グレイ、内乱の後始末をする3
帝国からの勲章を授与されたグレイはその翌日。獣人たちが保護されている区間へと来ていた。理由は獣人たちを獣王国へと転移魔法陣にて移動させるためだ。
まずは、魔法陣を用意する。魔法陣はすでに大きめの紙に書いて用意してあるものを使用する。
魔法陣の起動実験をし、問題なく発動するのを確認した後、獣人たちを10人単位で獣王国のとある場所へと次々に送っていく。
ーーそして1時間後。
グレイは最後の6人と一緒に転移魔法陣にて転移させると、周囲を見、獣人たち全員が転移したことを確認する。そして、自らも獣王国へと転移した。
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グレイが転移した先は獣王国の王宮に隣接された訓練場。主に戦闘部隊が鍛錬に使う場所だ。
そこにはすでに獣王国国王のレオポルドや王妃のリーナがいた。エレナは見当たらないので王宮にいるのだろう。他には三獣士のシズと近衛数人がいた。
「グレイよ、ご苦労だったな」
「グレイくん、国民たちを救っていただいて本当にありがとう」
レオポルドとリーナがグレイに礼を言った。ちなみにリーナのグレイに対する呼び方や言葉使いが変わっているのは、今のグレイが使者ではないというのと、単にグレイが断ったからだ。
「いえ」
「何か出来ることはあるか?これから彼らから薬物を抜くのだろう?」
「それなら人員を少し貸してもらえませんか?コレを配るので」
グレイはインベントリから大きさにして10cmほどの液体が入った瓶を取り出し、レオポルドに見せる。
瓶の中に入っている液体は解毒効果があるポーションだ。しかし、ただの【解毒ポーション】ではない。使うポーションは通常の【解毒ポーション】を更に強力に改造した【解毒ポーションEX】(セバスチャン命名。グレイが名付けようとしたら【解毒ポーション スーパーウルトラデラックス】になっていた)。
このポーションは”世界樹の葉”や”ヒュドラの毒袋”などの高価な素材が使われている。その代わり、高い効果を持っており、どんな毒だろうと解毒し、体に悪い影響を及ぼす薬物の効果をも打ち消してしまうというポーションだ。
ちなみに、獣人たちの体内に残る薬物は、身体能力を上げる代わりに寿命を縮めてしまう副作用がある。そのため、これから普通の生活を送っていくためにも薬物を抜くのは急務なのである。
グレイはポーションが入った木箱を大量に取り出し、地面に置いていく。そして、レオポルドから提供された人員を使って獣人たちに配っていった。
獣人たちは礼を言いながらポーションを受け取ると、次々に飲んでいった。やがて、全員に行き渡り、全員に飲ませることができた。
「これで一先ずは大丈夫だと思います。もし、何かあったら知らせてください。俺はまだ、国王の護衛依頼の途中でして、もう帝国に戻らないといけないので」
「分かった。……グレイよ。本当に色々とありがとうな」
グレイは再び、転移魔法陣で帝国へと戻っていった。
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帝国に戻ったグレイはその足で帝城へと向かう。これから国王を護衛しながら【フランツ王国】へと帰国する準備をするためだ。
グレイだけなら転移魔法陣で速攻で帰国可能なのだが、貴族や王族というのは面倒臭いもので、経済の活性を兼ね、移動する際には必ず街を経由しなければならないという暗黙の了解があるのだ。そのため【フランツ王国】に戻るために、また3日という時間を掛けなければならない。
帝城に与えられていた自室にて準備を終えたグレイは、レンブラントらと共に馬車に乗る。
そして、【フランツ王国】出発時と同じく、馬車2台に、それを囲う騎士団と魔法騎士団という形で出発するのであった。
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帝国を出発してから3日目。
予定では今日、【フランツ王国】に到着する予定だった。しかし、到着することは叶いそうにない。
以前、マーリンーー冒険者ギルド【魔法都市アルベリオン】支部支部長ーーの言っていたように魔物が活発化及び増加しているようなのだ。どうやら【フランツ王国】から【ガーランド帝国】に行く際にあまり魔物に遭遇しなかったのは相当に運が良かったらしい。
グレイたちは今日だけで彼此3回は襲撃を受けていた。本来なら街道付近に魔物が出ることはあまり多くない。それは街道付近に出る魔物は早急に討伐されるか駆逐されるからだ。
しかし、例外もある。例えば、出現した魔物が元々住んでいた場所に住めなくなり、街道付近に住まざるを得なくなった場合だ。
最近、魔力溜まりが世界各地に過去例を見ないほど増えている。それによって、魔物が好んで住む森や山などの場所に魔物が溢れてきているのだ。そうした中で弱い魔物は住む場所を追われ、街道付近に出現しているのである。
グレイは出現した数十に及ぶゴブリンを見て思う。”早く家帰りたいな”と。
「キャハハハッ!死に晒せ!ゴブリンどもッ!」
そして、グレイは戦闘狂モードへと切り替わっているサンドラを冷めた目で見る。
「……おい。グレイ。目が死んでるぞ?」
「オウチカエリタイ」
「?!おい!正気を取り戻せ!」
「……冗談だよ。まあ、家帰りたいというのは本当だけどな」
「なんだよ。疲れて壊れたかと思ったぜ」
そんなことを繰り返すこと後4回。ようやく日が変わり、そして半日ほどが過ぎた。
グレイたちは今、【フランツ王国】王都の王城にいた。
「皆の者、ご苦労であった。此度は色々なことがあった故、報酬の方は弾ませよう。後ほど使用人に運ばせる故、しばし待て。騎士たちにも特別給与を出すことにしよう」
グレイたちは会議室で待つ。
そして、10分後。グレイたちは使用人から報酬が入った袋を受け取った。
(やっと終わった……。もう護衛依頼は絶対に受けんッ!)
グレイは心の中で硬く決意した。
そうして長い長い国王護衛依頼は終息を見たのだった。




