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白銀の槍術士のフレムデ  作者: 灰色人生
霧の向こう側
6/7

6話カーペ・結末

2話目です。



 6〜カーペ・結末〜


 ●●●


 アレスは様子見をしているといよいよ騎士と衛兵による剣での斬り合いが始まった。


 騎士13名だがその内3人はあの豚貴族の護衛に残りの10名が衛兵20名に斬りかかる。



 衛兵も剣を抜き応戦する。


 チラリと褐色の肌の女傭兵を見ると彼女は後ろの町娘を庇いながら徐々に騎士や衛兵達からジリジリと距離をとって離れていく。


 それに気付いた豚貴族は3人のうち隊長格の騎士だけを残して残りの2人に命じて女傭兵に向かわせる。



 それに女傭兵は舌打ちしながら応戦する。



 騎士2人に対して対等に打ち合っていることからもやはり相当な腕を持つのだろうと感心し観察する。


 暫く観察してると人数は多いが技術などが上の騎士達に徐々に衛兵側が押されて来ている。



 その時衛兵の隊長格と思わしき人物が窮地に陥ったのを見てアレスは疾風の如き速度を持って駆け出し、衛兵の隊長格に対して剣が振り下ろされようとする前に騎士の小手を正確に槍の石突の部分で突いて剣を落とさせ、落ちて来た剣をそのまま槍の柄で人の居ない場所へと弾き飛ばす。



 周りの者達は突然現れ無駄のない見事な動作で騎士の剣を弾き飛ばした白銀の騎士に気を取られ動きが止まる。



 一瞬の空白時間の後にハッと我に返った者達は再び構え直すが白銀の騎士が気になりチラチラと様子を盗み見る。



 豚貴族である男爵の護衛をしている隊長格の男が油断なく初めて腰の剣を抜き放ち誰何する。


「貴様何処の騎士団の者だ!」と言いながら白銀の騎士の一挙手一投足を見逃さないとばかりに凝視する。



 問いかけられた白銀の騎士ことアレスは勢いで飛び出したは良いがこの後の事を全く考えて居なかった為にどうするが思案する。その行動は相手にとっては無視された様に見える。まあ、実際問いかけに答えずに無言でこちらを見てさえ居なければそう捉えられても仕方がない事だろう。



 自身らの隊長格の問いかけを無視した白銀の騎士に手を突かれた騎士は懐から予備の短剣を取り出して構えなして「貴様!隊長殿の問いかけを無視するとは何事だ!」と顔を真っ赤にして怒鳴りつけるもそれさえも無視されて怒りが頂点に達して短剣で突きかかる。


 アレスはそれを冷静に見極めて半身になって躱して相手の突撃する勢いを利用して足を引っ掛けて転ばしその頭を石突で突き気絶させる。



 その流れる様な動作に圧倒的な格を見せつけられ思わず一歩二歩と豚男爵の騎士達は後退る。


 一方のアレスは相手が自身に対して恐れ慄いているとはつゆ知らず考えている最中に邪魔をするなよ!と思い排除した程度に過ぎず再びこの状況をどうすれば良い方向へと好転するか思案しようとすると後ろの衛兵から「お、おいあんた。見た所騎士の様だが何処の騎士団の者だ?」と声をかけて来た。


 それを聞いて豚男爵も興味を持ったのか先程まで喚いて居たが今は静かに耳を澄ませる。


 さて、困ったぞ。とアレスは考える。正直アレスの身分などはグレイスのお陰で保障されている為に此処でこんな騒ぎに参加して迷惑を講じる恐れがある。


 流石にそれは不味いか?と思った所でそう言えば此処はグラーツィア公爵家の領土でもあるので悪いのは向こうだ。と結論に至り豚男爵に殺気を込めた視線を向ける。


 すると「ひぃ!!」と悲鳴を上げて豚男爵は後退る。


 護衛の隊長格の騎士はそのアレスと豚男爵の視線の直線上に立ちはだかる様に体を移動させる。


 アレスが覚悟を決めて名乗ろうした時に後ろが何やら騒がしい。


 チラリと一瞥をくれると馬に乗り完全武装したログワーズ士爵とその配下の騎士団にグラーツィア騎士団第一部隊隊長のヨルゲ・ド・テナークスにその部下達に守られた一台の馬車が向かって来た。



 豚男爵は向かって来る一団が最初はログワーズ士爵と彼の騎士団だけだと思い余裕綽々の表情を浮かべ居たが後方のグラーツィア公爵家の家紋を見て驚愕に目を見開き「な、何故グラーツィア公爵家の者が此処に!?予定では始末した筈では!?」と驚きを露わにして居た。


 そしてアレスはその言動にあの刺客達にこの豚も一枚噛んでいるのか?と視線を鋭くさせる。



 そうこうしているうちに一団が到着した。


「ピッグ男爵この騒ぎは何事ですかな?」と意外と冷静な声をしたログワーズ士爵が問いかけるがその声とは裏腹に額には青筋が浮かんで居た。



 それに対して豚男爵ことピッグ男爵は「ぬぅ。ログワーズ士爵……何そこの傭兵が私に難癖を付けて来て争いに発展してそこに勘違いした貴殿の兵士共が横槍を入れて来たのだよ」と苦しい言い訳をする。



 それに対してログワーズ士爵は「なるほど、なるほど。そうですか……では他の者にも聞いてみるとしますかな」と呟く。



 しかしそれに対してピッグ男爵は幾分か冷静になり不敵な笑みを浮かべる。


 所詮周りに居るのは平民でログワーズ士爵の兵士達も貴族の子弟などは居ない。


 まあ、低い可能性としてはこの女傭兵が何処ぞの貴族の子女なら話は違うがその可能性も低いだろうと考えて居た。



 そこでハッと白銀の騎士の方を見てある一点に目が釘付けになった。



 鎧の襟の部分にある徽章が目に入ったのだ。


 そこにはグラーツィア公爵家の家紋に良く似た者が描かれて居た。


 そしてログワーズ士爵はその騎士に問いかける。


「ヘルト殿。先程のピッグ男爵の話の通りかな?」



「いえ、違いますね。そこのピッグ男爵があちらの彼女に言いよりそれを拒否した彼女を無理矢理連れて行こうとした所を、そちらの傭兵の彼女が間に入りそれを不快にでも思ったピッグ男爵が配下の騎士に命じて排除しようとして返り討ちにあいそこに丁度衛兵の者達が到着し、ピッグ男爵は衛兵を排除する様に自身の配下の騎士達に命令を下しました」と粗方を説明する。



 最初の町娘達に絡んだ部分は直接は見て居ないが見て居た町人に聞き裏を取っている。



「と、言うことですが……何か申し開きは御座いますか?ピッグ男爵」と怒気を露わにそう問いただすログワーズ士爵。



 そして後ろの馬車からグレイスが登場した。


 それにピッグ男爵は顔を蒼褪めさせブルブルと小刻みに震え始めた。




 グレイスの登場に周りの町民達は平伏しようとするがそれを優しくグレイスは制する。


「皆さんそのままで構いませんよ」と言われて周りは他の者を見てどうする?と悩む。



 例え本人が気にしないとしてもその周りの者が気にして後で難癖を付けられる恐れがあるからだがそれを察したヨルゲは「案ずる事はない。姫様が許可されたのだ。我々はそれに従うまでだ」と宣言した事で町民達は軽く頭を下げるだけに留めた。



 そしてグレイスは先程までの朗らかな笑顔から一転して氷点下にまで表情を変え底冷えする様な声でピッグ男爵を問いただす。


「男爵これはどう言う事でしょうか?我が公爵家に対する宣戦布告だと解釈しますがよろしてですね?」と有無を言わさぬ態度で告げる。


 それに対して男爵が何か言う前にアレスが「そう言えば先程ピッグ男爵はグラーツィア公爵家の紋章を見て始末した筈だと告げられておられたがそれはどう言った意味ですか?」と告げるとグラーツィア公爵家の騎士達は一斉に殺気をピッグ男爵に向け今にも斬りかかりそうな険悪な雰囲気になった。




 ●●●


 その後詳しい話を聞く事になり男爵と配下の騎士達は武装解除された後縄で両手を縛られ衛兵とログワーズ士爵の騎士達により連行されて行く。



 ログワーズ士爵はピッグ男爵に絡まれていた2人にも事情聴取の為に館へと同行願った。




 その後の事情聴取でピッグ男爵が町人の娘を誘拐紛いに連れ去ろうとした所を女傭兵が間に入り止めた所、逆上して配下の騎士に命じて斬りかかられた所を女傭兵が反撃してあの様な事態になったとの事だ。



 それに幸い騎士達は気絶させられただけで大きな傷もなかった事から正当防衛が認められ女傭兵は無罪放免になった。


 この世界は貴族史上主義と言うか貴族と王族が絶対的な力を持っておりその配下の騎士もある程度の権力を握っている為に例え平民に非がなくても貴族に逆らっとと言う理由で罪に問われる。


 だが幸いグレイスは公正な人間である為に事情を聞いて全ての罪はピッグ男爵にあると認めた。


 さらに拷問紛いの事情聴取によりこれまでのピッグ男爵の不正行為も明らかになり更には今回のグレイスの襲撃にも一枚噛んでいた事が判明した。



 ピッグ男爵の配下は全ての死罪を言い渡され公開処刑が決定された。



 ●●●


 町娘は解放され女傭兵は残された。


 何でもグレイスが勧誘したいとの事だ。


 ヨルゲは何処の馬の骨ともわからぬ輩を(アレスの場合はまだ見た目が騎士でありその腕前も相当で言葉使いも丁寧であった為に認められた)しかも見るからに傭兵で言葉使いも荒く、腕前も騎士を3人も無力化したので立つのはわかるがこればかりは認められない。とグレイスを説得した。



 だがグレイスは生まれの身分など関係ない!と一喝し女傭兵を呼んだ。



 部屋に通された女傭兵はガチガチに緊張していた。



 ピッグ男爵に啖呵を切ったり出来たのは頭に血が上っていたからだ。



 さらに貴族の爵位としては最上位(大公は現在この国には居ない)である公爵家の令嬢で見るからに格が違い、更にはグレイスの背後に控える2人の騎士(アレスとヨルゲ)の力量もとても自分では敵わないだろうと思える程だ。


 透き通る程滑らかな白い肌を持ち綺麗に手入れされ太陽の光で神々しく光輝く銀色の髪に、全てを見透かすかの様なそれでいて暖かみもある碧眼に見つめられ、目鼻立ちも整い見事なプロポーションの自分と同じか一、二歳年下の少女に気圧されて居た。



 一方の女傭兵は健康的に焼けた褐色の肌を持ち空の様に蒼く澄んだ水色の髪にアメジストの様に美しい紫の瞳を持つ女性にしては大柄な身長を持つ女性だ。


 筋肉質だが張りのある柔らかそうな肌を持ちよく引き締まった細くくびれのある腰部分を露出した服装をして居る。


 普段は勝気なその瞳も今は垂れ下がり緊張して居る事が伺える。



「あ、あの……あたしに何かご用でしょうか?」と辿々しく質問する。



 それに対してグレイスは「先ずは自己紹介をしましょうか」と言い「私の名はグレイス・エアリアル・フォン・グラーツィアです。そして背後に控えるのは私の騎士であるアレスと私のお目付役でもあるヨルゲです」と言う。


 アレスとヨルゲは軽く頭を下げ再び不動の姿勢を維持する。



 それに対して女傭兵は慌てて勢い良くガバッと頭を下げる。



 そして頭を上げて「あ、いや……わたしの名前はミーシャ・カローズと言い……申します。えっと……今は傭兵をして生計を立てている……ます」と辿々しいながらも自己紹介をする。



「そう、ミーシャね?私は回りくどい言い回しとかわあまり好きでは無いので単刀直入に言わせて貰います。ミーシャ良ければ私の親衛隊に加わらないかしら?今の傭兵稼業よりは収入も安定して危険も……まあ、それはわからないけど今よりもましにはなると思うわ。勿論無理強いはしません。それと考える時間も必要だと思いますが、私たちは明日の朝に領都エクスクイジットを目指しますので出来れば明日の明朝までに答えを出して下さい」と言い一呼吸入れてから「では、また明日の朝お会いしましょうミーシャ。もし親衛隊に入ってもよろしければ旅支度を整えて西門前に来て下さい」



 ミーシャは一礼してから部屋から出て自身の泊まっている宿へと戻った。





 To be continued......







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