表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
162/176

149話 神 vs. 魔王四天王 からの、だいたいほとんどリムシュのターン!


『……(デトリ)が細菌?』


 リムシュの突然の飛躍した結論に、理解が追いつかず俺達はポカンとする。


「あの……基本的な質問で恐縮なのですが……」


 キューちゃんが恐る恐るといった体で挙手をする。


 ――とその時、また魔王の間で大爆発が起きた。これまで以上の規模の爆発だったようで、俺の結界内にもかなりの衝撃が伝わる。同時に周辺には大量の土煙が風に巻き上げられた。


 俺達は思わず会話を止めて、今の爆発の被害を確認する。


「今の爆発ヤバいな。ルビーとエメラルドは!? 無事なのか!?」

 

 トパーズが思わず立ち上がって辺りを見回す。大量の土煙で視界ゼロ状態なので、俺は同時に周辺探知を発動させて、ルビーとエメラルドの反応を探す。


『……どうやら大丈夫みたいだ』


 すぐにルビーとエメラルドの無事な様子は確認できた。そしてその理由も頭の中にイメージが流れ込んできたので、俺はひとまず胸を撫で下ろし皆に伝える。

 

 ――土煙がおさまってきた時、俺の見たイメージが皆の目にも確認できるようになってきた。


 そう、デトリの前にはジェムとサファイアが立ち塞がっていたのだ。そしてその背後には爆発に巻き込まれたかと思われたルビーとエメラルドが氷の結界に守られていた。


「これは……サファイアの結界?」


 ルビーが周囲の氷を見回しながら呟く。エメラルドも「ホントだー」と氷をコンコンと叩いてみる。


 お、おお!! これは!! 魔王四天王のそろい踏みじゃねーか!! 熱い!! これは熱い展開!! 


 圧倒的な『神』の実力! 絶体絶命の火の女王(ルビー)地の愛姫(エメラルド)の危機を救ったのは、水の貴公子(サファイア)風の一匹狼(ダイヤモンド)だった。強大な敵に立ち向かう時、四人の運命が交錯する! 次回『神 vs. 魔王四天王』!! お楽しみに!!


 俺の頭の中に、思わず次回予告風のアオリセリフが浮かんでくる。うおおお! 来週が待ちきれない感じのヤツ!!


 などと俺が熱い血潮を滾らせていると、まるで正反対なデトリの冷ややかな声が聞こえた。


「……へぇ? ジェム、まだ懲りずに私と戦うの? 他の魔石と手を組むなんて、君らしくない戦い方を選んだものだね?」


 デトリの挑発にも思える言葉にジェム、いやダイヤモンドが落ち着いた様子で返す。


「タイミングが合っただけだ。別にコイツと共闘するつもりなど無い。邪魔だからどけ、青いの」


 その言葉を聞いて、ピクっとサファイアの眉が動いた。あーあ。


 想像した通り、サファイアはまさに売り言葉に買い言葉で、ダイヤモンドに返事をする。


「お前がどけろよ。さっきアイツにやられたんだろ? 負け犬は引っ込んでろ」


 っかー。お前まで挑発してどーすんだよ!! 俺はヒヤヒヤしながら二人のやり取りを見つめながら独り言ちる。ちっ、まったくバカヤロー共が。何もわかっちゃいねー!! こういう時は普通こうだろ!! こう!!


 「ふん。気が進まないが今回だけはお前に背中を預けさせてやる」


 「抜かせ。それはこっちのセリフだ」


 とか言って背中合わせになるシーンでしょ!? あ、けど敵が一人だから背中合わせにはならねーか。けど、まぁそんな感じの熱いシーンになるべきタイミングだろうがぁぁぁあああ!! あー、もったいねー。 


 ったくよー。こっちはこっちでリムシュの説明が訳分らな過ぎて、ピンチなんだ。そっちも喧嘩とかしないでイイ感じにやってくれ~。と祈る。


「……あの……父上。お取込み中に申し訳ございません。話を続けても宜しいでしょうか?」


 キューちゃんの申し訳なさそうな声が聞こえて、俺は我に返る。


「っつーか、なんなんだよ。魔王四天王って?」


「火の女王とか、地の愛姫とか、確かにそれぞれのイメージに合ってますね」


『私の説明……。まだわかり辛かったですか……。そうですか……』


 あ、やべー。また考えたこと駄々洩れなの忘れてたわ……。


『あー。うむ、話を続けたまえ。キューちゃん』


 トパーズとかチルサムとか、リムシュが俺の駄々洩れた考えに対して何か言っているが、俺は全て華麗にスルーして何事も無かったかのように、キューちゃんに話を促した。


「ありがとうございます、父上。では、リムシュ殿。一つお伺いしたいのですが、その『細菌』が、死んだ人間から『古代エーテル』を飛ばす?理由は何なのでしょうか?」


 キューちゃんの質問にリムシュは目を輝かせる。


『ああ、よい質問ですね! これはまだ完全に解明したわけではないのですが、恐らく『その宿主の魂』のようなものを『古代エーテル』に乗せて飛ばしている、と私は考えております。つまり死後の人間の魂は全て『神』と名乗っている『細菌の一個体』の下に集まるような仕組みが出来ている、とでも言えば良いのでしょうか』


 それを聞いた時、シャルが驚愕したように呟く。


「では……ヴィータ教の教義にある、人間の魂が『神』と繋がっているというのは……」


『ああー! 良い目の付け所です! そうです、そうです。ヴィータ教の教義はなかなかに真理をついた内容なのですよ。つまり『神』は自分のクローンをすべての人間の細胞内に共生させることで、全人類と繋がるネットワークを築き、そのネットワークを通じて人間の魂を管理している、ということですね。驚異的です! まさに生命の神秘! 神の奇蹟!』


 リムシュが我が意を得たり、というように声を弾ませる。……楽しそうだな、おい!


『ちなみに、その細菌ネットワークシステム自体が恐らく『古代エーテル』を媒介として成り立っているので、規格外の量の『古代エーテル』を内包するアダマントがそのシステムに介入すると何らかのバグが生じてしまうようですね。ほら、私とかデュオルとか、人間以外に魂を宿してしまったり。シャルもまあ、記憶が残っている辺りはバグの一種でしょうね』


 むぅ……。凄いトンデモ説かと思ったら、案外しっくりくるところもあるな。


『ってか、『古代エーテル』ってそもそも何?』


 ここに来てようやく、俺は勇気を出して質問してみる。さっきから知ってて当然のように出てきている頻出語句だが……。もしかして知らないの俺だけなのか??


『え!? 『古代エーテル』ですか? 『古代エーテル』ですよ? ご存じない訳……』


『えーと。……知らん』


『……これは失礼。精霊の源である元素……これがエーテルから生まれたことはご存知ですよね?』


 うむ。それくらいは知っている。俺は心の中で呟く。


『そのエーテル自体は35~38億年ほど前に大きな質の変化を遂げています。どのような変化かと言うと、それまで同質だったエーテルが4つの系統に分かれたのです。いわゆる4元素の元ですね。この時期をラインとして前者を古代エーテル、後者をエーテルと呼んで区別しているのですよ。すなわち『古代エーテル』は4元素に分かれる前の大本のエーテルということですね』


 リムシュの話を聞いてピンとくる。


 ――そっか。俺が石になったばっかりだった頃、ずーっと吸収してたウニャウニャは古代エーテルだったってことか。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ