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いじめられっ子からの世界征服  作者: ME
-いじめられてた世界から別世界へ-
4/39

-いじめからの脱出4-

「助けていただきありがとうございます。」

 僕は、九死に一生を助けていただいた御礼をするため頭を下げた。

 溶け始めていた服もこの時点で大抵が溶けていたので、大男から布をもらって服の代用した。荒れた皮膚には軟膏の様なものを塗ると驚くほどに直ぐ回復した。きっと、ファンタジーな世界でよく見るポーションとかの回復薬の一種なのだろう。布ももらって、軟膏まで貰い、命の恩人に感謝も絶えないため、より一層深々と頭を下げる。


 そんな姿を見て、大男は、「おいおい。頭を上げろよ坊主。冒険者として当然のことをしたまでだ。それに男が頭を下げる時は大切な時にとっておくものだぞ。」

ダンディーな大男は、もう用済みとなった僕じゃ確実に持てないだろう大剣を背中に背負い、ガハハと笑っていた。

 そんな姿をみて、僕は今まで見た人の中でこんなに男らしい人はないと思った。女性だったら惚れてしまうのではないかと思うくらいだ。


 「まぁここで知り合ったのも何かの縁だ。まずは自己紹介しようや。最初はおれか俺の名前はリーゼン・グリア。気軽にリーゼンって呼んでくれ。ちなみに周りから人喰いのリーゼンって呼ばれてるぞ。」

ガハハハと自慢げに笑っている。

 人喰いのリーゼンねー。ずいぶん大層な名前をつける奴がいるな。

……

………

 えっ人喰い。どういうことだ。このダンディな男は人を食うのか。

 つーことは、僕この人に食べられるのか。スライムに食われるか、ダンディな男に食われるかってどっちの未来も食われることには変わりないじゃないか。異世界ならなきにしもあらずだし。

 変な妄想が広がり、今までの安堵感が恐怖心に変わった。


 あたふたし出した僕の姿を見て、リーゼンは僕の背中を叩き、先ほどより大笑いを始めた。

 「人喰いのリーゼンと聞いて本当に自分が食われるんじゃないかって、あたふたしているやつは久々に見たわ。」


 一頻りガハハハと盛大に笑い終えた後、乱れた呼吸を整えて話し始めた。

 「結構知れてる名前だと思ったんだがな。俺もまだまだということか…まぁ人喰いというのは俺の能力の通り名みたいなもんだ。

 人の技をくらったら、その技をコピーして、寸分違わず真似することができる。人の今までの苦労を一度受けただけで、一瞬にして喰らってしまうことができる。だからこれが通り名の由来だ。人間なんてまずいもの食うものか。まぁ実際に食ったことはないがな。」


 またガハハハと笑い出した。そんな姿をみて、僕は少し過剰な心配をしたと思い、ホッとした。


「今度は坊主お前の番だ」

 僕が落ち着いたのを見て、話しかけるなんて振る舞いもダンディだな。


 「えっと。僕の名前は、高梨樹。年齢は16歳。えっと…」

 他に言うことが思い浮かばなかった。

 普通だったら出身地とか言うんだろうけど、僕は異世界にきて身分を証明するものが名前と年齢しかなかった。


 「ほう。高梨とは珍しい名前だな。昔の英雄の中にお前の様な名前があったな。その英雄について書かれた本には、俺は違う世界から来たとか言ってたと記述があったな。まさかお前も違う世界から来たのか。こんな草原にそんな装備で来るのも常識はずれだしな。弱いとはいえ、この辺にはモンスターもいるわけだしな。」


 その言葉を聞いて、ドキッとした。実際この世界で異世界人はどの様な扱いを受けているのかもわからないから、あまり異世界人だと思われたくない。


僕は、なんとかなぁなぁにこの場を流せる言い訳を探し、数秒間フルに頭を回転させた。


「いえ、僕は小さい村の出身で、英雄の様になってもらいたいということで、親はその英雄の様な名前をつけたんです。でも、小さい村で教育とかはあんまりされていなかったんです。子どもの時にモンスターに村が襲撃されて、村は壊滅状態になりました。

 なんとか僕は生き残ったのですが、運悪く奴隷商人に捕まって、それから奴隷として生きてきて、今日もう用がないからと言って草原に捨てられたという訳なんです。だから、装備もしてなかったし、この年齢でもあまり世界を知らないんです。」


すげー嘘っぽい。話してて自分で嘘がつけないんだというのがわかるぐらいリアリティがない。リーゼンはこちらを怪しむ様な顔をしているし、これはまずい。

そう思った高梨は、リーゼンの手に触れ「信じてください。」と強く願った。

すると、リーゼンはさっきの顔とは別に涙を流し、「辛い人生だったな。」と背中をバンバン叩いている。


 まさかこの嘘が通じるとは思えなかった。だが、まぁリーゼンは人情に厚そうだから、こう言うのは信じてしまうのかもしれないと思った。


 「じゃあお前はこれからどこにも行く当てはなかったんだな。じゃあまず王都へ向かおう。ここから10km先に王都、ポセインがある。そこまでは何かの縁だ。送り届けてやる。助けた命をまた直ぐ失わせては、俺が助けた意味もないしな。」


リーゼンは、また笑っている。よく話すたびに笑うが、それも人の良さを感じられる要因となっている。

 まぁ僕には断る理由もなく、二つ返事で一緒に行くことを呑んだ。そして、その返事を聞いたリーゼンは、笑った後に呼吸を整えると言う定番の動作を行った後、「じゃあポセインまでよろしくな樹。」と僕の肩をポンっと叩き、歩き始めた。

 僕たちは青い空の下、ポセインに向けて歩みを開始した。

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