94:風雲!サスケ城
まるで滑り台のようになっている円形の通路を滑り降りていく。
「うわあぁぁぁぁぁ――あははははは!」
落ちた当初は何事かと思って怖かったのだけれど、滑っていくうちに慣れてきて次第に楽しくなっていった。
「うっひょー」
終いにはこの喜びっぷりである。
右へ左へ曲がりながら結構長い時間滑っていく。
恐怖から快楽へと見事に混乱の変遷を辿っていたけど、あまりにもの距離を滑るから今度は頭が冷えてきた。
「これ、どこまで続くんだ?」
さすがにそろそろ終わってくれないと、楽しさを終えてまた恐怖がやってくる。
そう思い始めた頃、ようやくその滑り台は終わりを迎えた。
「っとぉ!」
勢いよく穴から部屋へ飛び出て、そのままゴロゴロと床を転げまわる。
「ぐっげっぎゃっぶっがっげふぅ」
何度も身体を床に叩きつけながらも、止まる事ができた。
変な話だけど、昨日イデアに投げ飛ばされまくったのが幸いしたっぽい。
転がりながらも受け身を取りつつ、自然な方向へ力を流せた。
あれがなかったらもっと痛かったかもしれない。
下手したら骨折してたかもしれない。
「これは……イデアに感謝、かな? 微妙に嫌だけど」
気を取り直して立ち上がると、ここは何処かの通路の端っこらしかった。
後ろのほうの壁に1mくらいの穴が開いてるから、おそらくそこから飛び出してきたんだろう。
前方は廊下が続き、10mくらい先でT字路になっている。
さて、どうしたものか。
なんて考えていたら、
「ぴんぽんぱんぽーん」
と間抜けなチャイムが頭の上から鳴り響いた。
ちなみに肉声である。
「まいくてす、まいくてす。ja、問題有リマセン」
どうやらイデアのようだ。
しかし、次に聞こえたのはリリスの声だった。
「はいはぁい、注目ぅ」
本日2度目の注目だ。
「進め前へぇ!」
「目指セ出口!」
「「超巨大迷路ヘクセンケーフィヒ!」」
なんか始まった。
マイク?の後ろでドンドンパフパフ鳴らしているのはイデアだろうか。
真顔でそんなことをしている姿を想像すると面白いというか怖い。
「ルールは簡単よぉ。とりあえずぅ、その迷路を頑張ってクリアしてねぇ」
リリスがその台詞を言い終わった直後、何処か遠くで何かがぶつかる音がして、地面が少し揺れた。
なんなんだ今の?
遠いようで、そこまでの距離じゃないような。
「ちょっとちょっとぉ、アリシアちゃん何してるのよぉ。いきなり壁壊さないでよねぇ」
どうやらアリシアも巻き込まれているらしい。
そして迷路と聞いた瞬間に壁をぶち壊したらしい。
攻略法が豪快すぎる。
「だってもなにもないわよぉ。迷路をそんな方法でクリアしようとしないでちょおだいな。というか、なんで方向分かるのぉ? え? あぁ、そう」
さらに文句を言っているらしい。
後半はなんか呆れ返っていつものエロイ口調じゃなくなってたし。
「ってぇ、狐ちゃんも止めなさい。それはさすがにズルイわよぉ」
あ、やっぱ狐々乃月もいるんだ。
アリシアもいるって分かってから、そんな気はしてたけど。
にしても狐々乃月はどんな方法を使おうとしたんだろう。
まさかアリシアみたいに壁を壊そうとしたわけじゃないだろうけど。
少なくとも正攻法ではないんだろうなぁ。
「あぁ! アリシアちゃんそれはダメよぉ! それやったらもう迷路の意味自体なくなっちゃうじゃない! もうどうして貴女たちは真面目にしようとしないのよぉ」
一体2人は何をしようとしているのか。
急に迷路とやらに放り出された事でリリスに不満を抱きたいんだけど、むしろ逆に可哀想になってきた。
少なくとも自分はまともに迷路を攻略しよう。
何故かそんな風に思ってしまったのだった。




