-王都ポセインに入国2-
やっとついた。ここがリーゼンの教えてくれたギルドか。
僕の前には、【ギルド ポセイン支部】と書かれた大きな看板が飾られていた。ギルド自体は、古臭い洋画に出てくるような酒場の様な外観であり、自分が想像していたモン◯ンの集会場やネトゲに出てくる様な建物だったが、イメージと違っていた。想像よりなんというか……ボロい&汚い。
詳しく言うと、木でできているものの、茶色というより茶色が濁って、黒に近いし。加えて、そんなに建物も大きくないから、でかい看板が不釣り合いであり、ギリギリこの建物に納まっていると言うのが妥当だと思う。でも、このでかい看板を見なければ、見た目じゃなかったらわからなかったと思うから、でかい看板は広告としては役立っているのかなと思う。実際違うと思って、一回見なかったことにしちゃったし。
まぁそんなこんなありながら、ようやくたどり着いた訳だが、ここまでに来る間にこの国の雰囲気は感じられた。
前門しか開かないため、正門から約1kmぐらい行商者の人等の露店が続いている。色々な店があり、剣などの装備を売っている露店もあれば、僕のいた世界でいう豚串の様なものを売っている露店もあったり、小物やアクセサリーを売っている露店など様々な売り物があった。
売っている人も様々で、同い年の様な人もいれば、猫の耳と尻尾をしている様な人もいた。装備を売っているところなんかは背が小さい人が多く、きっとドワーフなんだろうなって思う。
正にゲームで出てくるような露店があり、僕は内心ドキドキしていたが、あっちも商売をしているから歩いていると、すごく声をかけられる。
だから、お金がないことを伝えると、「じゃあ今度よって来なよ。」と優しく伝えてくれるところもあれば、「さっさと行けと」睨まれる時もあった。僕はその所為で、若干この場所が怖いと思ってしまった。
僕の記憶の中にどこかこの感覚味わったことがあると思ったら、アメ村に一度行った時怖いと思った感覚と一緒だと思った。
他にも色々とあったのだが、それはいいや。むかつく女にあったとか思い出したくないし。まぁとにかく、とりあえずはついたから、ギルドに挨拶をしなければならない。
僕は勇気を振り絞って、汚いドアに手をかけた。ドアノブはなく、ただ押すだけで開く扉だ。
ギィと音を鳴らし開いたドアの内側には、外見とは違い意外と綺麗にまとまっている部屋の中があった。しかし、中には受付に1人の女性しかおらず、自分が思っていた装備をつけた人が一杯いて、情報を交換したりと活気がある感じは一切なかった。
僕は、女性に声をかけるのが苦手であるが、二回目の勇気を振り絞って、受付の女性に声をかけた。
「すいません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど。」
…
……
………あれ。
受付の女性は若く、大体20後半に見える。顔も整っており、耳はちょっと長くエルフを思い出させる。なぜこんな汚いところにと思うぐらいの綺麗さである。だから、耳が遠いなんてことはないと思うけど……。
僕はもう一度声をかけるが、反応なし。まぁ元々耳が遠い人がいると聞いたこともあるし。
よしっ……。
「すいません。気聞きたいことがあるんですけど。」
僕はさっきの2倍ぐらいの声で叫んだ。
…
……
………
「てめえ、さっきからうるせえんだよ。聞こえてるわ。殺すぞマジで。」
僕に顔を向けた綺麗な顔は、一気に鬼の形相になり今にも殺しそうな勢いで睨まれた。それだけで良かったのだが、数秒後には胸グラを掴まれており、殴られる寸前だった。
「リーゼンさんから、紹介されてきました。リーゼンさんから頂いた紹介状です。」
僕は最後の望みと言わんばかりに、リーゼンから言われた通りに言った。そして、ポケットに入っていた汚い字で書かれた紹介状を渡した。
胸グラを掴んでいた手は目にも留まらぬ速さで、紹介状を掴んでいた。
…
……
………
数秒の沈黙が流れる。
「もうー。そういうことなら、早く言ってよ。ラーゼンの紹介なら、こんな態度取らなかったじゃん。」
受付の女性はさっきまでの鬼の形相から、一気に天使の微笑みに変わっていた。そしてハグをされた。ハグされそうな瞬間死期を悟ったが大丈夫だったようだ。
女の人ってこんなに豹変するのか……。僕は、女性は世の中で1番怖い人種だと悟った。