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再結成 3


 三人はコンビニへたどり着き、再び冷気が籠った場所へと入っていく。


 「ふぅ~、やはりクーラーの効いた部屋は良いのぉ!」


 そういいながら、真っ先に博士はアイス売り場へと向かっていく。


 「博士はアイスを見に行ったか、じゃあ俺は適当にポテチとか、チョコとお菓子を見ておくから、ゲーマーはエナドリとか、コーラとか買っておいてくれ!」


 「ラジャ~」


 そういいながら、コンビニの奥にある飲み物がある棚へと向かう。


 (モンスターを……五本ぐらい買っておくか。あとは博士の好きなコーラに……)


 カゴにどさどさと飲み物を入れていく。


 ガチャリ。


 すぐ近くにあったトイレのドアが開き、人が出てくる。


 (おっ!きれいな人だな…って!)


 「お、お前は!」


 やいちの声にびっくりしたような女の人が反応し、目線が合う。それと同時に女も気づく。


 「き、君はゲーマー君!」


 「姫じゃないか!」


 二人の声が聞こえてきたのか、格闘家と博士もこちらにやってきて、驚く。


 「「ひ、姫!」」


 「博士ちゃんに!格闘家君!」


 「「「「久しぶりだな!」」」」


 四人の声が重なる。


 「と、とりあえず店の中だし、買い物済ませて、外で話そうぜ!」


 格闘家の興奮した声に、三人は頷き、とりあえず買い物を素早く終わらせ、やいちの家へ歩きながら、会話をする。


 買った物は体力と力を一番持っているであろう格闘家にすべて持たせている。


 「いや~、まさか、三人にコンビニで会うなんて、久しぶりだね!」


 「そうだなぁ!四人全員がそろうのはいつぶりだぁ?」


 「そうだなぁ、私の記憶が正しければ、高校が始まる前の春休みまでは会っていたから、三年四か月二十三日ぶりという所だろうな」

 

「なんで覚えてるんだよっ!?」


 やいちは博士の天才っぷりに久しぶりに驚かされる。



 「これぐらい覚えてて当然だろ?」

 

くいっ!と眼鏡を直しながら、どや顔になる。

 

 「ふふふっ!こんな会話も……懐かしいね!」

 

 姫は嬉しそうに笑う。三人も確かにそうだな!とつられて笑い始める。

 

 「そうだ!姫、俺たち三人、今からやいちの家で深夜ぶっ通しで遊ぶことになってんだ!今から姫も来ないか?」


 格闘家は姫にそう言う。


 「そうなんだ、でもやいち君の親とか……」


 「大丈夫、親は数日いないんだ」


 「そっか、じゃあ遊んじゃおっかな!」


 「よっしゃー!もっとテンション上がってきたーー!行くぞぉ、お前らぁーー!」


 そう言いながら、レジ袋を回して走っていく。


 「馬鹿者ー!私の、私のコーラの炭酸がー!」


 そう言いながら、博士は格闘家の後ろを追っていく。


 「ふふっ、こういう会話も、懐かしいね。ゲーマー君」


 「そうだな、姫」


 二人も、博士と格闘家のあとを追っていく。




 「お邪魔します」


 「お邪魔するぞ」


 「邪魔するぜぇ!」


 三人はバタバタとやいちの家に上がり、とりあえず飲み物とアイスは冷やしなおすため冷蔵庫へ、お菓子はやいちの部屋へと持っていく。


 こうして四人は目的の場所へとたどり着く。


 「っしゃー!とりま何やる?TRPGか?トランプか?一緒にスマホゲーでもやるか?」


 格闘家はそう言いながら、やいちの部屋を漁る。


 「おいおい、俺の部屋だぞ!……全く、勝手に漁りやがって」


 「くそっ!エロ本は無しか」


 そう呟きながら、ベッドの下を探っている。


 「持つわけないだろ」


 「ははは…」


 姫はそんなくだらない会話だなぁ、と思いながら変わらないやいちの部屋を見渡す。


 博士はさっそくポテチの袋を開け、口へと放り込んでいる。


 「ん?これは…」


 格闘家はベッドの下で何かを見つけたのか、何かを掴んで持ってくる。


 「これは…また懐かしいな」


 その手にあったのは、小学生の頃、彼らが楽しく、自由に遊べていたあの時期に。流行っていたゲームのカセットに、それが遊べるゲーム機であった。


 「ほぉ!また懐かしいものを引っ張り出しおったな!」


 「わぁ、久しぶりに見たー!」


 姫と博士は格闘家の持っている物を前のめりになり、格闘家の背中に寄りかかりながらのぞき込む。


 「むむむっ、さすがに重い……」


 やいちは姫の胸が背中に当たってるなー、と思いながら、男女とは言え幼馴染だし、自分だって胸が当たったところで何も思わないだろうーな、と思ってその三人の様子を見る。


 「じゃあ、久しぶりにこれをするか!」


 パーティ系のゲームではないのだが、昔は死んだら交代、死んだら交代とやって遊んでいたのを思い出す。



 「そうだな!」


 「良いと思うよ!」


 「じゃあ準備をするわ」


 そう言いながら、パソコンのモニターにつながっているケーブルを全て一旦引っこ抜き、四人全員が画面の見えやすいだろう位置に設置し、ゲーム機や、コンセントにケーブルを繋ぎなおす。


 「よし!準備オッケーだ!」


 と言いながら、モニターの電源を入れる。


 その時、やいちは何かを感じる。懐かしいような、優しいというのか、なんというのか。


 それらは、やすらぎを与えると同時に、脳内で危険信号を送っていた。


 「じゃあカセットを入れて、ゲーム機本体の電源を…っと」


 格闘家がスイッチを入れようとしている。


 「お、おい!ちょっと……」


 やいちはそれを止めさせようとする。

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