第3話 避けられて、仲直りして、明かされた秘密
大変遅くなりました
その後、ラインボルトと一緒に宿へ戻ると、レガードさんとコレットさんは彼を快く歓迎した。親しげに会話をしているところから、本当にこの宿の常連なのだろう。
僕は少し離れた場所からラインボルトを見ていた。
アイツは僕のナイフをあっさりと止めた。周りにいた人や、ボスでさえ気付いていなかったのに。
ラインボルト……奴は何者なんだ。
僕のナイフを止めるなんてタダ者じゃない。
奴とはあまり関わらない方がいいな。ただでさえ目立つ格好をしてるし、なにより有名人らしいから。
……って、思ってたのに。
「グーリームー!こっち来いよォ!」
酒に酔ってハイテンションのラインボルトが大声で僕を呼ぶ。周りで食事していた客の視線が彼と僕に集まってきて気分が悪い。
あの男……殺してやろうか。
怒りで作り笑顔が崩れそうになるのを必死に堪えながらラインボルトの所へ行く。
「……何か用ですか。エールの御代わりでしょうか?」
「まぁ、それもあるけど、とりあえず座れよ」
「お断りします。僕は暇ではありませんので」
今はウェイターの仕事中だ。注文を取る客はまだまだいる。この酔っ払いに構ってる暇はないのだ。
「レガードさん、エールをもう一杯お願いします」
「はいはい。ラインボルトさんは相変わらず飲むね」
はっはっはと、愉快そうに笑いながらレガートさんは厨房の床にある扉を開ける。実はこの宿には地下倉庫があって、そこは食料庫となっている。数回降りたことがあるが、地下倉庫は冷蔵庫のようにひんやりとしていて少し寒い。レガードさん曰く、地下倉庫は年中温度や湿度が変わらないらしい。なぜだろうと不思議に思うが、思うだけで終わっている。ここはファンタジーの世界なのだからと思えば、多少の不思議は納得できるから。
レガードさんは梯子を使って地下を降りるとエールが入った瓶を取ってくる。そして瓶のコルクを開けてジョッキに並々と注いだ。それをトレンチに乗せてラインボルトの所へ行くと
「かしこまりました。少々お待ちくださっ、きゃっ!」
ウェイトレスをしていたアリスが自分の足に躓いて倒れそうになる。やれやれと思いながらアリスの身体を空いていた片腕で抱き留めた。本当にドジッ子で困ります。
「大丈夫ですか?」
「えっ……あ!ごっ、ごめん!」
急にアリスが体勢を整えたせいで、片手で乗せるように持っていたトレンチがグラッと傾く。しまったと思っても遅く、エールも大きく傾いてしまう。
床に落ちる覚悟をしたとき、横から現れた黒い物体によってトレンチとエールは支えられる。
驚いたことに、黒い物体はラインボルトの姿をした影だった。信じがたいが、本当にラインボルトの影が動いて僕達の身体を支えている。ラインボルト本体は机に身体を預けながらこっちを見ていた。
「"クロ"、よくやった」
ラインボルトにクロと呼ばれた影は丁寧に僕とアリスを立たせると、トレンチを持ってラインボルトの所へ戻っていく。そしてトレンチごとエールを机に置くと影は姿を崩し、今度はつぶらな青い瞳をした楕円状の黒い生き物へと姿を変える。その生き物は身体から2本の触手を伸ばすと机に乗った。机に乗った拍子に楕円の身体がプルプル揺れる。
……何だアレ。
「アンタも飲むか?」
と、ラインボルトがその得体のしれない生き物に言うと、その生き物はコクッと頷き、再び触手を伸ばして器用にエールを飲み始める。あの生き物はエールを飲むのか。ますます何の生き物か分からない。
「助けてくれてありがとうね。それじゃ、仕事に戻るから」
「あ、はい」
アリスは僕から逃げるように去っていくけど、僕はそれよりもエールを飲み干した黒い生き物に目を奪われていた。
僕は吸い込まれるようにその生き物に近付く。その生き物は僕に気付くと、ラインボルトの身体に隠れてしまった。姿を見ようと身体をずらしても、黒い生き物も動いて隠れてしまう。
「スライムを見るのは初めてか?」
そんなやり取りを見ていたラインボルトが言った。スライムと言う、聞き慣れない単語に僕は言葉を詰まらせた。そんな僕にラインボルトはニヤッとほくそ笑む。
「そんな顔してる」
酒でほんのり頬を赤く染めたラインボルトに真っ直ぐ目を向けられて、僕は正直にコクッと頷いた。
「スライムを見たことないなんて珍しいな。生まれはどこだ?」
「……ここからずっと遠い、小さな村です」
この世界に来てから、何度言ったかわからないセリフ。ラインボルトはしばらく僕をジッと見たまま何も言わない。何を聞かれるのか身構えていたけど、彼は「ふ~ん」とだけ言って、隠れていたスライムを両掌に乗せて僕の前に持ってきた。クロは不安気に揺れながら青い2つの目で僕をジッと見てくる。
「コイツは俺の相棒のダークシャドースライムのクロだ。スライムは魔物だけど、クロは人を襲ったりしないから安心して」
襲わないことをアピールするように、ラインボルトはクロを餅を丸めるように捏ね始める。捏ねられるクロはとても気持ちよさそうでされるがまま。その姿はまるで慕っているご主人様に撫でられているペットみたいだ。
十分に捏ねられたクロは机の上に下ろされると、ピザ生地みたいに薄く丸く広がった。もしかしたらこれがリラックスした状態なのかもしれない。
「可愛いだろ」
可愛いかは分からないけど安全なのはよくわかった。
薄く広がったクロを指で突っついてみると、少し冷たくて指が軽く押し返される。冷たさといい、弾力がある感触は丁度こんにゃくみたいな手触りだ。気持ちがよくてしばらく突っついて遊んでいると、クロが元の姿に戻ってしまう。
クロは今度は逃げるそぶりは見せず、伸ばした触手で指を掴んだ。
「仲良くしようだって」
「はい、よろしくお願いします」
さっきのどの場面に仲良くなる要素があったのかは謎だけど、握手を交わせばクロはニコッと笑ってプルプル震えていた。どうやら喜んでいるらしい。
やっぱり少し可愛いかもしれない。
「よかったな、クロ。……なぁ、ついでに俺とも仲良くしてくれよ。友達の友達も友達って言うだろ?」
嫌です。
……と言いたいのは山々だけど、彼の相棒のスライムと仲良くしようと言ってしまった今、断るのも憚れるというもので。しかもクロも懇願するような目で見てくるし。
しょうがないですね。
「よろしくお願いします」
「なんかスッゲー嫌そうだな。まあまあ、仲良くなって後悔はさせないからさ」
さてどうでしょうね。あまり期待しないでおきましょう。
「あっ!信じて無いって顔してんな!」
おっと、顔に出ていましたか。
「全く。そうだ、レガードから聞いたんだけど、アンタ、旅人なんだろ?」
「ええ……、そうですが……」
「よしっ。じゃあ、俺が旅に便利な道具を教えてやるよ。この町に行きつけの店があるんだ」
「本当ですか?ありがとうございます」
今まで旅をしたことが無い身としては、アドバイスをくれるのはとてもありがたい。
「いつ店に行く?」
「明日の午後はどうですか?」
「ああ、いいぞ。約束忘れんなよ」
「はい」
ラインボルトとクロと別れ、僕は再びウェイターの仕事に戻った。ウェイターの仕事をしながら明日はどんな店に連れて行ってくれるのだろうと思うと、少しだけラインボルトさんと出かけるのが楽しみになった。
*
今日の仕事を全て終えて、風呂から上がり、部屋に戻ろうと廊下を歩いていると
「あ」
向こう側からアリスが歩いて来るが、僕を見るや否や気まずそうに顔を逸らされてしまう。
「あ、その、じゃ!」
「待ってください」
回れ右をして逃げ去ろうとするアリスを呼び止めれば、立ち止まってくれる。でも背を向けたままこっちを向こうとはしない。
「なぜ僕を避けるんですか?」
「さ、避けてないよ」
なら、なぜこっちを向いてくれないんでしょうか。
やれやれ。アナタは良くも悪くも嘘がつけない素直な人なんですよ。
小さく溜息をついた後、彼女の肩を掴んで正面を向かせると、両手で顔を挟んで動けないように固定をする。
見下ろすように緑色の瞳を覗き込めば、アリスは頬を淡く染めた。
これは……恥ずかしがっているのでしょうか?
ふむ、可愛らしい反応ですね。嫌いでありません。
「さっきの言葉、僕の目を見てもう一度言ってください」
囁くように言えば、アリスは目を逸らして首を竦ませる。しばらく目線をウロウロさせていたが、諦めたのか小さく口が動いた。
「その……避けてたことは謝る。怒ってるよね、ごめんなさい」
「別に怒ってはいません。ただ理由が知りたいだけなのです。僕が気に障るようなことをしたのなら、謝るのは僕の方ですから」
「そ、そんな、気に障ることなんてしてないよ。ただね、今日グリムが助けてくれたとき、少しも躊躇しないでナイフを抜いたでしょ?その姿が別人みたいで怖くなっちゃって、それで避けちゃったの……」
そうか。どうも僕はそういうのに当たり前の感情に疎い。
普通なら人の命を奪う光景に恐怖を感じるものだ。まして、こんな穏やかな時間が流れている場所で暮らしているなら尚更刺激が強かった筈。
あの時は自棄になっていたとは言え、配慮が足りなかった。
「そうでしたか。やはり僕は謝るべきですね。怖がらせてすみませんでした」
「ううん、謝らないで。私の方こそ、助けてもらったのに怖がったりしてごめんね」
「いいえ。アナタは悪くありません。理由を話してくれてありがとうございました」
挟んでいた両手を離し、背を向けようと足を一歩下げた瞬間、アリスが僕の服を小さく引っ張った。
何だろうと思って首を傾げるけど、どうやら僕を引きとめたのは無意識だったらしいアリスはパッと手を離した。
「ご、ごめん。何でもないの……」
気まずい空気が僕達の間を流れていく。この状況を打破するために僕は頭を働かせ、思いついたことを口にした。
「ホットミルクでも飲みませんか?」
僕の提案に今度は目をパチパチさせるアリス。
さっきから百面相状態の彼女が可笑しくて、我慢できずにクスッと笑ってしまう。
笑ったせいで今度はムッとした顔で睨まれるけど、全然怖くないです。
「怖がらせてしまったお詫びです。如何ですか?」
「……じゃあ、貰おうかな」
場所を廊下からリビングに移してアリスをソファーに座らせると、僕はキッチンへ行き、マグカップを2つ取り出した。鍋で牛乳を温めるとマグカップに注ぎ、それに蜂蜜と少しの砂糖を入れて混ぜる。普通よりも甘いホットミルクの完成です。
「どうぞ」
「ありがとう」
マグカップを渡すとアリスの隣に腰を降ろす。一口飲むと優しい味が広がって全身の筋肉が緩む。ふぅ……と一息ついてホットミルクの味を堪能する。
「これ、何か入ってる?」
「砂糖と蜂蜜が入っています。普通のホットミルクより甘くて美味しいでしょう?」
「うん、すごく美味しい。グリムって本当に甘いの好きだよね」
「ええ。甘い物は幸せな気持ちにしてくれます」
「その気持ち分かる。甘い物は正義!」
「その通りです」
アリスとは話が合いそうです。
しばらくホットミルクを飲みながら談笑していると、アリスがフフッと表情を綻ばせた。
「どうしました?」
「いや~、嬉しいなって思ったの」
僕が首を傾げると、アリスは柔らかい表情を保ったままこちらを見た。
「グリムがいつも通り接してくれるから嬉しいんだよ」
どこか深みのある言葉に、僕はどう返せばいいのかわからなかった。
アリスは僕から視線を外すと、少しだけホットミルクを飲んだ。小さく喉が動いた後、アリスは僕に目を合せることなく言葉を紡ぎ始めた。
「昼に会った人達が私に言ったでしょ?エルフ族だって。私ね、エルフ族らしいの」
アリスは髪で隠れていた耳を露わにすると、指で挟むように触り始める。特徴的な尖った耳は彼女が人間ではないことを象徴していた。
でも、耳が尖っていると言っても、普通の人よりも先が尖っているだけだ。髪で隠せば普通の人間と見分けがつかない。
「エルフ族は三眷族の一つだから、私がエルフだって分かると、よそよそしい態度になる人が多いの。でもグリムはいつも通り接してくれるでしょ?それが嬉しくてたまらないの」
意識していた訳じゃないけど、結果的に最良の選択をしていたようだ。
それにしてもさっきアリスは"エルフ族らしい"と言っていた。
なぜそんな曖昧な言い方をしたんだろう。
もしかして、と僕は一つの可能が頭に浮かんだ。
「あの……、一つお聞きしてもいいですか?」
「ん?」
「もしかして、記憶がないんですか?」
僕の質問に今まで見たことが無い心細げな眼差しで見つめてくる。
やっぱり聞かなければ良かったと思っても、もう遅い。
アリスは少しの物音でも消えてしまいそうな声で呟いた。
「……グリムの言う通り、私には記憶が無い。アリスって名前も本当の名前じゃない。お父さんとお母さんがつけてくれた名前よ」
アリスも僕と同じく宿の前で倒れていた所をレガードさん達に保護されたそうだ。生まれてから保護されるまでの記憶がないアリスを彼らは実の娘以上に育ててくれたらしい。
レガードさん達に出会えたことは、僕だけでなく彼女にとっても幸運だったのだろう。
もし、レガードさん達よりも先に昼間のごろつきのような連中と出会っていたら、アリスの人生は最悪なものになっていた筈だ。おそらく、奴隷として売られ非人道的な扱いを受けるか、性奴隷にされていたかもしれない。
考えるだけで怒りがフツフツと湧き上がる。
マグカップを持つ手に力が込められると、横から頬を突っつかれた。
「グリム、顔が怖いよ」
「あ、すみません」
「どうかしたの?」
「何でもありません。気にしないでください」
怒りを鎮めるためにホットミルクを飲めば、気分が落ち着いてくる。
本当に甘い物は気持ちを和ませてくれますね。
「その、記憶の方はまだ戻ってないんですか?」
「今も戻ってないよ。だから私がエルフ族だって言われてもピンと来なくて。……時々不安になるの。エルフ族ならどうしてここにいるんだろうとか。何か悪いことをしてエルフ族を追放されたんじゃないかって。何も覚えてないからこそ怖い。
どうして記憶が無いのか、どうしてここにいるのか知りたい。でも、知る勇気もないんだよね。もし、本当に罪を犯していたら、その罪に耐えられるか分からないから」
切々と語る一言一言が胸に刺さってくる。
記憶がない状態がどんなものかは想像できないけど、常に不安や恐怖を心に宿している筈だ。
「話してくれてありがとうございます」
「こっちこそ、聞いてくれてありがとう。話しを聞いてもらったら心が軽くなったよ」
どこかのびのびした笑顔でアリスが僕を見る。
そしてグンッと背伸びをすると残りホットミルクを飲み干した。
「ごちそうさま。美味しかった」
アリスはカップを机の上に置くとクッションを枕にしてソファに横になる。
隣に僕がいるのを分かっているんでしょうか。狭いですよ。
けど、幸せそうに身体を丸くして目を閉じる姿を見たら、何も言えなくなって結局そのままにした。
「眠くなってきちゃった」
「寝るなら部屋で寝てください」
「……部屋まで戻るのめんどくさいからこのままでいいや」
「こんな所で寝たら風邪をひきますよ。カップは片づけておきますから部屋に戻ってください」
「ん~……」
目を開けたアリスがチラチラと期待を込めた視線を送ってくる。
やれやれと肩を竦めた後、僕は彼女の手を引いて
「どっこいしょ」
と、年寄りくさい掛け声と共にアリスの身体を肩に担いだ。重い。
「ええっ!ここはお姫様抱っこの流れでしょ!」
後ろから抗議の声が聞こえるけど、運んでもらえるだけありがたく思って欲しいです。
いつもの僕なら騒がれた時点で床に落としますが、今日は我が儘な要求を呑んであげようと思い立った。
少なからず、さっきの話しで、彼女の境遇を憐れんでいるのかもしれない。
優しく下ろしてあげると、アリスはさっきよりも期待した目で僕を見てくる。
今日の気まぐれな優しさで調子に乗らなければいいんですけど。
「今日だけですよ」
「やった」
さっきまで起き上がることすらめんどくさそうだったのに、僕の首に腕を回すや否や軽やかに飛び乗ってくる。やっぱり重い。
落とさないように両腕でしっかり支えてあげながら、僕達はリビングを出た。
途中でレガードさんやコレットさんに遭遇したらどう説明しようかと考えていたが、誰とも会うことも無く目的の部屋に着く。
「アリス、着きましたよ」
「え~……もう着いたの」
力のない声から、どうやら運ぶ少しの間に寝ていたようです。
全く。レガードさん達に遭遇したらと思って、気が気でなかった僕の気持ちは知らないで呑気でいいですね。
下ろそうと腕の力を緩めると、逆に首に回っていた腕に力が込められる。
そしてアリスは目を閉じながら
「ベットまで」
と、リクエスト。
ここまで来たら最後まで付き合ってあげますか。
ドアを開けて、アリスを抱えたまま身体を横向きにしてドア枠をすり抜け、暗い部屋に入る。物にぶつからないようにアリスをベットの上に下ろせば、首に回っていた腕も解かれる。
「ありがとう、グリム」
「本当に今日だけですからね」
「ふふふ……」
何ですかその含み笑い。と、問い質したくてもアリスはすぐにスヤスヤと眠ってしまう。
こうなると、さすがにムカついてくる。
何か悪戯でもしてやろうかと企んでいると、暗闇に慣れた目が無防備に眠るアリスの艶やかな肌を捕える。
ニヤッと口角を上げて覆いかぶさるように両手をつくと、白い肌に自分の唇をつけた。
「ぅん……」
眠るアリスの口から可愛らしい声が漏れるものの、起きはしない。
目が覚めないように気を配りながら作業を進めていく。そして、唇を離せば白い肌にくっきりと赤い印が付いていた。赤い印はいわゆるキスマークと言うもので。それは服では隠せない所にあって、他人じゃないとつけられない位置にある。
明日一日恥ずかしい思いをすればいいんですよ。
ほくそ笑みながら半身を起こす。すると、さっきまでくっきりと浮き出ていた赤い印が、ほんの数秒の内に跡形もなく消えてしまった。
「何で……」
もう一度、同じところに赤い印をつけるが、さっきと同じように消えてしまう。
エルフ族の力なのかは分からないけど、どうやら彼女は普通の人間よりも治癒力が高いらしい。
キスマークがすぐに消えてしまうんじゃ、この悪戯は失敗ですね。
他にも顔に落書きでもしようかとか、色々な悪戯を考えていたが、次第にアリスの寝顔に感化されたのか瞼が重くなってくる。
「今日のところは許してあげましょう。おやすみなさい。良い夢を見てくださいね」
背を向けてアリスの部屋を出た後、僕は置きっ放しにしていたマグカップを洗ってから、自室に戻って眠りについた。
最後まで閲覧ありがとうございます。
次話の投稿は今回よりも早めに出来るようにしたいと思っています。
これからもよろしくお願いします。