第10話 王国包囲網 後編
マリーは船の船倉で、事実上専属メイドとなったペチャラと一緒に食事をとり、料理に舌鼓をうつ。
簡素な木のテーブルに出された料理は、シチューと黒パンと、ライムのジュース。
「美味しい! クリーミーでちょっと甘いけど、このシチュー美味しい!」
マリーは硬い黒パンをちぎって、口にいれ、シチューを木のスプーンで口に運び、口の中の黒パンを柔らかくしてから、木のコップに入った、防腐処理されたオージーランド産のライムで作ったジュースを飲み、流し込んだ。
「ココナツクリームに、チーズを少し混ぜ、保存用の干し肉で味を整え、ライムを隠し味に。マリー様は王宮出身ですので、それ相応のものをお出ししないと思いまして」
「いや、こちらの方が美味しいです。王宮の食事はその……味気なくて……お肉ばっかりで……たまに出る野菜も漬物か、くたくたに煮られた野菜だけで、雑っぽかったし」
ヴィクトリー王国自体が、大昔から食事に気を使わず、隣国のフランソワ人が豚の餌と言うくらい、ヴィクトリー料理の評判が悪い。
「お褒めいただき、ありがとうございますマリー様。それとあの男の人、薄いピンクがかった黄色いような肌の、私を助けてくれた見たことがない人種の人、何者でしょうか?」
ペチャラは密かに、勇者の事を男として気になっており、マリーから情報を得ようとした。
「私が、異世界から呼び出した戦士です。名前はわからないけど。そうだ、ペチャラもしばらくしたら、あの人や船員さん達にご飯を持ってってあげて」
「はい」
マリーは、勇者がしてくれた話を思い出す。
楽という概念についてだった。
「マリーちゃんは、楽がしてえって言ってたが、そのために何が必要かと思う?」
「ええと……お金と楽できる時間」
すると、勇者が両手を叩く。
「そう、それよ。これに加えて、自分の力ってのもいるな。そのために必要なのは?」
彼女は、父ジョージの話を思い出す。
大陸の大国家を出し抜き楽をするには……。
「頭を使う、ですか?」
「そう、頭と金は生きてるうちにしか使えねえ。その為には、効率ってのと勉強が必要よ」
勉強という単語が出てきて、マリーは面倒くさそうに顔をしかめ、それを見た勇者は特大のため息を吐く。
「マリーちゃんよ、別に勉強ってのは学校でやる、国語とか算数じゃねえんだ。俺は転生前、家庭の事情ってやつで、学校にロクに通った事がなかったが、人生は死ぬまで、いや死んでも勉強よ」
「はあ……」
「勉強ってのは知識を得る事、知は力なりってやつ。俺はそれで何度も可哀想な世界を救ってきた。そんで楽という字は、楽しいとも読むよな? 楽しんで知識を得るのさ。まずは、そういう意識で俺の話、聞いてみ?」
勇者は、まるで熟練の教師や講師のように、冗談を交えながらマリーに知識を授ける。
そして、勇者がマリーに強調して言った事は、意識改革。
ただ、ぼうっと毎日を過ごすのではなく、日常で気がついた、自分が楽になりそうな事柄と、役に立ちそうなものを見つけたら、メモして日記をつけるようにという勇者からの提案だった。
マリーも王宮の侍従長に、日記作成を過去勧められたが一週間で飽きて、サボってしまっていた。
「そんで、俺と交換日記しようや。マリーちゃんが記した日記を俺が見て、気がついた点を俺がコメント書いてやる。転生前、若い奴らはネットのブログでやってたらしいが、それをアナログでやる」
まるで昭和の男女がやるような発想に、マリーは吹き出しそうになる。
中学時代、彼女は友達とLINEで似たような事をしていたが、この勇者の事だから既読スルーはないだろうけど、人に見せる日記だからヘタな事書けないし、正直恥ずかしかった。
一方勇者は、転生前の情婦や一番の子分と交換日記を付けた事もあり、お手の物である。
「そんで、俺は組織作りに定評があってよ、実際に設立や運営に関わった事がごまんとある。自分が楽をしたければ、自分の手足になるような組織と、手下を作るのさ。自分の代わりに動いてくれる、能力が高いやつをな。国の成り立ちや、カタギの会社組織も似たようなもんだろ?」
確かに、王宮には自分の世話をする侍従や、王には家臣がいるが、元々女子高生だったマリーは、そこまで真剣に組織論を考えていなかった。
「俺の転生前生きてた世界では、男が男に惚れるって話があってな。言っとくがホモじゃねえぞ? まあ、肉体関係がねえだけで、精神的に純愛のホモの集まりかもわかんねえけど」
マリーは思わず赤面してしまう。
美形のヤクザ同士が、兄貴、弟と惚れあう姿を想像してしまった。
「親分の為なら死ねるって人材が、7人以上いる組織は、短期間で天下を獲れる。実際俺の転生前の組織は、裏社会の天下を奪った事があった。極悪組って聞いた事ある?」
「うーん、名前だけは」
転生前のマリーのような、女子高生すら名前を知ってる、日本最大の極道組織の名前を勇者は出した。
勇者は、伝説の大親分と呼ばれた三代目極悪組の組長が、元は神戸の地方組織でしかなかった組を、7人衆と呼ばれる子分達や弟分の力で、日本最大の組織にした話をマリーにする。
「すげえ話だろ? でも転生前は、俺もそこのトップだったから」
マリーは、目を剥いて驚いた目で勇者を見る。
ただのヤクザでは無く、日本最大の暴力団組長が、勇者の正体だった。
「マリーちゃんさ、君にベタ惚れの男とかいない? 君すげえ可愛いから、いそうな気がすんのよ。そこそこ影響力あって優秀で信頼出来そうな男がな」
マリーは、大国の4人の王子達を思い出す。
優秀そうだが、各人がクセのありそうな美男達。
「実は……私、4カ国の王子達から……」
マリーは勇者に、王子の人となりと印象、国の特徴と自分のヴィクトリー王国の話をする。
話を聞き終わった勇者は、口角を吊り上げ、マリーに意地の悪そうな笑顔を向け始めた。
「なるほど、話はわかった。じゃあそのガキらをマリーちゃんがたらし込んで、マリーちゃんの言う事しか聞けねえようにしちまおうや、なあ?」
マリーは思わず吹き出した。
「ちょ! 勇者さん何を考えて!?」
マリーは思った。
この勇者、本当に弱い人々を守るため、世界を救済していたのかと。
「やり方と絵図は俺が考えてやる。効率的な組織運営もなあ。なあに、女使って、アホを垂らしこむ手口にも、慣れたもんよ。ケッケッケ」
悪魔のような、勇者の笑顔を思い出しながら、マリーが最後のスープを口に運んだ瞬間だった。
船が衝撃を受けたのかぐらりと揺れる。
「きゃああああああああ」
マリーの船は遠距離から魔方砲撃を受けていた。
船がヴィクトリー王国の国旗、白地に赤薔薇を掲げていたからである。
一方、イリア首長国連合の盟主、ロマーノ大公国。
世界有数の海軍を有してはいるが、他の大国と比べて軍事力は大きく劣っている。
理由は、連合加盟国同士が、数100年にも及ぶ血みどろの内戦を経た結果、その戦いに疲れ果て、戦いを好まぬ気質に変わったのと、元々持ち合わせている気質、南国特有の楽観的な民族性から来ていた。
かつてのニュートピア世界、英雄ジークが現れる以前は、海と陸を支配していた大帝国ロマーノという名の覇権国家であったが、英雄ジークが大陸中央に突如現れた。
英雄ジークは、かつて世界の脅威だったモンスターや怪物、そして魔王と呼ばれる存在を打ち倒し、美しき姫君を妻に迎えて、現在のヴィクトリー、フランソワ北部、ロレーヌを合わせた領土を持つ大国、ジークフリード帝国を建国し、ロマーノ帝国と百年にも及ぶ大戦争になる。
その結果、両国が経済的に困窮し、互いの国が内戦の末に国家分裂を起こした悲劇を迎えた。
現在のロマーノ大公国は、金融と投資と貿易に力を入れており、工業品や文化芸術を輸出する経済大国として知られている。
連合首都ロマーノは、千年前から存在する帝国時代からの首都であり、大理石にも似た、この世界の白い魔法石を美しく彫刻した、美術品のような白の彫刻像が立ち並ぶ敷地の中央に、褐色のレンガ造りで知られる大宮殿、ヴィナーレ宮がそびえ立つ。
王宮内で、首長国連合の20人の諸侯たちは、かつての求心力を失った盟主ヴィクトール・デ・ロマーノ・カルロ大公をなじるように、詰め寄っていた。
「ヴィクトリーの投資に大損したのはどう責任取るんです?」
「世界中でモンスターが発生して、我が商船に被害が出てる」
「ロマーノの方針が誤りだったんだ!」
浅黒い肌に玉のような汗をかきながら、ヴィクトールが、事業失敗の責任を諸侯たちから取らされそうになっていた時だった。
「いぇーい、父上に諸侯のおっちゃんら、喧嘩は良くないなー」
ヴィトー・デ・ロマーノ・カルロ王子が、火薬を組み合わせた最新式魔法ピストルを手に持ち、手下にした諸侯の跡取りたちや、金で雇ったナーロッパ最強の傭兵集団、シュビーツ傭兵団を率いて、会議場に姿を現し議場は騒めきだつ。
「年寄りって、気が短いから嫌いなんだよねー。もうさ、あんたら引退しなよ? これからの時代は、俺達が決めっから。なあ? みんな」
「父上、我らが家督を継ぎます」
「これからは俺達の時代なんで」
「年寄りはさっさと消えろよ」
「ヴィトー王子が我らの王だ」
ヴィトーは手下を連れて、議場の机に座る父ヴィクトールの前に立ち、父を見下ろす。
もはや、求心力と王の気質はどちらにあるか明らかだった。
「クーデターか……我が子よ」
「そういう事。このイリア首長国連合は俺がトップの、ロマーノ連合王国に名前変えるからさ、父上は官僚共と後始末よろしく!」
ヴィトーと若き諸侯達は、自分達の父親を議場から追い出し、イリア首長国連合改め、ロマーノ連合王国が結成される。
「この椅子座り心地悪いな。ダセエし俺たちで新しいのに変えようぜ?」
ヴィトーが言うと、若き諸侯達が爆笑した。
皆、ヴィトーの男気とカリスマ性に心酔する、未来のイリア地方を担う、若獅子達である。
「そんでさ、シシリーに、ネアポリ、ジュノー、ヴィクトリーの商船荒らしは順調?」
「おう!」
「酒とか大量に積んでて最高だね」
「あそこの国、食い物酷いけど酒は旨いからな」
「船に積んだ物資はうちらで山分けって事で」
椅子に頬杖つきながら、ヴィトーは諸侯達から報告を受ける。
ヴィクトリーの商船を襲っていたのは、海賊に偽装した、イリア首長国連合改め、ロマーノ王国の仕業だった。
「そうか、それもそうだけど物資は周辺国に売りつけて、新しい投資にしようや? どうせクソ女のヴィクトリー王国のもんだし、俺たちが有効活用しちまおう」
そして、ヴィトーは魔法の水晶玉を取り出す。
「もしもしアンリ王子いる? ちょっと繋いでくんない? 新しくロマーノ王国作ったのと、色々と商売の話とかしたいから」
ヴィトーは、フランソワ王国のエリーゼ宮にいるアンリ王子に、連絡を取り付ける。
「よう、アンリ君! 俺があんたらの中で、最初に王様になったから。正式な即位はまだだけどね。あんたもさっさと即位しちゃいなって」
「調子に乗るなよヴィトーめ。ところで、例のヴィクトリーへの経済封鎖は順調か?」
「ボチボチだね。ところで、ヴィクトリー製の色んなもん、商船とか襲ってかっぱらったから、安くしとくけど買う?」
「うむ、買ってやる。ただし酒以外の食品はいらんからな」
二人は自分達の国の、豊かな食文化を引き合いに出し、ヴィクトリーの飯マズを揶揄して爆笑し合う。
「ちげえねえや、あんなもん人間の食い物じゃねえ。じゃあ第二段階って事で、実はもう命令出してんだけど、ヴィクトリーの商船荒らしから、軍艦とか狙うよ。うちの海軍動員して潰すから」
「うむ、頼む。こちらはそろそろ戦争準備が整いそうだ。半年を予定してたが、各国の支援もあり、2か月で整うだろう。感謝するぞロマーノ王よ」
こうして、マリーが乗るヴィクトリー王国海兵隊の帆船が標的にされたのだった。
しかし彼らは知らなかった。
ヴィクトリーの軍艦に、死んだと思われていた、自分達の意中の姫が乗っていた事と、多くの世界を救済し、悪を滅ぼしてきた勇者が乗っていた事に。
「この俺様に撃ち込みやがって、ぶち殺すぞこの野郎!」
勇者は、遠く離れた海域からピンポイントで砲撃してきた相手に激怒する。
「勇者さん!」
マリーとペチャラが駆け寄ると、危ないから船の中に入っていろと手で制した。
「ちょっと行ってくるわ。魔法の水晶玉の通話機能、オンにしといて」
勇者は憤怒の表情で、風魔法で空を飛び、ロマーノの軍艦まで辿り着き、船の甲板に降り立った。
「うぉらぁ! てめえら誰の船に魔法とか砲弾とか撃ち込んでっと思ってんだ! 殺すぞボケ!」
勇者は、ヨーク騎士団から譲り受けた、長大のクロスクレイモアを、ロマーノ海兵に向ける。
「なんだ! 見たことない人種だ!」
「肌が白くも黒くも茶色くもない!」
「何を言ってるんだこいつ」
「世界の共通語ラテーノも話さぬ蛮族め!」
勇者は、相手の言葉はわからぬが冥界魔法で心を読むと、自分の容姿を差別するような言葉を投げかけていた事に気がつき、修羅の表情になった。
「なんだてめえこの野郎。俺様のようないい男つかまえて、蛮族だとこのボケ。俺は文化大国日本出身なんだが、てめえら人の船に撃ち込みやがって……てめえらが野蛮人だろうがよ!」
勇者は炎と土の魔力を使い、左手に火球を作り出し、宙に軽く放るとクロスクレイモアを振りかぶって、火球を野球のノックのように打ち込み始めた。
「ぎゃああああああ!」
「木造船に炎魔法だと!」
「条約違反だ蛮族め!」
「うっせえボケ! 何言ってんかわかんねえよ! 日本語話せ野蛮人共が!」
次々と勇者が打ち込む火球で、ロマーノの木造戦艦が炎に包まれた。
「ヒャーハッハッハッハ! 燃えちまえクズ野郎共! 誰に喧嘩売ってんのか理解できたか、アホ共め! ほーれ、早く海に飛び込まんと焼け死ぬぜ?」
水晶玉の通信を聞いていたマリーは、相手の船を燃やす勇者の通信を聞いてドン引きする。
「ちょ……止めなきゃ!」
マリーは船の甲板に出て、親指につけた指輪に魔力を込める。
この世界で、戦闘で船に炎魔法を放つ行為は、ナーロッパ・バーグ海戦条約違反となり、最悪死刑もありうる。
「えーと、水の召喚魔法は……これだ! 出でよ! 水のフューリー!」
マリーのHPとMPが大量消費され、召喚魔法が発動すると、現れたのは青い髪に、青い瞳、紫のワンピースに、蝶のような美しい七色に光る羽を持つ、美しい少女の精霊だった。
「ちょっとお、なんで大精霊のアタシが勝手に呼び出されるわけ? ムカつくんですけど! またあのアホ勇者の仕業?」
――うわぁ。可愛いけど、なんか性格が悪そうな精霊呼び出しちゃった。どうしよう? 私の言う事聞いてくれるかな?
マリーは、なぜかこの世界の言葉を話せる、水のフューリーを不安そうに見つめると、フューリーは召喚したマリーを見る。
「あんたね、アタシを呼び出した人間は? 不快なんですけど、事と次第じゃアンタ沈めるよ?」
美しい少女の顔したフューリーの顔が憤怒に歪むと、マリーは恐怖しながら、遠方で燃えてるロマーノの軍艦を指差す。
「あそこで勇者さんが、軍艦に火をつけて笑ってて……このままだと私達が罪人に……。あなたの力で火を消してくれるといいなって、思いまして」
マリーの言葉に、フューリーはニヤリと笑う。
「へー、あそこにアホ勇者がいるのね。意地悪しちゃおうっと! ありがと、じゃあね!」
フューリーはマリーにウインクした後、ロマーノの軍艦へ超スピードで飛んで行った。
「どうしよう、嫌な予感がする」
マリーは双眼鏡を取り出して、不安そうにフューリーが飛んで行った方向を覗き込む。
「さあてと、適当な所で消火して偉そうなアホ見つけて、さらって情報でも取るか」
勇者が独言ちた瞬間、腕組して宙に浮かび上がる、水のフューリーが勇者の前に現れた。
「久しぶりね、アホ勇者と馬鹿アースラ。アタシを気軽に呼び出すとは、いい度胸じゃない?」
「な! てめえ、何でこの世界に! そうか、マリーちゃんが呼び出したか。おうコラ、外道の精霊王、いや大精霊になったんだっけ? お呼びじゃねえ、失せろ! また泣かすぞコラ? あと、パンツとか見えてんぞ、ガキコラ」
「な!? アホ勇者何見てんのよ! ていうか、へー、そんな事アタシに言っていいの? ここは海で、アタシの力を最高に活かせる素敵な場所。あんた調子乗ってるから、ちょっと沈んでみる?」
フューリーが精霊力をMAXにすると、空に暗雲が立ち込め、暴風雨が巻き起こり、海は大しけになって、大津波がロマーノの軍艦を飲み込んだ。
「大津波」
特大の水魔法を繰り出し、満足気な顔をしたフューリーが、元の世界に帰っていく。
「ちょおおおおお、船沈んでるんですけど! あの精霊のパワー、ハンパじゃないんですけど!」
マリーは双眼鏡を覗き見ながら、大精霊フューリーの力に絶叫した。
すると、褐色の六本腕の悪魔のような姿になった勇者が、海中に沈みゆくロマーノ艦を風魔法で浮かび上がらせて、浸水した海水を魔法で取り除き、怯え切った乗組員達を救出する。
「馬鹿フューリーめ、覚えてやがれ。ブロンドに惚れてんの、あの世界の奴ら全員にバラしてやるぞ? クソガキが」
勇者は独言ちながら元の姿に戻り、怯え切ったロマーノ海兵を、気迫を込めた眼で睨みつけた。
その中で、一番装備も身なりも整った、浅黒い肌の男を見つけ出し、ニヤリと笑う。
「おー、てめえだ、てめえ! ちょっと来ぉゴラァ!」
勇者は、ロマーノ海兵将校の貴族を誘拐し、マリーの乗る船に戻った。
次回、主人公視点に戻ります。