8:メイドさんが現れた
リリスが出て行ってから数分。
部屋の中を軽く探索し、
まぁ探索といっても本当にベッドと壁しかないので部屋をぐるっと回っただけなんだけど、
早速扉に手をかけた。
扉はとくに抵抗も無く開き、ちょっと安心すると共に拍子抜けした。
本当に出歩いてもいいんだ。ちょっと監禁とかされるんじゃないかって不安もあった。
さて、まずは何処から行こうかな――
「っと!?」
扉を出て右を見て、次に左を見たとき、視界に入ったものに驚き、思わず変な声が出てしまった。
「め、メイドさん?」
そう、それは紛う事なきメイドさんだった。
肩出しだったりミニスカだったりで無駄に露出の激しいメイド服ではなく、
黒を基調とした丈の長いエプロンドレスに袖は手首まで伸び、白い手袋をしている。
そんな地味とも言えるメイド服なのだけど、一部だけ異様に目立つ部分がある。
それは腕の外側に施された羽のような装飾だった。
そこだけがやたらと派手で、全体の地味な雰囲気を吹き飛ばしてしまっている。
「お早う御座います、御主人様」
こちらが羽メイド(勝手に名づけた)との遭遇に目を白黒させていると、向こう側から挨拶をしてきた。
礼の為に下がっていた頭が上がり、ハッキリと目が合う。
大きな緑色の瞳の中に極端に細められた黒目が見え、それが印象的だった。
顔自体は小さく、また整っていて、ふわふわしてウェーブがかった栗色のショートヘアの似合う美少女だ。
どちらかというと幼さの残る顔立ちだけど、服の下で主張している胸はとても子どものものではない。
リリス程ではないけど、これはかなり大きな部類に入るだろう。
というかリリスの胸の大きさが規格外なのだ。
リリスの場合、胸だけじゃなくて尻もか。そのくせウエストはキュッとしているとか、まさに魔女を冠するに相応しいスタイルだ。
あれは男を狂喜させる胸囲もとい驚異の凶器だ。さすが魔女。
ともあれ、目の前の女性は普通に考えたらメリハリのついたナイスなバディをしていた。
美少女でスタイルがよくてメイドとか、反則ですよね。
「あの、御主人様?」
一向に返事をしないことを不振がったのか、メイドさんが改めて声をかけてきた。
「あ、あぁゴメン。ちょっと考え事をしていて。えーと、君は?」