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転生したら楽をしたい ~召喚術師マリーの英雄伝~  作者: 風来坊 章
最終章 召喚術師マリーの英雄伝
268/311

第263話 ラストサムライ 後編

 一方、早朝6時を迎えたルーシーランド連邦では、平等党臨時閣議が開催され、電磁波の影響で観測できなかったジッポンにおける戦いの一端が判明したことで、書記長イヴァンは頭を悩ませる。


「軍事部委員長が一人、同志トハチェフスキー。偵察気球が捉えたこの画像、間違い無いのかね?」


「はい同志書記長。幕府軍が得体の知れない機動兵器により壊滅させられ、地上戦も行われた時の映像がこちらです」


 魔人カイザーの戦いと、たった一人で幕府軍精鋭と激闘を繰り広げたイワネツの映像だった。


ーーこれが同志カムイの父、伝説の勇者イワネツか。我が赤軍や復讐爆弾を持ってしても、勝利には困難を予想される世界最強ジッポン幕府軍を、たった一人で壊滅させた……のか?


 イヴァンは、勇者伝説など誇張された御伽話のように思っていたが、戦略兵器以上の戦闘力を目の当たりにして、慎重に対処する必要があると判断する。


ーーなんなんだこの馬鹿げた戦闘力。ヒンダス帝国の帝都を襲撃した件もそうだが、人間じゃない。対抗するにはエルゾの同胞達の力と復讐爆弾しか、勝利が見出せないではないか。歩く戦略兵器のような男だ。


 イヴァンはナーロッパヒスパニア産の葉巻を吸って、過呼吸になりそうな気持ちを落ち着け、煙を吹き出す。


「ふう、世界に現れた最大の脅威、ヴァルキリー含めこの勇者イワネツをどうすべきか? ジッポンの情勢不安定化を狙い暗殺可能か、同志諸君の意見を述べよ」


 イヴァンの投げかけに議場は静まり返り、苛立つイヴァンの貧乏ゆすりの擦れた音だけが室内に響く。


「……同志モロトフどう思う?」


 沈黙に耐えられず、委員の一人がイワネツを暗殺可能か政治局員に質問する。


「はいミコヤスキー委員。ヴァルキリーはさておき、かのジッポンは鎖国中ですし、エルゾと人的交流もない現状。工作員を送り込んで始末するのは厳しいかと。同志書記長、ミコヤスキー委員」


 イヴァンは委員の面々を眺め、葉巻を燻らせる。


ーーどいつもこいつも、クソが頭に詰まったようなうすら馬鹿共め。年老いたロバのようなアホ面を並べおってアホ共め。建設的な意見など何もない。ここは軍に意見を求めるか。


「エルゾに不時着した、我が祖国赤軍精鋭達の状況はどうか? 同志トハチェフスキー」

 

「はい書記長。我が空軍と精鋭部隊は、エルゾ王国の協力で装備と機器のチェックを終えましたが、いかがいたしましょう? ジッポンに予定通り侵攻いたしますか?」


ーーこいつも馬鹿みたいなことを言いやがって。ヴィクトリーとチーノの連合軍やジッポン幕府軍を叩き潰したあんな化物に、今更我が軍を送り込んでも駆逐されるのがオチだろうが。やはり私が敬愛する同志カムイだけが頼りか。


「……そうか。だがまずは同志カムイに協力を仰ぎ、我が軍も万全にしてから挑まなければ、勝利は難しいかもしれん」


「同志書記長に賛成!」


「私も賛同します」


ーー私に賛同する時だけ声がでかい無能共め。しかし同志カムイの実父ならば交渉の余地は少なからずあるかもしれんな。復讐爆弾も切り札になるはず。問題は、キエーヴと西ライヒの戦線か。


「それで同志諸君に意見を求めたいのだが、西ライヒ及びキエーヴとも戦争中のことを加味して今後の方針としては……」


「失礼ながら同志イヴァン書記長、現在キエーヴ戦線では膠着状態に陥っているようです。しかも外交部がサボタージュをしているのか、キエーヴとライヒ帝国の情報が遮断されています」


「書記長命令で、内務省イリヤ同志が外交部の指揮を執っておりますが、軍事委員にも必要な情報が入ってこなくて……」


 イヴァンは葉巻を咥えながら、怒りに任せて机を両手で叩くと、閣僚はビクリと恐怖で肩を震わした。


ーー外交委員会のクソ共!!! アホのドミトリーを排除しても改善すらせん無能なタダ飯食らいのクソ共め!! このル連はクソの集まりだクソが!! 書記のイリヤめも何をしておるか!


 冷徹な独裁者の仮面を被ってるが、このイヴァンは激情家であることを閣僚達は重々に承知している。


 そもそもこのルーシーランド連邦自体が、モスコー大公国における貴族間の主導権争いを、有力貴族のモスコー家イヴァンが平等革命の名を借りて、有力貴族達をブルジョワであると粛清して作り上げた絶対王政に他ならない。


 平等党書記長という名の暴君により版図を広げ、汎ルーシー主義を掲げ、ルーシー人達を虐げた世界に復讐することがイヴァンとルーシー連邦の目的なのだ。


「再教育はドミトリーだけではないようだな。よろしい、外交部委員長を臨時に代役させた同志イリヤもろとも、東部シベリに送ってしまうか考えねばなるまいか」


 すると電報文を抱えながら、丸眼鏡をかけた第一書記ラヴリェーンチイ・イリヤが血相を変えて議場に入ってくる。


「何だ内務省イリヤ書記? 君には今は亡き同志ドミトリー外務委員の代役として、ナーロッパにおける渉外担当を命じていたはずだが?」


「ど、同志書記長!! 不測の事態です! 絶対王政を宣言したヴィクトリー王国で、またも政変!! さらには我が連邦と交戦中の東西ライヒが併合され、ロレーヌ皇国が復活。皇国はヴィクトリーと同盟を締結しました!!」


「なんだと!?」


 話が違う。


 ル連の独裁者イヴァンは、イリヤの報告に狼狽した。


 ヴィクトリーはル連、いや全てのルーシー人を統べるキエーヴ影の女王、メアリーが掌握したのではないのかと。


 しかも東西ライヒが統一して、ロレーヌ皇国が復活。


 ヴィクトリー王国と同盟を結ぶなど、メアリーから聞いていたシナリオとは大きく逸脱していた。


「それ以上にまずいことが。お耳を」


 さらにイリヤはイヴァンに歩み寄ると長く尖った耳元に、国家を揺るがす重大な懸念事項を報告した。


「な!? 貴様なぜそれを今まで私に黙っていた!!」


「いえ書記長、今は亡き外交部ドミトリーの部下達が、党に無断で交渉窓口を開設しようとしていた事実が判明しまして……いかがしましょう?」


 連邦総書記長にして、財団の非公認幹部、マルクスがヴィクトリーで誘拐された件を、イヴァンは初めて知る。


 また身柄を引き渡して欲しければ、連邦に交渉の窓口を設けよと世界最強の傭兵集団レッドベレーから恫喝されている状況も初めて耳にする。


 連邦外交部委員会が、イヴァンからの粛清を恐れて今まで報告してこなかった、連邦を揺るがすような大事件である。


「〜〜〜〜〜ッ!! 無能共を総括せよ!!」


「はい同志書記長、内務人民委員部が外交部主要メンバーを拘束中です。例の総委員長の件、このイリヤにおまかせを」


 書記のイリヤは、自身の内務省に命じて外交部の粛清をイヴァンに命じられる前に始めていた。


 具体的には外務委員会のメンバーを、政府内で恐怖のノッカーとも呼ばれる、内務省秘密警察の恐怖の深夜訪問で、すでに委員の大半を逮捕拘束している。


 こうした粛清はルーシー連邦でありふれた日常と化しており、誰もが絶対権力者のイヴァン・モスコー・ルーシーを恐怖し、イリヤのような小物役人が幅をきかせていたのがルーシー連邦の実情である。


 またこのイリヤは、内務省の秘密警察を利用して、暇があれば部下と共にモスコー市内内にいる好みな少女を捕えて強姦・性的暴行をし、自分の命令に従わない者は殺害をしていた卑劣な性犯罪者でもある。


「いいだろう、失敗すれば貴様もシベリに行って、再教育を受けてもらう」


 イヴァンがイリヤに命じたその時だった。


 血相を抱えて別の官僚が議場のドアを開く。


「ど、同志書記長! 国営放送をご覧ください!! いましがたジッポンから臨時の動画配信が!!」


「……議場に映し出せ」


ーー嫌な予感がする。胃が痛い、動悸がして、ジッポンから何が配信されるのだ。


 イヴァンは不安を押し殺しながら、鎖国していたはずのジッポンから、全世界に向けて緊急の動画配信を見つめ、ルーシーランド連邦の閣僚達も一斉に映像へ注目する。


 映し出されていたのは、肘掛けがついた皮の三段シートに深々と腰掛け、頬杖をつく真紅の特攻服を羽織る勇者イワネツ。


「よう、俺が誰だかはお前らも知ってるだろ? 勇者イワネツだ。全世界にいる人民共、よく聞け」


ーーなんて威圧感だ。あの目、人間の目付きじゃない。まるで獲物を求める人喰い熊だ。我々とは一線を画する化物の目をして……怖い男だ。


 イワネツの極黒の瞳に、本能的にイヴァンが恐怖し、葉巻を連続でふかして過呼吸状態に陥る。


「まずジッポンに攻め込んで来たヴィクトリーについては、俺の仲間の口添えもあったから、賠償金の支払いにとどめてやる。それと、チーノ人民共和国! ルーシーランド連邦!! それと連邦に協力してるエルゾ王国!!」


 我が国が名指しされていると、イヴァン含めたル連邦の閣僚達が息を込み、ごくりと唾を飲み込んで喉を鳴らす。


「俺のジッポンに攻め込んで来るとはいい度胸だ。今言った三カ国の指導者共、よく聞けよ」


 画面越しでもわかるくらい、圧倒的な威圧感を受けて閣僚達は吐き気を催し、イヴァンも緊張から喉が渇き、葉巻をもみ消し、テーブルに置かれたコップの水を一気飲みして、画面を食い入るように見つめる。


 賠償金の請求か、それとも宣戦布告か、イヴァンと閣僚達は固唾を飲んで議場に画面を見つめる。


「俺に服従しろ、さもなきゃ殺す」


「ぶはっ!」


 宣戦布告を通り越して、三カ国指導者に対する殺害予告に、イヴァンはたまらず口から水を噴き出した。


「は?」

「な!?」

「えぇ……」


 閣僚達も勇者からのどストレートな殺害予告に、イヴァン達ルーシー連邦の閣僚委員達は思わず絶句してしまう。


「わかったか? なあ、チーノの江沢東、ルーシーのイヴァン。あとイヴァンに協力してる自称俺の息子とか抜かしやがるエルゾのカムイ。お前らに言ってるんだ!! 俺達が決めた規律、人権を蔑ろにしやがって!! ぶち殺すぞゴミ野郎共!!!!」


「ぶっは! ゲッホゲッホ! ゲッホゲッホ!」


 イワネツに名指しで殺害予告されたイヴァンが、口に入れた水を噴き出し、気管に入った水を吐き出そうと咳き込み続けて涙目になる。


ーーマリア様に、正統なるルーシーの女王陛下に連絡を取らねば。我ら民族の復讐が、我らを差別したこの世界へ、我らが民族を認めさせる計画がこの男に潰される。


 イヴァンは財団会長のメアリー、ルーシーでマリアと呼ばれる真の女王に助力を求めようと考えた。


 だが……。


「それとお前らチーノとルーシーが頼りにしてる財団だが、あれはもう消した」


「ゲッホゲッホ、ゲッホゲッホ、ぅえ? ゲッホゲッホ」


「俺の愛するヴァルキリー、マリーの名を騙りやがった財団は、資本も財産も俺と仲間が全て奪ってやった。頼ろうとしても無駄だ。そして俺に服従しなければこうなる」


 画面が切り替わると、幕府将軍として知られる徳河家繁の斬首された生首が映し出され、ルーシー連邦の閣僚達は恐怖で吐き気を催し始めた。


「ど、同志書記長、あれは確か」

「映像で見たことがあるジッポンの最高権力者」

「こ、殺したのかジッポンの将軍を……」


 イヴァンは涙目になりながら咳き込み、胃の中身が逆流して咳に吐瀉物も交じり出す。


「服従しろ、さもなければ殺す。幕府のショーグンも、俺をなめてたからこの世から消した。次はお前らの番だ」


 ルーシー連邦における絶対権力者のイヴァンは、命を脅かされるなど今まで経験したことがなく、ジッポンで行われた戦闘で、戦略兵器のようなイワネツの戦闘力を垣間見てしまったことで、彼は初めて死の恐怖を感じていた。


「とりあえずお前らに48時間の猶予をやる。それを過ぎたらさっき言った三人、この俺が直々に会いに行って殴り殺す。ああ、軍を用意して抵抗してもいいぞ? だが俺への抵抗は無意味と知るだろう」


「ゲッホゲッホ、ヒッー、ウェッ! ゲッホゲッホ!!」


「俺にとって有益な返答を待つ、以上だ」


 配信画像が終わり、顔面蒼白状態になったイヴァンが、閣僚達を見やると、全員が全員恐怖で言葉も発せなくなっていた。


「ど、同志カムイに、れ、連絡を。こ、殺されてたまるか。あの化物を葬らなければ、我がルーシーランド連邦は復讐する前に滅ぼされる……早くしろ無能共!!」



 一方ジッポンから時差1時間遅れの13時を回ったチーノ人民共和国首都、大都。


 半世紀前は燕王朝の王都だったこの大都市の、赤壁で囲われたエリアが、通称千南海とも呼ばれるチーノ人民共和国の政府中枢である。


 この千南海の人民政務院では、臨時の中央人民政府委員会が開催されており、イワネツの流した映像を見て恐怖した委員から矢継ぎ早に質問が飛ぶ。


「主席!! ジッポンへの特別軍事作戦は今後どうするつもりなのか!!」


「あの伝説の勇者とやら、ジッポン最高権力者の将軍を抹殺できるほど、好戦的かつ強大な力を持ってます!!」


「あんな一国の軍事力を凌駕する、化物相手にどうすれば良いのですか!」


「左様!! あなたを名指しして殺害予告までしてるのですよ!? 我々はあなたの巻き添えで死にたくない!!

あなたの不手際だ!!」


 黒縁眼鏡に、薄くなった頭髪を七三分けにした中年男、チーノ人民共和国最高責任者、江沢東国家主席が額の汗を拭いながら、反主流派に糾弾されていた。


「ヴィクトリー王国の内情はどうなってるんです!?」

「我が軍の精鋭及び、空軍から情報は!?」

「ヴィクトリー王国への問い合わせは!?」

「だからジッポンと戦うのは反対だったんだ!」

「だがあの勇者に今更詫びて許される保証もない!!」


 現在この委員会は、親ヴィクトリー派の旧秦国、旧楚国、旧呉国、旧越国出身者と、国粋主義派の旧燕国及び旧斉国出身者の派閥で二分されている。


 この国の歴史は、300年前のハーン滅亡後、旧チーノ大皇国の皇族が断絶していたのと、ハーンに服属していた諸侯達がそれぞれ王を名乗り、七カ国に分かれていた。


 この七カ国は、国境間の小競り合いはあったものの、概ね大きな戦争はなく、それぞれ独自の文化を築き上げ、大蛇信仰が合わさった女神ミドガルズオムを崇めていた。


 また蒼き狼と呼ばれる、女神フェンリルを崇めるチーノ北方と西北の遊牧民達やキエーヴ共和国とも友好関係を結び、ナーロッパ諸国やヒンダス帝国とも関係は良好であった。


 しかし50年前その様相は一転する。


 大陸から崇められた女神二柱が、魔女の呪いで昏睡状態になったことで、徐々にチーノ人と遊牧民が敵対し合うようになり、さらには楚王国と秦王国国境山岳地帯で発見された、レアアースと呼ばれる、最先端特殊合金の元になる希少金属の存在。


 秦王国と楚王国との間で、このレアアースの利権を巡って深刻な対立から武力衝突が生じ、その隙に燕王国、斉王国、燕王国が同盟を結び、秦王国と楚王国の緩衝国だった中山王国に侵攻。


 楚王国と国境を接する沿岸部の呉王国は、秦王国と楚王国が争う最中、秦王国とともに楚王国に武力侵攻を行うなど、戦火はチーノ大陸全土を覆う。


 さらにややこしいことに、楚王国はヴィクトリー王国と同盟を結んでおり、秦王国はヒンダス帝国と結びつきが強く、チーノ大陸を舞台に世界大戦の危機が生じた。


 ヴィクトリー王国の黄金薔薇騎士団は、世界大戦を阻止するため、ヴィクトリー議会に働きかけてチーノ大陸の騒乱にヴィクトリー軍を派遣して、事態の鎮圧を図ろうとした。


 しかしヴィクトリーをはじめとする、ナーロッパ連合軍が武力介入するも、北欧旧ノルド諸国の武器が大量にチーノ大陸へ流入し、10年以上騒乱が続く。


 一方でチーノ各王国が戦費捻出で国民に重税を強いたため、王侯貴族への民衆の不満はピークに達する。


 同時期、ヴィクトリー王国オックシュフォード大学の留学生マルクスが、チーノ大陸で人類平等論を唱えると、秦王国出身の毛沢山がこれに感化された。


 毛沢山は、マリーゴールド財団の支援でヴィクトリー王国に短期留学後、チーノ大陸で平等主義思想を広める工作活動を財団職員達のNGO支援で実施。


 また当時のヒンダス帝国皇太子にして、マリーゴールド財団幹部マハラジャ、シン・ラーオ・バッラールーシュと、虹龍国際公司がチーノ七カ国平等革命の支援をしたことで、毛沢山は革命的指導者として祭り上げられた。


 結果、チーノ七カ国の王侯貴族が民衆革命で抹殺されるという最悪の結末を迎えて終戦し、戦後のチーノ大陸の利権はヒンダス帝国とヴィクトリー王国で二分され、北欧ノルドは自分たちの武器販売の大口の顧客を得るに至る。


 こうしてヴィクトリー王国と縁の深かった毛沢山が、王族のいなくなった七カ国を平等党が統一後、チーノ人民共和国を建国し、同じく平等革命国家のルーシーランド連邦と軍事同盟を結んだのだった。


 しかしカリスマ性のあった毛沢山の死後、旧王朝出身者が権力闘争を繰り返すなどして政治的な混乱が一時期起きるも、呉王国出身でフランソワ帰りの男、宗温来が国家主席になることで、権力闘争が一旦収束を見せる。


 宗温来は毛沢山の唱えた平等主義をさらに発展させるため、人類解放路線を軸に、チーノ人民共和国とヒンダス、ナーロッパの交易を盛んに行いながら、隣国にして世界最強のジッポンに対抗するため、軍備を整えるための経済路線を打ち出す。


 そして今から10年前、宗温来が病で死去して、代わりに台頭したのが、宗と同郷の江沢東である。


 この江沢東が打ち出した政策は、強烈な反ジッポン主義だった。


 具体的には、愛国教育と並行してジッポンへの憎しみと敵意を煽るように学生達に洗脳教育を施し、人民解放軍士官学生達にもジッポンへの敵意を植え付ける等。


 江沢民は、今のチーノ人民共和国の武力ではジッポンに勝てないことはわかっていたが、もともと七カ国に分断されていたチーノ人民を一つにするには、ジッポンをチーノ人民共通の敵であるとした方が合理的だと判断したのだ。


 また国家高揚をはかる目的でチーノ人民共和国は、ジッポン海域やジッポンの保有する島々の領有権を主張。


 ジッポンの領海領空を脅かすことで、チーノ人民の愛国心を育み、国内を一致団結させることに成功した。


 そして、ヴィクトリー王国から申し出があった軍事侵攻について。


 いかにサムライの国ジッポンが世界最強だったとしても、ヴィクトリー王国及びルーシーランド連邦精鋭と、チーノ人民解放軍が同時侵攻すれば勝算が高いと江沢東は考えた。


 またジッポン幕府の暗愚家繁の悪評は、チーノ人民共和国に知れ渡っており、江沢東は幕府によって虐げられたジッポン民衆を、チーノ人民共和国の手で解放し、平等革命を引き起こして支配できるとも考える。


 自身こそが、チーノ史上初めてジッポンを征服した偉大な政治家になろうとする夢を江沢東は描いていたが、結果的にジッポン制圧は、ヴァルキリーと勇者によって阻まれ、逆に勇者イワネツから、自身の殺害予告映像を全世界配信されるに至る。


ーーこ、殺される。300年前、大邪神とかいう化物と戦い、ジッポン幕府軍と将軍を滅ぼした存在。あの勇者とかいう化物に殺される……。あんな化物に勝てるわけがない。


 彼は復活したヴァルキリーと勇者にどう対処するか頭を悩まし、額の汗を拭う。


ーーヴィクトリーめ! あの馬鹿王女、ジッポンで我が軍を散々利用したくせに、政変を起こされて失脚するとは。おまけに勇者だと!? 世界の三分の1を占領したという、伝説のウルハーンを滅ぼした勇者なんかに勝てるわけないだろうが。クソッ! あのヴィクトリーの馬鹿王女を信じたワシが馬鹿だった。


 などと思いながら江沢東は、自身を糾弾する委員達を見やり、大きく咳払いをして静粛を促す。


「諸君達の言い分はわかったが、いささか国家主席である私に無礼な言い方ではないか?」


 江沢東の答弁に、議場は一気に静まりかえる。


 チーノ人民共和国においても国家主席の権限は強い。


 軍と警察の統帥権を持ち、委員会の人事権、命令権などを有し、より端的にいうと、自分に楯突く人間をいかようにも出来るということである。


「批判するならば対案を出してもらわんと、困る。ただの批判は私への個人的な誹謗中傷として、委員会から退場してもらった後、公安部で教育実習を受けてもらう」


 ようはこの事態を打開できる案を出せということと、自分を非難する者は、教育実習という名の拷問を加えるぞという脅しであった。


「……」


 批判していた委員達はことごとく沈黙し、対案すら出てこない状況に、江沢東は特大のため息を吐いた。


ーーだめだこいつら。こうなっては仕方がない。あんな化物と戦っても勝算が及ばないなら、どこか亡命出来る国を見つけるしかないか。差し詰め……ルーシー連邦か、北欧か。


 もはやこの国にいても死を待つばかりと江沢東は判断して、議場の面々を見渡す。


「意見がなければ、本日の臨時委員会はこれを持って一旦閉会とする。以上」


 逃げるように議場から立ち去った江沢東は、側近に命じてプライベートジェット機を用意するよう命令を下し、地下の秘密鉄道を使用して南海空港に向かう。


「北欧まで所用で出かける。向こうの要人と大事な会談があったのを思い出した」


 秘書官達にでまかせを言いながら、政府専用機を用意させ、北欧に亡命しようと江沢東は企てるも、空港VIPルームが武装警察や軍に囲まれる。


「な!? 貴様ら一体!?」


 すると武装警察とともに、黒の背広を着た若手の党委員会達が、うすら笑いを浮かべながら江沢東のいるVIPルームに次々と入り込む。


「困るんですよ主席。勝手に国外に出ないでくださいよ」


 大子党と呼ばれ、構成メンバーはいずれも人民平等党高級幹部の子弟達である。


 彼らは人民平等党及び解放軍高官の親達から、世襲的に受け継いだ特権と人脈を基にして、共和国の政財界や社交界に大きな影響力を持つ特権的地位にいる。


 また江沢東が反ジッポン教育を施した世代でもあった。


「貴様ら……共和国主席の私の邪魔をする気か!」


「あなたの共和国ではない、我々の共和国です。しかしあなたにはガッカリした。悪辣悪鬼のジッポンの、野蛮な勇者とやらの脅迫に屈して我が国を見捨てるとは」


「……本気で勝てると思ってるのか? 貴様らのような世間も軍事も知らぬ小童が、あんな伝説の化物に」


 大子党リーダーの周珍平が、武装警察をアゴで指図すると江沢東を拘束してVIPルームから連れ出す。


「ふん、我らチーノがあんな勇者とかいう野蛮人やジッポン風情に負けるわけないだろう。軍事委員を招集し、愚劣なジッポンに対して大規模攻勢をかける!」


 チーノで急進的な青年委員達が暴走し、戦火はさらなる広がりを見せようとしていた。



 そして同時刻ジッポン。


 榎戸にいる奉行や旗本達は、天守閣や本丸が消え去った大榎戸城からやや離れた西の丸御殿の大広間に集められ、全員が俯く。


「天子代行、祐宮親王殿下の、御成ーりー」


 着物の擦れた音が静まり返った室内でした後、皇子は勇者イワネツこと勝海舟と西郷隆盛を伴って大広間に現れる。


 皇子が上段の間の座布団に腰掛け、その左側に西郷が正座し、イワネツは皇子の右側に寄り、腕組みしながら仁王立ちで奉行と旗本を睨みつける。


「うむ、く、くるしゅうない。お、面を上げよ、賊軍共よ」


「……」


 幕府全体が天帝家に仇なした朝敵、幕府軍は賊軍として扱われており、集められた一同は朝廷に逆らう賊軍になった無念さと、勇者の恐怖で、一向に顔を上げられない。


 するとイワネツは、平伏したままの旗本達や奉行達の前を練り歩き、反抗的な顔した者達を足蹴にして回る。


「オラァ!! ツラ上げろって言ってんだ反逆者のゴミ共!! 殺すぞ!!」


 唇が切れ、鼻血を流しながら、旗本達の一人が皇子を睨みつけるようにして顔を上げると、イワネツは皇子を睨みつける旗本と目が合う。


「なんだその目は!!」


 瞬間、イワネツは手に持った扇子を、旗本の頭部に投げつけると、鈍い音が広間に響く。


 旗本の一人は、額に扇子をめり込ませながら、あまりの威力で目玉が飛び出し、脳挫傷でその場で即死する。


「立場がわかってねえようだな負け犬共め! ふざけた真似するなら、この場にいる全員をぶち殺していいんだぞ!!!」

 

 遺体を天井から音も立てずに現れた忍者達が回収すると、奉行旗本達は抵抗は無意味と知り、涙目になって顔を伏せた。


 大広間は静まり返り、西郷の咳払いのみが広間に響く。


 イワネツは大広間にいるサムライ達に睨みを効かせながら、西郷と話した段取りについて思い出す。


「本当にあんなんでよかったか? ルーシー連邦とチーノ人民共和国、エルゾ王国にかましを入れた宣言は」


「うん、あれでよか。少なかどん、こいで我らん時間が稼ぐっ。あとは大政奉還と新政府の組閣じゃな」


 三カ国に向けたイワネツの宣言は、ジッポンにおける政権交代と新政権組閣の時間稼ぎ。


 イワネツが指定した48時間という制限時間の猶予は、服従するにせよ徹底抗戦するにせよ、いかに独裁国家が上意下達で意思決定が早かったとしても、体制を整えるには時間を要するため、冷静さを欠いた相手を焦らせて失策を促す仕掛けでもある。


 この隙に、ジッポンは新政府の段取りをつけて、勇者であるイワネツが、ジッポンに歯向かう敵を倒す大義名分を得るための陰謀だった。


「ああ、大まかなシナリオはサカモトと兄弟が考えたっけか?」


「そうじゃ、あとは長洲の桂と久坂や。桂は、前の桂、木戸とちごっどん。じゃが久坂はあん久坂やった。久坂は草莽ん志士。あんわろはジッポンに必要な男。この現世で、おいに知恵を貸してくれた。すげやつや、あんわろは」


 イワネツは龍馬が京に向かう船中で構想し、西郷が長洲と監修した御誓文を読む。


「一つ、政権を朝廷に返還し、新たな法は朝廷より定められること。二つ、上院・下院の二院制を敷き、議員を置き、全てを公的に議論して決定すること。三つ、選挙を通じ、優れた者を出身問わず議会政治に参加させ、名ばかりで実の無い者たちを取り除くこと。4つ、諸外国との交流は、広く意見を求めることで、新しく規約を決めること。5つ、古き大ジッポン帝国憲法を改定し、永遠に伝わるような新しい法律を定めること。6つ、世界平和のため海運と交易を拡張すること。7つ、国家のための国軍を置き、国を守らせること。8つ、金や銀や通貨などの為替に関し、諸外国と公平に取引き出来る法を定めること。なるほどな、よく出来てる」


「うん、前ん世でん龍馬ん草案は、おいも大いに参考にしたもんじゃ。こいを久坂とまとめ、新しい天子様に読ますっ御誓文はこうだ」


 西郷が別の書状をイワネツに手渡す。


「おう、ここに9番目と10番目の条文をお前が入れたわけか」


「ああ、おはんから聞いた後ん時代ん悪しき流れを断ち切っため。そして兄弟と天女様が考えた11番目ん願いも」


 第二次大戦で敗れた日本の反省点から、新たに加えられた9、10の条文にはこう記されていた。


「9つ、議会が定め、天帝が承認した内閣府の長が軍事統帥権、外交権、国民政策、経済対策の全責任を負う。10、国民は生まれながらに身分平等であり、天帝家も含め生来与えられた人間としての権利は、これを侵してはならない永久の権利とする。なるほど、人権の強調と統帥権問題を元首の天帝家から切り離したわけか。天帝家も神格化させない形で」


「国家元首が力を持ちすぎると、誤った方向に国家が傾いた場合、最悪国が滅ぶ。じゃっで議会で任命罷免でき、柔軟に国家運営で権限を有する大臣席を一つ作っとが一点。そして士族達ん身分を廃した四民平等。こいを成し遂げないけんじゃろう?」


 天帝家から独裁者を出さないために、天帝家を神格化させ、天帝を利用した者に力を持たせないため、そして軍事と経済両方を司る総理大臣の権限を定め、議会で罷免することを可能としており、基本的人権と身分平等についても、サムライという身分を無くすために強調されていた。


「ああ、俺が考えていた通りの文だ。じゃあ俺がこれに加える11番目は、こうだな」


 イワネツは、筆をもち11番目の文を付け足す。


 こうして、大広間に集められた奉行旗本達の前に、東鉄太郎こと小野鉄舟斎、元幕府剣術指南役の城頭(ジョーンズ)が、一ツ橋慶喜改めて第八代将軍に就任した徳河慶喜を伴い、現れた。


 西郷は幼馴染の鉄舟斎に頷くと、鉄舟斎は堂々と胸を張り口上を述べ始める。


「賊軍総大将、朝敵、徳河慶喜! 天子代行殿下に推参仕る!! 者共控えよ!!」


ーー鉄太郎、まるで前の世の山岡鉄舟どんのようじゃ。命めらず、名めらず、官位も金もいらんしは、仕末に困っもん也。こん仕末に困っしならでは、艱難を共にして国家ん大業は成し得られんなりとはよう言うたもんじゃ。この現世で幼馴染のこんわろは、すげ男になった。


「上様の御成りじゃ! 者共平伏せい!!」


 鉄舟斎が一括すると、内心一ツ橋慶喜が将軍になったことを訝しんでいた奉行旗本達も、一斉に平伏する。


 三人は奉行旗本達の前に出ると、最前列で正座した後、陸仁皇子に平伏した。


「う、うむ、新たな征夷大将軍にして太政大臣徳川慶喜、面を上げるがよい」


「ははー!!」


 顔を上げた慶喜は、武士を代表して全てを終わらせるために、凛とした表情で皇子を見据える。


「おう、準備が整ったぞ。入ってこいヘル」


「……わかったのだわさ」


 女官達に連れられたヘルが大広間に姿を現し、皇子も含めて全員が立ち上がり、ヘルに頭を下げた。


 ヘルはイワネツや皇子の後ろに回ると、魔法で冥界にある冥王の玉座を転移させて腰掛けると、イワネツを除く全員が正座する。

 

「女神様、お、お越しいただき感謝いたします。そ、それで徳河慶喜よ。そのほう、賊軍の将として言いたいことがあれば、の、述べるがよい」


 奉行旗本達はこの慶喜が何を言い出すか、気が気ではなくなり、大汗を額に浮かべながら、二人の成り行きを黙って見つめる。


「はい! 恐れながら女神黒瑠様、天子代行殿下に申します。我が徳河は家繁の行いにより、神敵、朝敵と相成り、勇者公との戦にて敗北!! この慶喜、将軍に就任したばかりではありますが、断腸の思いで此度の責任を取り申す」


「どのような、責任であるか?」


「は! 徳河幕府にあっては、天子代行殿下に、幕府政都榎戸の明け渡し、幕府軍の兵器弾薬、車両、軍艦に関する全ての武器の引き渡し、朝廷より委任されし幕府の大政、国政の一切を奉還いたしまする!」


 武装解除と幕府政都明け渡し、そして国政に関わる幕府及び将軍の権限一切を返上することは、事実上幕府の敗北を認めたということになり、奉行旗本は皇子に平伏した。


「そうか、わ、わかった。西郷よ!」


「はっ! こん西郷控えちょります」


「書状を私に。亡き天子様を代行し、この場の者共に勅令を下す」


 皇子は西郷から手渡された書状から、新時代をもたらす誓文を10条まで読み上げた。


 そして11番目の、イワネツが加えた条文を皇子が読む。


「11、我がジッポンは人類が目指すべき世界恒久平和のために必要とする、あらゆる奉仕、努力、活動を支援し、実践し、国際社会で名誉ある地位を占めようと思ふ。我が国家の名誉をかけて、全力をあげて専制と隷従、圧迫と偏狭、出身身分からなる差別主義を、全世界から永遠に除去することを宣言する!!」


「……御意!!」


 皇子の宣言に、全員が賛同の意を示す。 


「ハラショー、全てにおいてハラショー。で、この慶喜と武士について、お前が沙汰を下せ。皇子、陸仁よ」


「うむ慶喜よ、大政奉還の決断、大儀である! これを以って幕府及び武家の官職一切を無効とする。幕府ならびに諸侯にあっては、本来は朝敵として処すところではあるが、明日執り行われる即位の礼で全員を恩赦とする!! 以上じゃ!!」


「ははー! ありがたき幸せ」


 こうして、ジッポンはサムライの世が終わり、武家政権から天帝を象徴とする立憲君主議会制民主主義国家となる。


 一方で、榎戸城を見渡すことができる小高い山手にある喫茶店では、男が二人、国の行末を煙草を吸いながら見守っている。


「なあ、坂本。今頃西郷や勇者さんが皇子様と大政奉還とやらをやってるみてえだが、うまくいくかね?」


 土方は煙草を口に咥えながら、龍馬にこの国の行末を憂うと、龍馬は咥え煙草で両手を広げて笑う。


「きっと、うもういくはずだずや。わしらの未来も、この世界も、きっと今よりえい世界になるはず。あとは新政府の組閣やね。おまんも含めてや」


「俺はいい、俺はもう戦いを終えて満足した。新政府とやらに新撰組の居場所はねえよ」


 煙草を摘み、土方が煙を吐き出すと、龍馬は意地悪そうに笑い、西郷とイワネツとで練った新政府の組閣表を土方に手渡す。


「あ? んだこりゃ? 内閣府刑部省大臣級、国家公安委員会委員長、一等警視、土方歳三……。ちょ!? てめえ!! 俺はおまわりなんかもうやらねえって言ったのに!!」


 警察庁を統括する内閣大臣と同等の委員長にして、一等警視、地球日本における警視監の階級が土方に与えられていた。


「くく、われほどの男を遊ばせるほど、新政府は暇じゃねえきな。頼むぜ、警察トップ新選組」


「てめえこそ、なんだこりゃ!! 内務府農商務省官房参与? よくわかんねえ官職しやがって! てめえ何考えてやがる!!」


「わしゃ、これから大仕事が控えてるき。わしが自由に動ける官職じゃねえと、この新しい国はうまいこといかんやろ。それと新政府の組閣、面白いろ?」


 新政府の組閣表には、土方も知る何人かが名を連ねていた。


「えーとなになに、内閣府総理大臣、西郷隆盛。まあそうだろう、適任だ。外務大臣、桂五郎。おいおい、大丈夫か? 内務大臣は……小久保利道、薩摩っぽか。文部大臣、久坂道武、なるほど久坂か、ある意味適任かもな。宮中務省大臣、岩倉友山……公家だな。おそらく殿下のお側付き出身か。大蔵省大臣、農商務大臣、兵部大臣兼務……勝海舟。おい、マジか……」


「ああ、そうや。この国の財務、商いと軍事は、うちの勝社長が全部兼務する」


 財政、農商、軍務全てを勝海舟ことイワネツが全て兼務するという新内閣府の人事に土方は絶句した。


「さあ、新たな世の幕開けぜよ。これから忙しゅうなる」

次回で、ジッポンの話はひと段落して主人公サイドの話に戻ります

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