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新しい物語書いてみました。
異世界転生ものです。
初めての試みで設定も主人公の口調もグダグダですが、楽しんでください( ^)o(^ )
ぅあ……
「あー」
なんだこれ
「あぅー」
この声はというかこの天井何処?
起きたら見知らぬ天井でした。
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秋月洋子42歳 女
前世は健康マニアのオタクおばさんでした。
つまり転生しちゃったわけ。しかも、私はニコリとも笑わないおばさんだったもんで、近所の人間には頗る嫌われていた
というのはなく。ご近所さんは昔ながらの知り合いが多く、私が笑わないのは単に面白くないから。面白かったら普通に笑うので皆わかってくれていたのだ。今思えば恵まれていたと思う。そして、趣味もその見た目に反し、ラノベやらアニメやら漫画が大好きだった。アイドルの追っかけよりも小説やアニメという自分で言うのも可笑しいと思うけど、変なおばさんだった。勤めていた会社の忘年会でそれを言うと皆目玉が出るかと思ったくらい(本当に思った)目を見開いて驚いていた。まさか、社長まで驚くとは思わなかったけれど。まぁ、ちょっと口にしたお酒が潤滑油になってくれたのだろう。私がそういう趣味をしているとわかった社内の若い隠れオタクの子たちがこっそりと接触してきたことが何回かあった。まぁ、それの話はもういいだろう。
そして、現在密かにテンションが上がっている。
が、夢見がちな趣味とは裏腹に私は超現実主義だ。甘いことは言わない。ウキウキと浮足立っているのが思考の1割を占め、残り9割が冷静に物事を考えている。
周りを見渡すとクラシカルなメイドさんがせかせかと働いている。陽が差し込む窓からは青い空と太陽が見える。しかし、これはあれだな。
転生というやつか。
メイドさん達が喋っている言葉は全くわからない。多分地球ではないだろうことは確実だ。流石に地球でも今時中世の様な生活をガチでやる酔狂な人間などなかなかいないだろうと思ったからだ。このまま勘違いして魔法を見てから現実を見始める主人公達がラノベでは定番だったけれど、残念ながら(いや、残念ではないな)私は初老を過ぎたばかりのおばさんだ。成人前の未熟な高校生や成人したばかりの大学生たちとは違う。おまけに麻薬のお花畑の様な頭のつくりはしていない。現実はしっかりとみる。そして、焦らない。兎に角、この小さな身体はどうやら赤ん坊の様だ。しかし、この世界の事を知ろうにも、出来ることは少ない。が、考えることはできる。定番の魔法はどうだろう。確か、いくつかのラノベでは生まれたての赤ん坊に転生し、意識がある主人公が夜な夜な魔力を練り上げる訓練をしていたというのを記憶している。そして、あるラノベでは幼少期の成長幅、成長率が半端ないというのも読んだことがある。しかし、どれも魔力というのを感じて存在していることが前提だ。まず、私はこの世界に魔力があるのかすら知らない。また、自分に魔力があるのかも知らない。探すところから始めなければいけないだろう。確かよく瞑想(これでも瞑想は得意だオタクである傍ら健康マニアでもあったのだから)をして魔力を感じる方法があるが、やってみるしかないのだろう。私は(先程気付いたがこの部屋は滅茶苦茶悪趣味だキンキラリンと偽物のきらめきを放つものが多すぎる)目を閉じて集中した。そして、この惨状から親がどういった人物なのか想像ができたので誰かに売られる前に自分で生きる術を身に着けて生きたいと兎に角願った。
すると、お腹の中に何か違和感があった。
いや、違和感ではない。が、今まで無かったものが感じられて違和感があると言った方が正しいだろう。これが魔力というものだろうか?
私は自分の気分が高揚していくのがわかった。しかし、これが魔力という根拠はないのだ。そして、この世界で魔力を持つ人間が珍しいというのがあっては私はますますドナドナされる未来に近付いてしまう。気を引き締めなければ。私はなんだか疲れたので一旦魔力(仮)を練るのをやめる。先程までピンポン玉っぽかった魔力(仮)はもう既にソフトボールにまで大きくなっていた。なんだこれ。
「あぅぅー」
「■■!■■■■■■■■■■■■ー」
赤毛の〇ンの様なそばかすが頬にある赤毛の若いメイドさんがニコリと愛嬌のある笑顔を浮かべながらこちらに何かを話しかける。しかしながら、全く何を言っているのかわからない。私の名前を教えてくれ。
「あぅあぅ」
私は手を伸ばしてサイドから垂れている赤毛の三つ編みを掴みにかかったが如何せん距離が遠い。無理だ。私は諦めた。というか、この部屋の温度がちょうどいいのか兎に角眠い。
「■■■■■■!」
あ、叱られてやんの。
「■■■!」
赤毛のメイドがベテランそうなメイドに私に構っているのを見られて怒られている。
あー、その声うる、さ……い。
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転生初日
・魔力っぽいのを見つけた。断定はできないので(仮)とさせていただきたいところだが、面倒なので魔力とする。
・言葉が解らない。聞きかじりながら理解していこうと思う。これも魔力で魔法を行使して言葉が理解できるようになるのだろうか?しかし、日常言語は流石に普通に習得しておきたい。一応他の言語もあればできるだけ習得しておきたい。
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おはよう。
起きればすっかり日は暮れていてあともうすぐで真っ暗になる手前だ。月はあるのだろうか。
「あぅ」
口からたらりと涎が垂れた。私は自分で口元を拭おうとするが上手く手を動かせない。そうだ。近くのタオルに顔を押し付けよう。私は早速顔の横にある触り心地の好い布に顔を押し付けた。しかし、初老になったばかりのおばさんにはちときつい。まさかこの歳?になって涎をだらしなく垂らすとは。しかも上手く拭えないこの悔しさ。歯って大事だととても思った。歯磨きは必ずしよう。
ガチャ
私が内心そう決意するとこの部屋の唯一の扉が開いた。
「あぅぅ」
「■■■、■■■■■■■」
優しい耳触りの良い声で私に謎言語を駆使して話しかけるこの女性はいったい誰だろう。若いが落ち着いた雰囲気を感じる。多分20代後半に差し掛かったくらいだろう。メイド服を着ているのでメイドなのはわかるが、何しに来たのだろうか。とそう思った刹那、メイドさんはプールの時に使うようなバスタオルの形の布を上から被った。しかし、それでも長さは鳩尾くらいか。一体何をするのか不審に思いながら観察していると、メイドさんはプチプチとメイド服のボタンをとっていくではないか。そして、ポロンと意外にあるお胸をを取り出した。正面から見ると見えないだろうが、下から見上げている私には乳の全貌が丸見えだ。
え、隠れストリップショーかなんかを始めるのかと思いきやメイドさんは私の身体を抱き上げその乳に私の顔を押し付ける。
あぁ、飯の時間ってことか。
まさかこの歳になって他人のお乳を飲むとは人生何があるかわかったもんじゃない。女とはいえこれはある意味役得の様な気がする。味は良くわからないが兎に角本能で飲んでいる。
しかし、私の母親は何をしているんだ。
子供を産んだ女性は暫くお乳は出るはずだ。ならばこのメイドさんではなく自分で世話くらいしたらどうなのか。自分の子すら世話をしないってどうなのよ。中世、いや、現代でも母親の乳を飲まずに育った子供がいることくらい知っているが、この家の財政事情からして母親は栄養のある良い物を沢山食べれるはずだ。地球と比べても似通ったところはあるかもしれないが、文化が全く違うかもしれない。もしかして、こちらの貴族の女性は乳母が子供の世話を殆ど見るのかもしれない。といっても、一回くらい女性としての幸せを味わえばいいのに。と言いつつ、私も味わったことはないけど。
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お腹いっぱいにお乳を飲んでうまいことげっぷが出来たら私はメイドさんが退室すると早速再度魔力を練り始めた。最初よりかはスムーズにできた。多分今までしていた蓋を閉じたからだと思う。そして、粘土のようにコネコネしまくる。するとみるみるうちに膨らんでくる。うん、面白いな。寝る前はソフトボールだったのにもう既にバランスボールぐらい大きくなった。しかし、私の身体は小さいのにこんなに大きくなっても体の内にあるって不思議な気がする。まぁ、今はこれを鍛えることに専念することにしよう。
これは靄っとしたものを私が意図的に練っているわけだが、自分でもよくわからない。ただ、お腹がポヤポヤ温かくなるのは分かる。動かせないものか。しかし、ここでもラノベは便利だな。いやはや日本人の想像力には感嘆する。考えているのはあるラノベで主人公が試していたことだ。主人公は魔力が血管を流れている感じにイメージしていた。私もやってみようと思う。というか、もうやっている。体がはち切れて爆発というのは避けたいので(何故かそう思ってしまった)ほんの少しずつ血液に溶かしていく。それで勝手に血液が流れてくれるのを願っている。(希望的観測だ)そして、血の流れに乗って血よりかは遅いがしかし、身体を流れているのが解った。隅々までゆっくりとじわじわと自分の魔力が自分の身体を包むような感覚がする。手を見るとオーラの様なものが手の周りを漂っていた。これが多分可視化魔力だろう。私はその魔力を練りながらも行っている流動行動から可視化する魔力を操ってみた。するとゆらゆらと動きが少し激しくなった。私は逸る心を押し込めて冷静に焦らずにゆっくりと魔力を糸状にした。すると身体から出てきた魔力は一本の糸というか、縄になった。流石に太すぎるので裂いてみた。そう、あのおつまみチーズの様に。丁度良い太さになった。今の私を客観的にみると赤ん坊の姿をした、さながらラスボスといったところか。
「あぅー」
私は息を吐きだした。(声も出てしまったけれど)
集中してまずは目の前の布を持ち上げることを始めた。目の前の布にゆっくりと魔力の糸が触れるしかし、何も起こらないが、ちゃんと触れていることは確かだ。布が動いているからな。もしかして、この魔力の糸は物理にも干渉できているのか。眉唾な魔力の使い道が開けたような気がした。私はそのまま魔力の糸を操作して布をグルグルと布に巻き付けた。良しと、確認したところで私はゆっくりと持ち上げたすると布は宙に浮いているではないか。(持ち上げているのだけど)
「きゃっきゃ!」
私は興奮して遂に抑えきれなくなった笑い声をあげた。手をぱちぱちとぎこちない拍手をして、上下にバウンドしながら笑っている。我ながら無邪気な声だ。しかし、このままでは扉の外から聞きつけたメイドさんが現れると面倒なので私は興奮の熱を自分の中のドライアイスで急激に冷ました。
うん、落ち着いたな。
落ち着いたところで、布を再度元の場所に降ろした。可能性が沢山あるということは沢山実験を行わなければならない。本を見ればいいのだろうが、如何せん聞くのでさえ理解できない言語の本など読んだって無理だ。なので、私は暇つぶしも兼ねて魔力を研究テーマにした研究をしようと思う。この世界でもやっているとは思うが、日本人の私の発想力と現代知識を合わせれば幾分か進むと思う。これを記録する紙が欲しいが、ラノベでは紙が貴重だとあった。それに関してはこの世界でも同じだろうと思う。技術もそんなに進んでいる訳でもなさそうだしな。まぁ、それもこれも全て憶測だが。しかし、こういった言い方をするとこの世界の人間をかなり見下している風に聞こえるな。将来気を付けよう。
私はその夜眠気が襲ってくるまで様々な実験を静かに実行していた。
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半年後
「■■■■■■■■■■」
「あぅ」
相も変わらず何を言っているのか全く分からない。だが、わかったことがいくつかある。魔力の事ではない。自分の事だ。自分の名前が分かったのだ。やっとだ。
「オスカー■■■■■■■」
そう、オスカーだ。何度も確認したさ。しかし、あの赤毛のメイドが何度も私にオスカーと呼びかけるのでようやく気付いたのだ。まさかだ。男の名前をつけられていたとは。自分でも吃驚だ。流石に確信が持てなかったので自分の性別を夜な夜なあそこを見て確認した。魔力の糸でおしめの中を確認すると女だった。ほっと安心したが、また、あの名前が頭の中をグルグルしていた。オスカー、か。もしかしたらこの世界の名前観?って男が女だったりするのだろうか?いやいや、別の線も捨てがたいぞ。男児が欲しかった当主が女の子の私に男の子の名前を付けて男として育てるつもりだったとか。うん、この線が一番濃いな。でも、私は最初から最後まで洋子だ。オスカーなるやつにはならん。半年の間一度も私に顔を見せたことのない薄情な親が私の親なわけがない。周りが認めても私が認めない。そして、私の親は最初から地球で亡くなった両親だ。中学の頃に他界した両親との思い出はもうあまり思い出せないが、それでも優しかったことは憶えている。自分でもあんなに良い親はいないと思っているくらいだ。
さて、本題に移ろうか。
あれから夜な夜な実験をしまくった私だが、ひとついいお知らせがある。魔力の武器化だ。
そう、魔力が完全に独立し、制限付きだが、かなりの性能を誇る武器化を果たした。