだ。体が熱くてだるいし、目も開かない。さっき…まで、俺、なにをして…。くそ、また意識が…。



 「状態はどうだ?」


 「驚くほど安定しています。もしかしてこの人は……」


 なんだ?聞いたこともない声だな。安定?ここは病院か何かか?俺は……。やっぱり思い出せない。くそっ、眩しい!


 「せ、先生!目を開けました!」


 「君、大丈夫か!?」


 「だぃ、じょぉ…」


 声が出ない。というか、喉に全く水分がなく、カラカラだ。


 「みぃ……ずぅ」


 「水か?水が欲しいんだな!すぐに持ってこよう!」

 うっ、また意識が…………。



 それから、やいちは何時間寝ていただろうか。


 その間、彼は夢を見ていた。


 懐かしい夢だ。


 小学生の頃、公園で遊んでいる夢だ。


 博士と俺は…携帯ゲーム機を持って遊んでいる。格闘家はサッカーボールを持ってドッジボール

をしようと言っている。俺は別にやってもよかったが、運動能力の無い博士は嫌がっている。姫はサッカーボールでやるドッジボールは斬新だね、といって笑っている。


 そしてもう一人…。


 (ん?もう一人?)


 やいちはもう一人の、あの子を見る。


 あれは一体……


 誰だ……?



 「はっ!」


 夢の世界から一気に現実世界へと戻ってくる。


 そこは見たことのない部屋。病室……のようだが、自分が思っていたようなものではない。なん

というか、天井や壁、窓を見ると中世ヨーロッパのような造りの建物だというのが理解出来る。


 なぜ病室と思ったのか。それはこの部屋にいくつものベッドがあり、その上で包帯を巻かれた者

が寝ているためだ。


 「ここは……何処だ?」


 窓から外の風景を見る。


 ここは二階の建物のようで、地面からの距離が遠い。


 住宅が並んでいるが、やはりリアルで見たことの無かった、写真でしか見ないようなヨーロッパのような建物に、道はコンクリートではなく、土である。


 「ふぅむ。俺はここに来る前、何をしていたのか?まずそれを冷静に思い出し、整理するか……」


 やいちはすぐには思い出さなかったが、数十秒後、自分が懐かしいゲーム機を懐かしい友と一緒にやろうとしていたこと。謎の光に包まれたこと。それらを思い出す。


 「どう考えてもあの光が原因だろうな……それにしてもあいつらはここにいないのか」


 ベッドから起き、患者の顔を確認して歩き回る。顔立ち、髪の毛の色、肌の色、それらから彼らが日本人ではないことがわかるし、幼馴染の顔なんて一発でわかる。


 こうして歩いていると、ガチャリ。と近くのドアが開く。


 「あ、起きていたんですね!」


 コスプレのような恰好ではないが、メイドのような者だというのは分かる。いや、病院だからナース的な者だろうか。


 「すぐに先生を呼んでくるので待ってください!」


 そういって慌てて再びこの部屋を出ていき、「先生!例の人が起きました!」と大声で叫んでい

る。


 そして、数秒後、バタバタと足音からして三人、四人ぐらいだろうか。こちらの部屋にやってきているのがわかる。


 「おおっ!起きたか!」


 そこにはさきほどのナースと、白衣を着た医師のような男に、もう一人白衣を着た男。こっちのほうは医師というよりは博士的な、研究者のような感じがする。


 そして最後、彼女は鎧のような物を着ており、腰には剣がある。騎士のような役職の方だと分かる。


 「ちょうど噂をしていれば起きましたな」


 研究者の方は興味深そうにこちらをまじまじと見ている。


 「おいっ!興味が沸くのは仕方ないが、だからと言ってそんなに見るのは失礼じゃないのか!?一応私の患者だぞ!」


 そう研究者の方へ怒鳴り、今度はやいちへ語り掛ける。


 「すまないね、起きたばっかりの君に…」


 「まぁ、……はい。とりあえず、良いですか?」


 「なんだね」


 「ここはどこで?君たちは何者で?俺は何故ここにいるのか?説明出来ますか?」

 そういうと、医師はやいちが知りたい情報を言い始める。

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