第102話 九頭龍大神 前編
「ここは? 俺は佐藤道山の野郎をビジネスパートナーにしてやったあと、織部に帰って親父殿に報告して……猿野郎を正式に俺の手下にしてやり、酒かっくらってて……なんで俺が洞窟で寝てんだ馬鹿野郎!」
かつて地球最悪の犯罪者とも呼ばれたロシアンマフィア、ブラトノイの頭領にして、ニュートピアと呼ばれるこの世界の極東ジッポン中央部に位置する織部の国に、ユグドラシルの神々の陰謀で転生した織部憲長ことイワネツは、目を覚ますと広大な鍾乳洞に横たわっていた。
「自分の部屋で昼寝かましてたはずなのに。くそっ、わけがわからねえ! 第一、俺の織部にはこんな洞窟なんてねえし、何がどうなってやがんだ。まさか俺ともあろうものが、どっかのアホにさらわれちまったか? いや、そんなことはねえ、縛られてねえしよ」
イワネツは体を起こして、洞窟内を歩くと中央部が光り輝く泉になっており、中央部に光り輝く台座の上に豪華そうな黄金で出来た竜の像を見つける。
「ん、お宝か? こんなところに高値で売れそうなもん置きやがって。盗賊たる俺に盗めって言ってるようなもんだろ? あれだ、まるで日本のビデオゲームの、ドラゴンウォーリアーみてえだな」
イワネツは、1990年代に自身の活動拠点をニューヨークに移し、国際的なロシア組織のネットワークを使い、金にものを言わせて日本のテレビゲームを集め、コレクションしていたのを思い出す。
特に気に入っていたゲームは、日本では1986年5月27日に発売されて以降、シリーズが発売されるたびに社会現象を起こすゲームソフト。
北米ではドラゴンウォーリアーの名前で発売され、現在では「最も長く続いている日本のRPG」としてギネス記録にもなっている名作ゲームである。
「あのゲームは楽しかったぜ、プレイヤーのモデルは盗賊にちげえねえって思ったっけな。だってよお、女攫った竜王とかいう、いきがったクソ野郎をぶっ殺すために、竜王の手下の魔物ぶっ殺しながら民家とか城とかダンジョンに押し入って調べるだろ? で、めぼしい武器や道具や金とか盗んでいくさまなんか、一流の盗賊だよな」
イワネツは独り言ちながら、ゲームのダンジョンのBGMを鼻歌交じりに泉に飛び込み、バタフライで一気に泳いで、泉中央の浅瀬に立つ。
「この像、金になりそうだな。アレだ、ジローの奴に自慢した後、高値であいつに買い取ってもらおうかな」
イワネツが像に手を触れた瞬間、空間が歪みだす。
「クソっ、罠か!? 前世に、チャイナのヘロイン食いすぎたみてえに視界歪みやがったぞ、何だこりゃあああああああ」
鍾乳洞の洞窟から一変し、まるで宇宙空間のような星々の光りが瞬く暗黒空間に変り、イワネツは困惑しながら周囲を見渡す。
「ふふふ、見つけたぞ! このワシの依り代に相応しき強き肉体を持つボディ」
イワネツは声がした頭上を見上げると、燃えるような金髪に濃い眉、右目を縦に横断するような刀傷と、黄金の瞳を持つ、酷薄な容貌の着物姿の筋骨隆々の大男が姿を現す。
身長2メートルほどの大男からは、7色に輝く9匹の龍の頭のようなオーラを纏い、金色の手甲と足甲を身に着けてイワネツを見下ろしていた。
「何だこの野郎? 誰だお前? 名前なんて言うんだ? 高い所から見下ろしやがって、俺を誰だと思ってやがるんだよ阿呆。降りて来い! 殺すぞ!!」
「くっくっく、お前はこれからワシのボディになるのだ。ワシの復讐を果たすためお前の体を……」
その瞬間イワネツは、まるで瞬間湯沸かし器を越えた早さで一瞬で激怒する。
イワネツは自身が犯されると思ったからである。
ロシアは帝政ロシア時代から東方正教会の影響で同性愛行為を禁じていた。
侮蔑の言葉や悪口が同性愛者を指すくらい、社会で同性愛者は忌み嫌われたのだ。
共産革命後のソ連では、ゲイやレズは革新的な思想であると同性愛コミュニティーとソ連当局の関係は良好であったが、これを薄気味悪いと嫌った独裁者スターリンは、西暦1934年に男性の同性愛を犯罪にし、刑罰を懲役5年と規定した刑法121条を導入して弾圧の対象となり、刑務所に入ったゲイは欲望と侮蔑の対象となり、奴隷身分になった。
そして現在のロシア共和国においても、ロシアにおける同性愛宣伝禁止法を基にして厳しく制限されており、それほどまで、ロシアのみならず東欧では同性愛行為はタブーである。
イワネツは体操選手のように宙を飛び、3回半捻りをした後で回転力を付けた回し蹴りで、大男の側頭部を蹴り飛ばした。
「お前ホモとかふざけんなこの野郎! 俺の身体目的とか気持ち悪いんだよ、お前殺すぞ!」
同時に、イワネツの体にまるで金属バットで殴られたような衝撃が走る。
「ってえなあああああああああああああああ!」
大男の着物の襟を左手で掴み、右拳の打撃を連続で繰り出した。
その度に、自分の顔面を自分で殴っているかのような衝撃がイワネツを襲う。
「よくわかんねえが死ね! 俺をなめてる奴はぶっ殺す!」
「や、やめ、お前とワシの魂は融合を果たしておるのだ! ワシへの攻撃はお前に跳ね返って……というか何だこの人間の打撃! 不屈の魂を持つワシが、ぎゃあああああああああああ! 身体を寄こせえええええええ」
自分の必殺の打撃を受けているのに近づいてくる大男へ、イワネツはだんだん気味悪がり、恐れを抱く。
ブラトノイの皇帝とも言われた自分が、仮に同性愛者に犯されてオカマにされるなどプライドが許さず、死よりも屈辱であると思い、自身の魂そのものにダメージがあるにもかかわらず、必死に筋骨隆々の大男を遠ざけようとする。
「お前マジでこっち来るんじゃねえよ、気持ち悪い! 俺のケツ狙いのホモとかマジふざけんなよイジーナフイ!」
するとイワネツの脳内、いや魂に大男の思念が流れ出すと、それは男の持つ魂の記憶だった。
この世界とは違う竜の神が生み出した、人と竜が調和を果たした竜人達の住まう世界の記憶。
その名を、ドラゴニアという。
大男は、数億年前の太古の昔ドラゴニアの大国に突然変異で、並の竜人の数千倍以上の力を持って生まれた竜王国の王子であった。
彼は竜王となると強大な力と竜術で世界を支配し、担当神の龍神を殺して力を奪い、自身の配下や子供達を竜王にした後、幾億年もの長い間力を蓄え、神に成りすまして神界への侵略を企てる。
その世界では神々に対抗するために、強者を尊び弱者を虐げ、親兄弟でも強い者のみが生き残るという殺し合いを奨励し、強き者こそ法であるという、魔界や地獄よりも凄惨な世界となった。
このドラゴニアをおぞましい様相にした独裁者が、神になりすました九頭龍大神ドラクロアで、その極悪非道な魂の記憶がイワネツに流れだす。
仁義も無いその世界の、長い歴史で罪なき竜人や生き物の多くが殺され、強者が弱者を嬲り、女は弱ければ犯され奴隷のように売買され、赤子や幼い子供達も間引かれる光景にイワネツはソ連時代を思い出し、人間が人間として生きていけないような非道な環境に絶句した。
そして、悪意は伝染する。
ドラクロアの星だけでなく、あらゆる生命体のいる星々、銀河に悪意と非道が伝播していき、それが風習となり文化となり常識となり規範となり、弱者を虐げ強者のみを崇める負のエネルギーが数億年にわたりドラクロアの力を高め、あらゆる次元宇宙の生命体をも超えた大邪神、九頭龍大神とも呼ばれる存在となったのだ。
だが、その血に塗れた世界に狂いが生じた。
ある竜人の科学者が、竜王間の戦争目的で次元の転移装置を発明して実験した結果、ある世界に繋がる。
その世界は、弱者を保護して子供が適切な教育を受けられ、老人は尊敬され、様々な種族の市民達が毎日を平和に暮らして笑い合う仁愛の世界。
竜人の科学者はその世界を目の当たりにして、涙ながらに保護を求めた。
そして、その世界の後見人でもあり、かつて日本社会で忌み嫌われたある男が、神々も気が付かなかったドラゴニアの現状と、世界全ての悪の存在を認知すると、その不条理に激しく憤り、子分達を引き連れ女神の加護を得て救済に乗り出す。
力こそすべて、弱肉強食と悪徳の世界を救済すると活動報告を受けた神界は、このドラゴニアを新たな分類、竜界と認識。
その救済難度はULTRAどころか、かつての魔界と同様神々によって公には存在しない世界として隠蔽され、救済までは立ち入り制限と厳重な封印がなされ、勇者の調査の失敗と同時に、神々が総攻撃を開始するという、通常の世界救済とは全く次元が違う対応となる。
魔界を超える危険世界として、神々を超える可能性がある悪意の正体の調査を、極秘裏にその勇者へ冥界の最上級神が命じたが、彼の勇者としての活動の中でも長期にわたり、持てる力の全てを用いた結果、ついに悪意の正体であるドラクロアの存在を見つけ出したのだ。
勇者は各地にいる竜王たちをねじ伏せながら、竜界の竜人たちに説く。
それは本来の人間の生き方ではないのだと。
人間として、この世に生まれたからには、美しい花を咲かそう。
一生懸命、人間が持つ美しい個々の花を咲かそうと説き回り、その世界では考えつかなかった娯楽を充実させ、教育機関や医療機関も発展させていき、その世界の常識であった文化と規範を塗り替え、弱者を救済することで自分達の心も救われるのだと訴え続けた。
その時の映像が、世界を牛耳るドラクロアの焦りと共に、イワネツの魂に映像として流れ始める。
――黒い髪に黒い目の東洋人? 日本のキモーノを着てやがるこいつは何者だ? 日本人か? 手に鍔のないカタナを持って、くそったれな世界の様相を変えまくって……なんなんだこいつ一体!? くそっ、かっこいいぞ。このイワネツ様を魅了するとはただ者じゃねえなこの野郎。このホモ野郎の作った世界丸ごと盗みやがった。
黒髪の東洋人は何度となく戦った結果、自身と恋仲になった世界最強の竜王の娘を竜帝に仕立て上げ、婚姻の儀を偽装した龍の神を降臨させる儀式を行い、ドラクロアを誘き寄せ、刀を構えると自分の目の前にいる大男、ドラクロアと対峙して魔法戦を繰り広げる。
「おお、勇者などくだらぬ言っておったが、なんと素晴らしい力。だが、我が力は龍の神を遥かに超え、ワシが垣間見た神などと偉そうにする世界の奴らの力を遥かに超えている。どうだ? ワシの側近にならぬか? もし、ワシの味方になればお前と共に神の世界に乗り込み、神とやらの全てを抹殺後、全ての次元世界を我が手にする! その暁にはこの世界の半分をお前に、勇者にくれてやろう」
「何勘違いしてやがんだ外道、全部だ。この世界の全部が俺の縄張りだ。そんでこの世界の奴らはみんな俺の女か、舎弟か子分よ。ファミコンのドラ●エの敵みてえな寝言ぬかしやがってゴラァ! てめえみてえな外道を滅ぼすために、俺は勇者になったのよ!」
景色が反転し、暗黒の空間で繰り広げられる死闘。
絶対強者であったドラクロアが内心焦り、黒髪の勇者と名乗る男を屠ろうと、その力の全てを振るう。
自分とあまりにも次元が違う二人の戦いに、イワネツは放心状態で魂からあふれ出る映像を無言で見つめた。
「無駄なあがきを。そこそこ強いようだが、貴様程度の力で幾億もの間、世界の全てを我が手にしようと蓄えていた、ワシに叶うとでも思ったか?」
黒髪の男は全身から出血しながらも、白い輝きを放ち全身に和彫りの入れ墨が入り、六本腕のある背後に青い炎のようなオーラが具現化し、刀を構える。
「言いてえ事はそれだけか外道? ヤクザなめやがって、何が九頭竜大神だクズ野郎おおおおおおおおお! 何億年にもわたって弱い奴らイジメて神気取りの外道おおおおおおお! 極道なめんな! 俺の名前はマサヨシだ! この世界で泣いている子供達や、女達を生み出したクソ野郎! 俺はてめえを許さねえぞ!」
――こいつ!? シミズか? 顔がガキみてえに若いがまさか、そんなはずはねえ。だってあの野郎は、俺が伝え聞いてるあの野郎は、銭の事しか考えてねえ日本のヤクザのカスだった筈なのに、何だあの力は!? それにあの眩い光は一体!?
しかし、健闘むなしく勇者マサヨシは四肢を切られ、光り輝く龍と化したドラクロアの尻尾に、胴体を貫かれた場面に切り替わる。
「ふふ、やはりワシより弱い。我が力は全ての次元宇宙で最強。聞こえるぞ? 我が尻尾を通じてお前の心臓の鼓動が消えてい……」
「何勘違いしてんだいクズ野郎……てめえはもう俺の絵図にはまっちまったんだよ」
すると背が低く、黒髪の着物姿で一見すると10代前半の少女のような女神が涙目で現れると、武器を持った多くの神々が姿を表す。
「遅かったじゃねえか、神様。こいつの言質取ったぜ。ついでに体力も魔力も十分消耗させた」
「馬鹿マサヨシ! そなたはいつもそうじゃ。誰かを、世界を守るため、いつも体をボロボロにされて」
龍の姿になったドラクロアは、武器を持った神々に取り囲まれ、神の武器でメッタ打ちにされる。
「ゴラァ! ワイらいてまうやと? このボケェ! 最強の破壊神たるシヴァなめとんかゴラァ! ワレが死にくされ! このガキィ!」
「わらわ達、八百万の神々を滅ぼすとはよういうたのう、下郎! この天照大神の炎で焼き尽くしてくれるわ!」
「ワシらをなめとるのか! このゼウスと最上級神の軍勢が貴様を滅ぼしてやろうぞ!」
「ぎゃあああああああああああああ」
瀕死の重傷を負った勇者マサヨシは、ドラクロアが神々により集中攻撃される様を見て、女神ヤミーに治療されながらほくそ笑む。
「口は災いの元。てめえが全部の神ぶっ殺すっての、俺のヤミーを通じて神々に密告してやった。万全のてめえなら、それが出来たかもしんねえが、俺との喧嘩で消耗しやがったろ? ざまあみろやド外道! ケジメの時間だぜボケ!」
たまらずドラクロアは、瀕死の重傷を負いながら、無限地獄の暗黒空間をこじ開けて脱出した。
「野郎、逃がすか! それも想定済みだ、羅生門」
体力を回復させる龍の泉までドラクロアが逃げると、そこには竜帝バハムートとなった麗しき竜人の少女、ドラミが新たな竜王を引き連れて待ち受けていた。
「わ、我が子らよ! 愛おしい我が子ら! ワシはこの世界の神であるぞ! 手を貸せ、ワシを救うのだ!」
ドラミは首を横に振ると、配下の竜王全員で、魔力を極限まで高めて、ドラクロアに向けて放とうとする。
「もうあんたは神様やなかとです。こん世界ば救うたん、しゃーしいガキ女神と愛しんダーリンや! 勇者マサヨシや!」
竜帝と竜王は、光と熱の熱線を繰り出し、大気圏外までドラクロアを追放した。
「なぜだああああああああああああ! 宇宙最強のワシが勝てぬ! ワシは龍の神、全ての世界を支配するために生れたドラクロアだぞ!」
「てめえが弱いからだよ外道。何が幾億年も力を蓄えてきただ、クズヤロー。今までチンケな生き方してやがったから人生の土壇場で無様晒すんだワルめ」
体力を完全に回復させた勇者は、刀を構えてドラクロアと対峙する。
「ふ、ふふふ、くはははははは。今、ワシの切り札を貴様に発動させたぞ! ワシの龍術で、貴様を呪ってやった! お前を不老不死にして呪ってやったぞ! 辛いぞ勇者よ、貴様には寿命という概念も無くなり、親しい者や愛する者が死んでいく様を永遠に見続けるのだ! どんなに体を切り刻まれようとも、精神を病もうとも、自殺して死のうと思っても、もはや貴様は永遠に死ねぬのだぞ? 解除してほしければ、ワシの下に……」
「何勘違いしてんだクズヤロー? 俺が愛した奴らや関わってきたやつらとの絆は永遠に不滅だ。それによお、俺は俺の命が尽き果てるまで、可哀そうな世界を救おうと思ってんだからよお、好都合だぜド外道! 正義の剣」
勇者はドラクロアの脳天を必殺の剣撃で真っ二つにする。
「ぎゃああああああああああ」
「そしておめえを地獄に叩き落としてやるぜ! てめえの懲役が何年かは知らねえが、多分無期は行くだろうなあ? 永遠に地獄でてめえの罪を後悔しろおおおお! ド外道おおおおおおおお!」
今度は場面が一変し、イワネツが覚えている冥界の裁判所で、勇者を助けていた少女のような女神が、ドラクロアに無期禁錮の無間地獄行の判決を下し、暗黒空間でさまよい続けた事で、半ば気が狂ったドラクロアの姿を見た。
そして、全てを垣間見たイワネツは、無表情で目の前の魂だけになったドラクロアを見据える。
「ワシは復讐するのだ! ワシの世界を奪い、ワシの命をも奪ったあの勇者マサヨシに、あのヤクザとやらに復讐するのだ! イワネツと言ったか? 貴様の体を使ってな! 貴様の人生も見たぞ? 貴様も強者であるならばわかるだろう? 強者は何をやっても許されるのだ。弱者から奪い取るのは強者の特権よ」
イワネツはニコリと笑い、ドラクロアに右手を差し出す。
すると笑みを浮かべたドラクロアも右手を差し出して、イワネツの右手をがっしり握った。
「ふっふっふ、喜べこの世界の強者よ! 貴様にも我が知恵と龍術を自在に操る喜びをワシの意識の片隅で満喫できるのだ!」
「ハラショー、そいつはご機嫌だな。そういや思い出したがお前さ……」
イワネツは握った右手を引き寄せてドラクロアの顔面に頭突きをくらわした。
「お前の一生を見て思い出したぜ、お前クレムリンにいたカス共にそっくりだ! 前の人生で俺と親父とおふくろの人生を狂わせて、ずっとぶっ殺してやりてえと思ってたソ連共産党のクソ共によおおおおおおおおおおおおおおおお!」
頭突きを受けたドラクロアは、イワネツの魂に違和感を覚えるが、それはまるで……。
「貴様、なんなのだ! まるで貴様の中にもう一つ別の何かが、魂が二つあるような……貴様はなんだ、なんなんだ貴様!」
「お前、俺の人生を見てたんじゃねえのかよ? 俺はソ連で生まれた史上最強の盗賊! 規律ある泥棒の皇帝、ブラトノイのイワネツだ! 俺の体盗もうとか盗賊なめやがって、俺がお前の全てを盗んでやるぜ!」
続きます