-いじめからの脱出3-
…………
あれっ
僕飛び降りたよな。
なんで痛みとかないんだ……
あっこれが俗に言う天国に行くってことなのか。
…でもあんな親でも先に死んじゃったら地獄に行くはずだよな。
まぁ走馬灯的なアレで目を開けたらまだ落ちてる最中かもしれない。
…よしっ。開けてみよう。
…
……
………
…………どこだここ。
僕の目の前には、最後に見た景色とは違う世界が広がっている。
夜だった景色は、雲ひとつない青空が広がっており、コンクリートの上に落ちたはずの地面は、学校の人工芝ではない本物の草原に変貌を遂げていた。
…
……
一気に変わっていた景色に数十秒フリーズしてしまった。そして、フリーズしている間にあるものが目に入った。
水色の液体状、いやゼリー状のなんか動いてる物体。中には核みたいなものが見える。
いやこれってまさか、あれだよな。ドラ◯エとかに出てきたり、あの転生したらなんとかだった件とかにでてくるあれだろ。僕の知っている中にあんな物理法則を無視した動く液体はない。
ってことはまさか、ここって…異世界⁉︎
そう思った瞬間歓喜してしまった。
あんなクソみたいな世界の神様でも最後の願いくらいは叶えてくれるんだな。
やるな神様。まじ感謝。
「ありがとう。神様ー!!」
嬉しすぎて珍しく声を荒げて叫んでしまった。嬉しさで大声を出すなんていつぶりだろう。たぶん高校入学前には一回くらいあったかな。あっ高校入試で受かった時中に一回出したわ。
そんなことを思いながら、周りを見渡してると、先程いた青い液体が移動を止めていた。なぜかこちらを見ている気がする。
仲間になりたいのかなとか思ったら、一瞬のできごとだった。青い液体が僕の体を包み込んだ。
あー忘れてた。一応スライムって酸で溶かして栄養を取るとウィキペディ◯に書いてあった気がする。そんなことを思い出し、慌てて逃げ出そうと試みるが、青い液体はアメーバのため粘着が強く少しも身動きが取れない。
そうこうしている内に、息ができない苦しさと服が少しづつ溶けていっているのが目に入った。なんか皮膚もだんだん痛みとともに荒れてきたのがわかる。
僕の異世界滞在時間は1分30秒で終わるのか。短いニューライフだったな。溶けているのにそんなに痛みがないのは、痛くないような物質でも出ているのかなぁと考えてしまうくらい諦めモードだ。
最後の最後に夢が叶って良かった。景色を目に焼きつておこうと、物思いに馳せたその時、今まで体を包み込んでいた液体が飛び散った。
状況が一転二転するため、何が起こったのかまるで頭が追いつかない。
そんな僕に1人の男が声をかけてきた。
「大丈夫か少年。死に直前だったな。」
話しかけてきたのは、髭を生やしたダンディーな大男だった。
僕は異世界にきて1分で生死を彷徨った。