神座闘争 11
その頃、やいち達は……。
「はぁ、はぁ!おい、どういうことだ、ブライハ!?お前、ワールド・ルーラーの一員だったのか!?」
上手くワールド・ルーラーを名乗る影から逃げ切り、魔樹が生え、多少吹雪を避けられる地帯へと再び戻ってくることに成功していたが……既にやいちの中で目の前の男は信用できなくなりかけていた。
「違う、確かに、少し情報を与えたりしてやっていたが、奴らの計画の手伝いそのものをしたことは一切無い、そう断言しよう」
「本当かしら?アンタ、神にかなりの恨みがあるわよね。エルドラによって国も、戦友も殺されたんだから……」
スピネルはそう言いながら、担いでいた博士と格闘家を雪の上に降ろす。
「そうだ、だからワールド・ルーラーにある情報を流したし、ある程度奴らの行動も理解できる。だが、やり方は間違っていると私も思っている」
「だから!!何なんだよ、神って!ワールド・ルーラーの目的って何だ!!魔王残党軍は一体何者なんだよ!?おい、スピネル、知ってるなら話せよ!ブライハはもう良い!アンタは信用できない。でも、スピネル、お前俺たちの仲間だろ、俺と契約した仲だろ!?なんで、何も話さないんだよ!!」
やいちは叫ぶ。スピネルとブライハの言い合いを遮り、自分の仲に溜まったものを全て吐き出す。怒り、哀しみ、嫌悪、全てを口から出す。
「俺は何も知らずに、ただこの世界に飛ばされた異世界人だ。博士も、格闘家も同じだ。この世界の常識さえも知らないんだぞ。さらに言えば、ワールド・ルーラーも、魔王残党軍も、この世界においては常識の外にいる連中。裏社会とか、そんな所の蔓延る闇だ。そんな奴らの事を知っているわけがないし、スピネルも同様に知らないと思っていた。でも、ブライハとの会話を聞いたり、少し一緒に居て分かった、お前。何か知っているんだろ!?なんで話してくれないんだよ、こんなに命を狙われて、知らないうちに計画の中の一つの歯車にされていたり……もう俺には分からん!!」
やいちは座り込む。もう疲れたと言わんばかりに。
「俺はただ……みんなと元の世界に戻りたいだけなんだ。博士も、格闘家も同じ気持ちなんだ…。なのに、どうしてこうなるんだよぉ!!」
この叫びのせいなのか、分からないが、博士と格闘家の意識が戻ってくる。
「う、うん…なんだ……どうなったんだ?」
「くそ、頭が痛ぇ。何が起こったんだ!?」
ブライハとスピネルが哀しく困ったような顔をして、やいちを見ている。やいち自身は、顔を真っ赤にさせ、自分の本心をさらけ出しているではないか。
「おい、ゲーマー。どうしたんだ、そんなに怒って……。しかも、さきほどの雪原だったのに、また魔樹林に戻ってきているじゃないか」
「確かに、そう言えばそうだ。博士と俺は意識を失っていたみたいだし、失う前の記憶がはっきりしねぇ。どういうことだ?」
やいちは、はぁ、はぁ、と息を切らしながらも、冷静さを取り戻すために一度深呼吸をし、熱くなった顔を冷やすために、雪を両手ですくい、豪快に頬に充てる。
「くそぉ!なんで上手くいかない!!」
そうして気持ちを整理している最中、ブライハの口が重く開く。
「なら、話そうではないか。この世界の真実を……しかし、我々も全てを知っているわけではない。神の正体も完全に分かっておるわけではない。それでも……気になるのであれば語ろう」




