85:検証結果
さて、期せずして検証が進んでしまったわけなんだけども。
それが良かったのか悪かったのかと聞かれたら何とも言えないんだけれども。
自業自得と言えば自業自得だけれども。
自分のせいだし、結果見ようによっては得るものがあった。
とまぁこんな風に考えなければやってられないほどに心が折れかかっていた。
身体のほうはポッキリ折れていた。
骨が、じゃなくて膝が。比喩的な意味で。
まぁなにがあったかと言うと。
「自分、頑丈やなぁ」
失言をかました報いに、狐々乃月にボコボコにされた。
「げ、限度があると思います」
最初は軽く蹴られただけ――後半の攻撃に比べたら軽いと言うだけで、それ単体で見ればかなり強く蹴られた――なんだけど、例の超人的な回復力のためにダメージからの復帰が早かったせいで、狐々乃月が調子に乗った。
調子に乗ったっていうのはあまりよくない表現なんだけど、これでもかというくらいにボロボロになった身なのでこれくらいの悪態は許して欲しい。
「御主人様……おいたわしや」
アリシアは最初のほうこそ心配して止めようとしてくれてたんだけど、傷つくそばから治っていく様を見て安心してしまったらしく、最終的にはあらあらと見てるだけのただの傍観者になっていた。
「とりあえずお着替えですね」
そして一通り悲しむポーズを見せると、せっせとお仕事へと姿勢を移していった。
なおアリシアの行動からも分かると思うけど、着替えが必要なくらいにはボコボコのボロボロにされている。
「にしても、結構回復すんねんな」
「狐々乃月……途中から楽しんでただろ」
最初は確かに怒りのままどつきまわしたって感じだったんだけど、途中から明らかに楽しんでる様子が見受けられた。
「そんなことないって。ウチがそんな酷いことするわけないやーん」
かるっ!
明らかに嘘と分かる口調は、隠すつもりがないことを言葉以上に雄弁に語っていた。
「まぁまぁ、おかげでそれなりに把握できたんちゃう? 自分の能力の幅」
「いや、そうだけど。それを狐々乃月が言っちゃいけないだろ」
もはや開き直りにも等しい台詞に肩が落ちる。
「ま、乙女の心を傷つけた報いは大きいっちゅーことやな」
人を散々殴ってスッキリしたのか、狐々乃月はさっきのことは本当にもう気にしてはいないようだ。
こんだけ殴られてまだ根に持たれてもたまったもんじゃないけど。
「アリシアも似たようなこと言ったのになぁ」
聞こえないようにポツリと呟く。
いや、分かってる。
同性と異性じゃ同じこと言っても受け入れられ方は違うし、ましてやアリシアと狐々乃月は端から見てもかなり仲良しだ。軽口なんてなんでもないくらいには。
「御主人様、いつまでも地べたに寝てないで立って下さい。着替えましょう」
微妙に酷い言い草に少し傷つきながら立ち上がる。
しかし、本当に回復力凄いな。
打撲と火傷まみれだった身体がもう傷一つない。
何故やけどがあったのかというと、狐々乃月が途中から拳に焔を纏って殴ってきたからだ。
格闘ゲームか!
燃えてる物で殴られると本当にキツイ。
熱いわ痛いわ焼けるわ。
もう二度と食らいたくない。
つまり狐々乃月に妙は事は言わないでおこう。
主に胸のことについて。
貧乳はいいと思うんだけど、本人は気にしてるみたいだしね。
「じゃあ着替えるから、ほら出て出て」
「えー」
「えーじゃありません。ほらほら」
「では着替えたら声かけてくださいね」
とりあえず、2人を追い出して着替えをサッサと済ませた。




