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ストックがないorL

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土下座の表現ってこれで合ってましたっけ?

おはようございます。

仮眠室に来たは良いのだが、これまた年季の入ったベットだったので綺麗に適当に掃除してマットレスと布団と枕を自分のにした。帰る時は寝る前のものを置くつもりだ。あんなにダニやら何やらが住んでいそうな布団は初めて見たわ。

「……腹減った。」

飯を食おう。朝ご飯は生憎持ってきていないので、仮眠室で作ろう。材料はいっぱいあるのでな。家を出発する前にゴブリン達に押し付けられたのだ。

しっかし、あいつら良い奴ばっかだな。私の健康を心配してくれるし、私がお願いすると内容を聞く前に了承してしまうくらいのお人好しだ。私が群れのボスって認識されているのもそれの原因の一つだと思う。

季節の外れの野菜や果物もあるがここは季節の野菜の味噌汁とご飯、あとは何か適当に作ればいいか。私はそう頭の中で献立を考えると布団から身体を出し、部屋の真ん中で色々準備を始める。まず、換気の為、窓を開ける。顔をリュックの中から出したぬるま湯の張った桶を出し、顔を洗う。髪も適当に毛ブラシで整え耳にかける。

(今更だが、私の容姿について説明しよう。身長は110㎝でかなり小さい。ちょっとポッコリとお腹が出ている幼児特有のイカ腹で、肌は完全に黄色人種の日本人のもので、髪の毛も目も全て黒い。髪は顎くらいの長さで、髪形は完全におかっぱだ。前髪もぱっつんでどうやらこの世界でのお坊ちゃんの髪形はおかっぱの様だった。こちらの世界での両親は肌は私より少し明るいくらいで、髪の毛は母が少し明かるい茶色で、父が暗めの茶色だった。目もそんな感じで、一部のメイドさん達の間では母が誰かとの不貞を働いて出来た子ではないかと思われていたくらい色が被らなかった。)




閑話休題




敷物を敷き、調理器具を出していく。ご飯は全てホカホカのままおにぎりにしてあるのでそれをお茶碗に入れる。味噌汁は未だインスタントの様なものは出来ていないので、一から作らなければならない。

まず、一人前の出汁を球体にしたものをリュックから取り出し小さな手鍋の中に入れると球体状の出汁が液体に戻る。こぼれないように試行錯誤した末の結果なので飛び散るようなことはない。

魔法だと問題がありそうな為、微量の魔力で使えるコンロを取り出し火にかける。燃料は小指の爪の半分ほどの魔石だ。ほら?経済的でしょ?

巷的には画期的すぎるシロモノだと思うので誰かの前で使おうとは思わないが。魔力を通すと熱が発生するこれまた不思議金属を一部使用したのがこのコンロだ。

出汁が沸騰する寸前になったら千切りして湯通ししておいたキャベツと人参、わかめをどちゃっと適当に入れ、私お手製の味噌量りで鍋の中を掻きまわす。

予め刻んである青葱をどちゃっといれてまた掻きまわす。お椀に注いで味噌汁の完成だ。

「手鍋はまた今度洗おう。」

そう呟いてリュックにしまう。

味噌汁と白飯と

「作るのも面倒だから漬けもんでいっか。」

私は手抜きをすることを決めて漬物が入った容器を取り出した。

「うん。美味そう。」

私はそう呟いた。ホカホカの朝食程美味そうなものはない。あと、空腹時の白米。

「いただきます。」

私はそう言ってご飯を食べ始めた。

お茶を最初に流し込み、味噌汁に手を付ける。

ズズっと味噌汁を啜ると添加物の一切入っていない美味い出汁の味とこれまた無添加の味噌の良い香りがした。特に出汁が美味い。苦労して鰹節を作った甲斐があったというものだ。味噌も大変だったが、まぁ、これも私が黒歴史を前世で重ねたお陰だろう。


ちょっと私の古傷が抉られ、味噌汁が少ししょっぱくなってしまったが、そんなことはどうでもいい。ご飯はおにぎりの形にしただけの玄米ご飯なのでプチプチとした食感と玄米特有のいい匂いが鼻を通る。

私は健康志向なのだ。玄米も食うが、勿論白飯も食う。まぁ、それでも玄米の割合の方が多いがな。

「偶に雑穀米が食べたくなるんだよなぁ。」

そう、雑穀米。

前世では玄米6:白米4、偶に雑穀米という割合で食べていたが、雑穀米は偶にの贅沢健康食の様な感じで食べていた。だって、高いんだよ。全て雑穀にすると一人暮らしにしては高い食費になって節約と健康志向の両立が出来なくなる。そのため、偶にの贅沢という形で納めたのだ。

この世界ではあまり注目されていなさそうな雑穀を自分で探して混ぜて炊くという手間のかかることだが、雑穀米はめっちゃ美味い。私は大好きだったのだ。昔母がお隣さんに貰ったと言って雑穀米のパッケージを見せてきたが、当時そこまで興味がなく、あっそ。的な感じで流していたのだが、試しに炊いてみようかと母が持ってきてくれた雑穀米を食べた時私の背後では衝撃の落雷があっただろう。(漫画ならば)

そこからドハマりし、中身を徹底的に調べ。高いので自分で作れないかと調べたが途轍もない労働力に農家さんを一時期神かと思ってしまったくらいだ。

なので、夢の雑穀米の中身も把握しているし、季節も気候も全て把握している。自分でもよくここまでやったなという気持ち悪さがあったくらいだ。というか、ちょっとその情熱が不気味。でも、やめられない。

健康で美味しく、自分の懐に優しい物をと調べていくと、どうやら私は何故か色々なものに手を出していた。

うん。キモイな。

お陰で今異世界で食に困らないので何が人生役に立つかわからない。本当に。

「まずは大麦だな。」

私の街デビューは始まったばかりだ。

この世界で大麦が流行っているか等知らん。まずは調べていかなければならない。

これは私の欲望だけでなくゴブリン達の為でもある。ゴブリン達は排泄はするが如何せんウサギの様な胃腸の持ち主たちだ。案外繊細なゴブリンだ。そのため長生きできないのが多いのだろうな。

沢山の食物繊維を取らなければ消化するのにかなり苦労するらしい。そのため野生のゴブリンは消化不良を起こし胃と腸に沢山排泄物が溜まってしまう。そのため見た目はポッコリお腹のガリガリな皆の知るゴブリンの完成だ。直ぐに殺されてしまう為そんなことを知る人はいないが。

大麦は食物繊維が豊富で水溶性と不溶性という2種類の性質をバランスよく持っている。お肉も食べているが野菜を大量に取らなければならないゴブリン達の胃腸事情を改善するためにはこの大麦が最適なのだ。ちょっとでも手に入れればうちで栽培できるし。

大麦はこの世界の農家が育てていそうな可能性のある雑穀米の一つだ。

あとは食物繊維の豊富なものは、もちあわ、小豆、ひえ。

どれも、異世界ではマイナーな気がするが不思議世界なので何処に自生していても可笑しくない。ので、私は旅の途中に探そうと考えている。

「なんか雑穀米の為の旅になりそうだな。」

そう呟いてしまうのも仕方ないだろう。うん、仕方ない。あぁ、こんな時甥っ子みたいにツッコミ役がいてくれないと。甥っ子のツッコミはツッコミ大賞をとれるくらいだ。(ツッコミ大賞って意味わからんわ)


雑穀米を探すことを考えているとご飯を食べ終わってしまった。

「ごちそうさまでした。」

手を合わせてそう言うとパパパッと食器類を片付ける。食器も後でだ。


よし、今日で資料室の片づけはほぼ終わるな。

私は資料を読むぞーとワクワクとちょっとの雑穀米の在りかの期待を胸に服を着替え始めた。

「あ、風呂入ってねぇや。」


********



私は不潔じゃない。

心の中で風呂に入っていないことをちょっと気にしながら仮眠室を出た。


資料室の入り口からずらっと並んでいるのは昨日私が積んでいった本たちと掃除道具だ。桶には既に水が張ってある。めっちゃ他力本願だな。ところどころ本の高さが違うのはギルド職員達が通るたびにちょいちょい抜いて持っていくからだ。まぁ、別に迷惑とかではないので構わない。

鍵は昨日ディーンさんに晩ご飯を食べに行く道中で渡された。

冒険者ギルドなのにこの緩さ。鼻で笑いそうだ。

日本で簡単にピッキングできそうな鍵穴に鍵を差し込み、ドアを開ける。

早速窓を開け、掃除を始める。

部屋の隅で米のとぎ汁が入ったタライを取り出し持参したぼろいけど比較的綺麗な雑巾でとぎ汁に浸す。がっちりと絞ったら棚を拭いていく。

米のとぎ汁か柔軟剤で棚を拭くと埃がすぐに積もらないと言っていた。それをやっているのだ。長期間の埃は防げないが、気休め程度だ。それでも結構違うからな。

とぎ汁はかなり万能だ。朝これで顔を洗うと肌にいいのでこれはゴブリン達に言ってある。なので、汚そうだった緑の肌も皆明るい緑になっている。そして、つるつるだ。ゴブリンなのに。

一通り拭き終わったら私は綺麗な履物に履き替える。

この部屋の資料は一つ一つが何でもなくともすべてが揃うとなかなかのものになる。そのため残しておく必要があると私は思う。なのでここは資料が汚れないように土足厳禁にするべきだ。

革の靴だが私的には体育館シューズの様な立ち位置にいる靴だ。その為土では汚れておらず綺麗だ。裸足で歩けるくらい綺麗にしてやんよ。

私は変な目標を掲げ床を拭いていく。


********


ふっ。


いい仕事をしたぜ。


ってか、誰だよっぉぉぉぉぉぉ!!!!!

ここで情事をした阿呆共はぁぁぁぁぁ!!!!!!!!


かなり昔の痕跡だったが常時の痕、というか、シミがあった。もしかして、この資料室が放置されていた理由ってこれが原因なんじゃ……

絶対そうだな。

この痕を見るのが嫌で掃除をしなくなったら、出入りが減り、誰も近寄らなくなったと。

今私の額には見事な青筋が浮かんでいることだろう。幼い子供がする顔ではない。

「はぁ~、怒るのしんどいからやめたやめた。シミは取ろう。それで、いい。」

大人しくシミを魔法で木から抜いていく。その際にシミの成分をカクに送っているということは、根には持っているのだろう。お前らのせいで苦労していると。見つけた時にどうなるかわからない。




忌々しいシミが取れたところで資料を整理していく。まぁ、これは読みながらちょいちょいやる形でだ。

まず、この世界の地図、魔物の分布図といったところからか。(地図はあわよくばだ)

私は掃除している際に見つけた魔物の分布図が載っている資料を手に取った。

ドアの前には一応土足厳禁と書いた板を立てかけてある。私の靴も丁寧にドアの横に揃えてあるので誰も土足で入ってこないだろう。それと、私がドアの入り口付近にいるため土足で入ったとしても抑えにかかるくらいだ。恥ずかしい場合はスリッパを貸してやると書いてある。

これで大丈夫だろう。


私は羊皮紙ではない植物の繊維で作られた少し劣化した本を優しい手つきでめくった。


********



成程。

魔物には常に発生している種、季節限定でどこからか湧いて出てくる種がいるんだな。それと、地域によって出てくる魔物の属性も変わってくると。まぁ、これもラノベと同じだな。

あとは、ダンジョンだったりか。

この世界のダンジョンは謎に包まれており、決して魔物が消えたりしてドロップするみたいなことはない。ドロップはしないが、ダンジョンに魔物や人の死体が吸収されたりするらしい。それを燃料に変換してダンジョンをまわしているのではないかという説が世論では濃厚らしい。世論では燃料からまた魔物に変換するらしいが、ダンジョン関連の世論に関して憶測しか飛び交っていない様だ。あまり、信じ込まないほうがいいとは思う。先入観を持つと厄介な事になるからな。

それと、死体が吸収されるということはダンジョン内で殺人が起こっても証拠が残らない。武器も吸収されてしまうそうだ。しかし、吸収するにも時間がかかるのでその間に素材は剥ぎ取るらしい。

そして、冒険者ギルドに登録しているが、ダンジョンを専門にしている冒険者の事を探索者と言っているらしい。そして、ダンジョンのある街のギルドも少し特殊らしい。それは後にわかるだろう。


あとは、採取依頼を受ける際に必要な回復薬の元になる薬草等だな。これは常時依頼で張り出されているらしく、どんなにあっても困らないらしい。

「これでがっぽがっぽ稼げそうだな。まずはこの王都の付近を自分で見て回って、時間がある時に報告を……」

ぶつぶつと口の中で王都付近の事について呟く。



ん?この気配は


「おはようございます。」

「おはようございます。ディーンさん。」

「ありがとうございます。少し、お話ししたいことがあるのですが、これから大丈夫でしょうか?それと、この立て板に書いてあることについてお聞きしたいのですが。」

そのありがとうございます。はナユタと呼ばなかったことに対してなのか、それとも、資料室を綺麗にしてくれてということなのか、真意は定かではない。

今は時計で表すと10時前くらいだ。丁度冒険者たちの依頼合戦から職員達が解放されている頃だろう。

「いいですよ。」

「では、私についてきてください。あと、荷物は必ず持ってきてください。」

「わかりました。」

まぁ、こんな性能の良い荷物を置いてほしくないのだろう。

私以外には使えないのだが。精神衛生上宜しくないのだろうか。

私は、裸足の足に靴下、靴と履いていき誰にも見られていないのを確認して荷物をリュックに入れていった。荷物をまとめ終えたのをディーンさんが見て「行きますよ。」と言って案内する。



********


案内された場所はギルドマスター室と書かれた板が教室のクラスが書かれているようにぶら下がっていた。ディーンさんが部屋の前で立ち止まりノックする。


コンコン


ディーンさん、それ前世じゃトイレノックだ。この世界では知らないけど。

「失礼します。」

「おう。」

部屋の中から聞こえてきたのは昨日一緒に食卓を囲んで晩ご飯を食べたあの男の声だった。

ディーンさんは返事が聞こえると入り慣れているのか自然な動作でドアを開けた。私が入ると、なんだか前世の社長室のイメージがまんま形だけでものの質が落ちた感じで視界に飛び込んできた。

「おはようございます。」

私がギルドマスターに挨拶をする。

「おはよう。それにしても驚かないんだな。」

「そうですね。アーロンさん。」


ギルドマスターはアーロンだった。


アーロンは朝から暑苦しいほどの威圧感と笑顔を振りまいている。

まさかのアーロン(笑)

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