7話 領都エクスクイジット
7〜領都エクスクイジット〜
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翌朝準備を整えてグレイス達一行は西門前に居た。
周りにはログワーズ士爵とその騎士団が見送りに来て居た。
ピッグ男爵はこの後王都へ向けてログワーズ士爵の騎士団が連行する予定になっている。
「来ませんね」とアレスが自身の主人であるグレイスに告げる。
「大丈夫です。彼女ーーミーシャは必ず来ますよ」と信じて疑わない様だ。
暫くして出発間近になった時にミーシャが旅装に身を包み革鞄を背負って現れた。
グレイスの元へと足早に駆け寄り「また……お待たせしました!ミーシャ・カローズ親衛隊に参加します!」と言った。
「良かったわ。ミーシャは馬は持って居ないのですか?」とグレイスが聞く。
普通の傭兵は馬は持って居ない。
馬は高く維持費もかかる為大きな傭兵団ぐらいしか所有して居ない。
「いえ、持って居ません」
「なら、騎乗の経験は?」
「それもない…です」と気落ちした様子で告げる。
「経験が無いのなら仕方がありませんね。アレス貴方の後ろに乗せてくれますか?」
「はっ!畏まりました」と軽く頭を下げ、ミーシャに向き直り「よろしくな」と言い手を出す。
ミーシャも手を出し握手をする。
それを見てグレイスは太陽の様に眩しい笑顔を見せて「それでは2人とも行きますよ」と告げた。
アレスとミーシャは声を揃えて「「はい!」」と言いグレイスの後に続いて一団の元へと向かう。
アレスはミーシャに「そう言えば、ミーシャは魔術袋を持っていないのか?」と質問する。
ミーシャは革鞄などを背負っているので持っていないのか、それとも魔術袋に入りきらなかった荷物を革鞄に入れているのかの確認の為だ。
「あ…わたしは持っていな……いません」と応える。
それを聞いたグレイスが「なら荷馬車に荷物を乗せると良いわ」と言ってくれたので其方にミーシャの手荷物を乗せる事にした。
「それとミーシャ。別に普段通りの喋り方でも良いぞ。流石にグレイス様に話すときは言葉使いを丁寧なものにしてもらわないといけないがな」
「別に私も砕けた口調で良いのよアレス?でも……ヨルゲや他の騎士達が文句を言うでしょうね」と溜息を漏らす。
「ならば何か功を立ててその褒美としてグレイス様に砕けた口調で話せる様に望みますよ」と冗談めかして言う。
それに対してグレイスは「そうね!それが良いわ。期待してるわよアレス」と上機嫌に言われてアレスはこれは頑張らないといけないな。と思った。
その後グレイスは馬車へと行きミーシャも荷物を荷馬車に乗せるとアレスの元へと戻って来る。
アレスはパールをひと撫でしてから騎乗してミーシャに手を差し出す。
差し出された手を握り返してミーシャはアレスの後ろへと騎乗する。
鞍は念のために2人用を購入して付けていたので問題なく乗せれた。
「こ、これが馬上か……思ったよりも安定しているのだな」とミーシャは思わずと言った感じでそう呟いた。
「それが巣の口調か?」と聞くとミーシャは「あ!いやこれはだな」と慌て出す。
「構わないよ。これからは同僚になるんだ。そんなに肩肘張らずにリラックスしろよ」とアドバイスする。
「わかった。これからは普通に話す」と言いアレスの腰に手を回して体を固定する。
その豊満な胸がアレスの背中に当たっているが残念な事に鎧越しの為に感触が伝わらないな。と残念に思いながら出発する一行に合わせてパールを動かす。
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カーペを旅立ってから幾つかの村や町を経由して領都エクスクイジットを目指した。
行く途中エクスクイジットについて他の騎士に聞くとエクスクイジットは別名『水の都』と呼ばれる程に水源が豊富であり周りには三つの川が流れエクスクイジットを囲んでいる。
アレスは水の都として思い浮かべるのはヴェネツィアだ。
エクスクイジットの周りは豊穣な大地で良く作物が育つ為にミルハイム王国でも一、二を争うほどの穀倉地帯でありその肥沃な大地の近くには実りある森林地帯もあり、そこからは動植物が豊富に居り森の恵みも得ている。
そして話によると豊かな大地を求めて隣国が度々領土侵攻をこのミルハイム王国に対して行っているそうだ。
その国は国土の三分の一が荒涼地帯である為に自国でその土地を再生させるよりも手っ取り早く他国から豊かな大地を奪う事にしたのだ。
現在は小競り合い程度の規模だが最近食料を大規模に備蓄し始めている事から近々大規模な侵攻を予測しているらしい。
それ以外はこれと言ったこともない平和な国らしい。
そうして周りの騎士からこの国と周辺国の情勢とこの世界の常識を学びながら過ごしていると、遂に目的地の領都エクスクイジットが見えてきた。
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想像したヴェネツィアとは違ったがそれでも領都エクスクイジットは水の都の名に相違なかった。
街の中には水路が張り巡らされて居り上下水道がしっかりと完備されているなどこの世界ではあり得ないぐらいの高水準の生活環境が整って居た。
今までの街では下水道は存在したが、飲み水やその他に使用する水などは態々井戸から汲むか川から汲むかの二択(後は水を販売している商人から買うか)の選択だったが、この街は一家に一つ専用の貯水路がそれが家庭用の水を貯水タンクに直結してそこに水が溜まり蛇口を捻ると水が出て来る。
この様な設備がある街はこのミルハイム王国では数少なく数える程しかないが、他国からすれば一つでもその様な街がある事が信じられないぐらいだ。
ミルハイム王国以外にもこの様な設備を備えた街はあるが、水の国とも言われるミルハイム王国が一番多く所有している。
このグラーツィア公爵領は領都エクスクイジット以外にも同様の物が五ヶ所もあるので驚きだ。
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領都エクスクイジットの貴族専門の門へと一団は向かう。
時刻は昼頃だ。
近づいて来る一団に門を守る衛兵が姿勢を正し出迎える。
衛兵は馬車の紋章を見て更にこれ以上ないくらいにピンっと背筋を伸ばして敬礼する。
門番長は敬礼して「予定では帰るのは一週間後ではありませんでしたか?」と当然の疑問を口にして、一団を見渡して行きよりも騎士の数が減っている事と見慣れぬ者が2人加わっている事を確認して何かあった事をすぐに察して手続きを簡略化して街の中へと通す。
門番長は先に先触れてして部下を1人は先に行かせることにした。
命じられた部下の内1人は馬に跨りこの事を知らせに城に向かって馬を駆けさす。
それにヨルゲは目礼して一団を領都エクスクイジットの中心にあるグラーツィア公爵家の居城に向けて進める。
一直線に先ずは一番外側の下級街(工房や農民などの農家が居住を構えている。下級と言えど奴隷などではなく普通に平民が住んでいる。この街は中心に行くほど城壁が高くなる為に便宜上、下級、中級、上級と分けられて呼ばれているだけだ)を抜け次は中級街(この街の大半の者達がこの中級街に居住を構えている。他にも宿屋が多く他の街から来た行商人や傭兵が良く利用する)を抜けて上級街(貴族や大商人や一部の裕福な者たちの邸宅がある。貴族が殆どなので貴族街とも言われている)を抜けて漸く(途中の門は先に行った衛兵が事情を説明しているので素通りだ)グラーツィア城に着いた。
すぐ様に城門が開き中に通される。
馬は専用の者が厩舎に連れて行く。
アレスもパールを預ける。
グレイスが馬車から降りると執事やメイドや兵士達が一斉に最敬礼(役職により異なる)をして「「「「お帰りなさいませ!お嬢様!」」」」と挨拶をする。
それにグレイスは「只今戻りました。至急御父様に伝える事があります」と言うと家令と思わしき初老の老執事が前に出て「畏まりました。旦那様は現在執務室にいらっしゃいます」と言い案内する。
グレイスとヨルゲは執事に案内されて城内へと入って行く。
それに続いて他の騎士達も中へと入るのでアレスとミーシャも続く。
アレスとミーシャは途中で応接室に案内されて此処で待つ様に言われたので待つ事に。
メイドが紅茶を出してくれたので寛ぎながらそれで居て辺りを注意深く観察しながら待つ。
ミーシャは緊張で再びカチカチになっている。
To be continued......




