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白銀の槍術士のフレムデ  作者: 灰色人生
霧の向こう側
3/7

3話 初めての街イゾルデ

 3〜初めての街イゾルデ〜


 ●●●


 この街の名はイゾルデと言いグラーツィア公爵領最東部にある。


 その為に東からの侵攻などに備える為に築かれた砦を基にミルハイム王国の版図の拡大とともに大きく拡張して行き今では立派な城塞都市となっている。



 アレスはイゾルデでと言う名前に心当たりがあった。


 それは【|Wirklichkeitヴィルクリヒカイト】でプレイして居た時に立ち寄った所だ。



 だがその当時此処はただの村だった筈だ。


 そしてイゾルデの村が所属して居た国家はミルハイム王国と言う大国では無く無数にある小国の1つに所属して居た筈だ。



 これは調べる必要があるなと心のメモ帳に記入しそして機会があれば調べて見ようと硬く決心した。





 ●●●



 騎士団の護衛の元に街の中に入るとこの街の代官が出迎えてそのままこの街の行政府機関がある城に案内された。



 最初迎えに来た騎士達はアレスが他のグラーツィア公爵騎士団と装備が違う事に訝しむ表情を向けたがアレスが羽織って居るローブの胸部分にある徽章の紋章を見て納得の表情を浮かべて居た事から、度々こう言う事があるのか?と疑問には思ったが此処で余計な事は聞かなかった。



 代官はグレイスやヨルゲに襲撃事件の詳細を聞いた後一部隊を襲撃現場へと向かわせた。


 手掛かりなどは無いと思うが念の為にと警備上の都合で放置して来た遺体の回収だ。



 一部隊30名が先に出発した後遺体を乗せる荷馬車三台とその護衛の兵士50名が後続として出発の準備に取り掛かる。



 グレイス達一行は今晩はこの街で一泊した後明朝すぐ様グラーツィア公爵領領都へ向けて出発する。


 ●●●


 案内された部屋で旅装を解いたアレスはパールを預けている厩舎に顔を出して自らの手でブラッシングをしてやった。


 それに馬丁は驚いて居たが無視して続けた。


 騎士などは馬の世話を馬丁や従者に任せ切りにする後が多くこの様に自身で世話をする者は稀だと後で知った。


 特に貴族には多い傾向だと聞いた。


 アレスにしたらそれは憤慨物だ。


 アレスはパールの事を自らの半身の様に思っており戦場では頼りになる相棒だ。


 そんな存在を蔑ろにするかの行為に憤ったが新参者の自分がその様な事を言っても線なき事だと怒りを鎮めたが忘れた訳では無い。


 この世界でのアレスの現在の目的に1つ追加された事柄だ。


 アレスの目的は現在大きく分けて三つある。



『一つ目にして最大の目的は元の世界に帰れる方法の模索』



『二つ目は帰れなかった場合に備えての移住食の確保』


『三つ目は他にも自分と同じ境遇の人物や過去にその様な者が居たかの確認』



 以上の三つがこの世界に置けるアレスの主な目的だ。


 そして現在この大きな目的の内二つ目の移住食の確保は何とか達成出来そうな所まで来て居る。



 この世界の情勢やミルハイム王国がこの世界に置いてどう言う立ち位置であるかなどは未だに不明な点は多々あるが聞いた話によるとこのミルハイム王国は大国の一つに数えられる程だそうだ。


 更にそのミルハイム王国の中でも重鎮中の重鎮の一つであるグラーツィア公爵家の令嬢と縁が出来た。


 もしかしたら後ろ盾になって貰い元の世界に帰る手助けをしてくれるかも知れない。


 まあ、これは希望的観測が多分に含まれた願望に近いものなので除外するにしても今のアレスの身分はグラーツィア公爵家令嬢の一親衛隊員であるからして幸先の良いスタートと言えるのでは無いだろうか。




 パールをブラッシングしながら今日此れまでの出来事を思い起こしているとふと違和感が襲った。


 それは人殺しに対する忌避感や罪悪感などが一切湧かなかった事だ。



 この事に思い至りアレスは戸惑うがこの世界で生き抜いて行くにはその方が都合が良いか、と思いこの問題は棚上げにする事にした。



 ●●●


 ちょうどパールのブラッシングが終わり新しい粗飼料と水を与える。



 それが終わった頃にメイドの一人がやって来て食事の時間だと教えてくれて食堂に案内されたのでついて行く。


 食堂の前には二人の騎士が居た。


 二人とも知り合いの騎士達なので軽く会釈して扉を開けて中に入る。


 食堂の中にはグレイスにこの街の代官の男性にヨルゲ隊長が席に座って居り他は給仕の者が数名室内にいた。


「グレイス様、遅れまして申し訳ありません」と先ずは謝罪を口にする。


 アレスはグレイスの親衛隊となってから呼び名をどうすべきか悩み他の者と同じ様に姫様と呼ぶべきかと思いグレイスの事を姫様と呼んだがグレイスで言いと言われたのでグレイス様と呼ぶ事になった。



 最初は他の者の手前姫様の方がよろしいのでは?(特にヨルゲの視線が刺々しかった為に)と質問したが「アレス。貴方はグラーツィア公爵家の騎士では無くこの私の騎士なのよ?なので気にしなくても良いわ。それとも貴方は主君の言う事が聞けないの?」と言われては従うしか無い。


 渋い顔をしたヨルゲにグレイスが「ヨルゲ」と一言名前を言うだけでヨルゲは跪き「申し訳御座いません。姫様!」と謝罪を口にして以後こちらに刺々しい視線を向けなくなった。



「良いのよ。気にして無いわアレス。それと貴方は私の親衛隊なのだから以後は私の身辺警護を頼むわね」と優しくひまわりの様な暖かい笑顔を見せた。


 グレイスの歳は聞いたところアレスの四つ下の16歳だと判明した。


 アレスは今年20歳を迎えた。


 だがその微笑んだ笑顔に思わずアレスの頰が赤くなりそうになる程に魅力的な笑顔だったが、何とか鋼の意思の力でそれを跳ね除け生真面目な顔を作り「はっ!畏まりしたグレイス様」と応えた。



 会食の内容はやはり襲って来た刺客達についてだった。


 あの後周辺を隈なく捜索したが手掛かりと言える物は発見出来なかったとの事だ。


 騎士の遺体は持ち帰り墓地に埋葬したとの事だ。


 遺品は持ち帰り遺族の元へ後日届けるとの事だ。



 その後部屋の前までグレイスを送り届け後の警護は女性の騎士に引き継いだ。



 流石にグレイスの親衛隊と言えど若い男がグレイスの寝室の前で警護に着くのは如何なものかとヨルゲがそう言いグレイスも反論したが流石にヨルゲの言う事は正論でありグレイスはグラーツィア公爵家の令嬢と言う立場上大人しく寝室近くの警護は女性の騎士に任せた。



 特にする事もないアレスは部屋に戻り装備の点検をして他にも何か使える機能がないか確かめた。


 イベントリが使えるのでメニューが出来るか調べると案の定使えた。


 だがそこにログアウトの表示が聞こえてチャットも現在は接続出来なくなって居た。



 アレスは先ずは装備一に設定している現在の装備から普段着に着替えた。


 普段着と言えども元の世界のではなくゲーム時の物だ。


 絹地立ての上等な服装に着替えその日夜遅くまで何が出来るのかそして何が出来なくなっているのかなどを調べて就寝した。



 ●●●


 翌朝日が昇る少し前に起きて服装を運動着に着替え軽くジョギングで汗を流し井戸で行水を行なった後にパールの元へ行き撫でてから騎士服に着替え最低限の装備をしてからグレイスの居る寝室に向かった。



 本当は槍などの鍛錬をしたかったが此処をもうすぐ発つので時間がない。


 部屋の前に行くまでに幾人か巡回の兵士に出会った。



 出会うたびに彼らは敬礼をしてくるので返礼を返しながらグレイスの部屋へと向かう。


 部屋の前には昨日引き継ぎを行なった女性の騎士達が居た。



「おはようございます。グレイス様は起床されて居ますか?」


「はい。ご起床されておられます。現在はお着替えをなさって居ますのでもう暫くお待ち下さい」



 アレスがグレイスの親衛隊の一員だからだろうか非常に丁寧に対応される。



 グレイスに今回の護衛に親衛隊はつけなかったのか聞いてみると今回は御忍びと言う側面上、親衛隊の者も一緒に出掛けるとグレイスがグラーツィア公爵家に居ないことがバレる可能性が高まると言う理由から連れて来なかった。


 さらに親衛隊のメンバーにはグラーツィア公爵家に仕える下級貴族の子女が数多く居ることも理由に挙げられる。



 それに下級とは言え貴族の出だ。


 礼儀作法などは問題ないが武芸に関してはお世辞にと良いとは言えない者もいるが彼女らは努力を怠らず毎日訓練に勤しんでいる。


 中には武芸に秀でている者もいるのでその者を親衛隊の部隊長に就任している。


 そんな者も未だに実戦経験などはまだ無く訓練に勤しむ日々を過ごしている。



 領内の野盗や盗賊それに危険な化物(モンスター)の討伐などば騎士団が請け負う為にグレイスが父に直談判して自分の親衛隊にも参加させて欲しいと願ったが未だに叶っていない。


 なので実質アレスが初めての護衛を任せられる人材と言うことだ。



 これには少しばかり溜息が出たが気を引き締め直して頑張る事にした。




 ●●●


 暫く部屋の前で待機して居ると中から侍女が出て来て用意が完了したとの事だ。


 ノックをして許可を得て室内に入ると旅装に身を包み身支度を整えたグレイスが居た。


「おはようございます。グレイス様」と中に入り挨拶をする。




「おはようアレス。では食堂に向かいましょうか」と言い食堂に向かうグレイスに続く。



 食堂には既にヨルゲと代官が居てグレイスの姿を見ると椅子から立ち上がり挨拶をしそれにグレイスも応える。



 グレイスが上座に座ると他の面々も席に着く。


 アレスは自然な動作でグレイスの斜め後ろに行こうとするが「アレス。貴方も一緒に食事をするのよ?」と言われたので黙って空いている席に腰を下ろす。


 すぐさま給仕の者達が配膳を行いそれが終わると壁際に待機する。



 その後黙って食事を開始して初めに口を開いたのは代官の男性だ。


「姫様。護衛の兵士達の準備は出来て居りいつでも出発可能です。それと次の街には予め先触れを出して居ります。護衛の兵士達の規模は速さを優先との事ですので一個小隊規模に抑え厳選した精鋭を護衛に当たらせます」



「そう、わかりました。ですが次の街には寄らずに一直線に領都エクスクイジットを目指す事にします。ですので次に立ち寄るとしたら……カーペですね」と告げる。


 代官の前だと口調は砕けたそれから大貴族の令嬢然としたものに早変わりだ。



 次の目的地がカーペだとかなりの強行軍になる。



 グレイス付きの侍女のメリッサが「姫様それだと強行軍になりますので御身体にお障りになるかと思われますが?」と言外に止めといた方が良いと進言する。



 そんなメリッサにグレイスは微笑みかけ「大丈夫ですよメリッサ。心配してくれてありがとう。貴女は後から来ても良いのですよ?」と優しく語りかける。



「いえ!姫様私も御同行致します!」と力強く言う。


「わかったわ。メリッサありがとう」と優しく微笑みを浮かべる。


 その口調はいつもの親しげな口調に自然と戻っていた。



 その後細かい経路の打ち合わせをした後出立する事になった。


 アレスは部屋までグレイスを送り届けた後に部屋に戻り鎧を装備し直して厩舎にいるパールを迎えに行く。



 パールにも馬具と革製の馬鎧をつける。


 この革鎧もただの動物の革では無くある化物(モンスター)の革を使用している為に非常に丈夫だ。



 そして準備が整うと表門に向かいグレイスの側に使える。


 兵士達の準備も整い整列している。


 ヨルゲが出立の合図を出し一行は次の目的地カーペへ向けて出発する。



 To be continued......





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