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夕食のひと時と放送大学

淡々

たんたん

たんたんたん


峯崎ミドリは淡々とした人間だ。


セミロングのやや茶色い髪を無造作に頭の後ろで束ねている。中肉中背。身長160センチ。30歳。凡庸な顔立ちで、美人でも不細工でもない。


たんたんたん


どこにでもいる普通の人間、ミドリ自身はそう思っている。


"キャベツを切るのは好きだ"


たんたん、たんたん。


夕飯時、会社帰りにスーパーに寄って気に入ったものを買って帰る。

スーパーは駅前、住んでいるワンルームのアパートは古いが駅に近い。

水周りはきちんとリフォームされていて、2年住んでいて、今の環境に満足している。


大して贅沢できるわけではないが、自分の好きなものに囲まれて、自分で選択している。

それが楽しい。


夕暮れ時の光が差し込む西向きの窓からキッチンにオレンジ色に染まって行く。そういう光景を眺めながら夕飯を作るひと時が、ミドリは好きだ。


かしゃかしゃ


これでもか、というぐらい育っているローズマリーのプランターに米の研ぎ汁をやる。


6月の蒸し暑い天気をもろともせずに植物は育つ。

濃くて強いローズマリーの匂いを漂わせて。


ネイルなどされていない、短く切った指。ハサミを持って、ローズマリーを少し切る。


鶏もも肉と一緒に焼く。

1年前に思い切って購入したデロンギの電気オーブンで焼くと何でも美味しいのだ。


ぱちん、ぱちん。


作り置きしている人参のロースト

キャベツと八角のスープ

白いご飯

鶏もも肉をハーブと一緒にローストしたもの


簡単な夕食。

そんなにたくさんの量を食べなくてもよい事が分かってきてから、食事の量は減った。



ラジオを聴きながら一人食べる。

なんとなく一人暮らしを始める時にテレビを買わず、そこからラジオ派になった。

最近は放送大学のラジオ放送を聴くのを気に入っている。

ランダムに組まれている講座の内容を聞いていると、自分が興味がなかった分野についても、興味深い内容だったりするから、面白い。


西洋音楽の歴史、という講座があって何気なく聞いていたが、

現在私たちが聞いているクラシックというものは、西洋音楽のここ200年ぐらいの音楽であって、

西洋音楽の歴史の中では一部であること、などを聞いて驚いたり。

意外な発見がある。


"面白いな"


シャキッとしたキャベツの歯ごたえを楽しみながらミドリはひとりごちた。

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