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Hollow cathedral  作者: 林檎亭
第1章 目覚め
78/159

77:お風呂はランチのあとで

「アンタなんか汗臭くない?」


 そう狐々乃月が指摘したのは、食事も片付けも終わって一服していたときのことだ。


「え、本当に?」


 自分の体の匂いを嗅いでみるも、よく分からない。

 自分の匂いなんて自分では分からないものだ。ましてや、運動したあとに汗を拭いて着替えていたら余計に。


「アリシア分かる?」


「私には御主人様の香りは全てアロマのようなものですので、汗臭いとは感じませんでした」


「何言ってんの?」


 聞く人を間違えた。

 改めて狐々乃月を見ると、憐れむような目つきで頷かれた。


「ウチは鼻効くほうやしな。なんや運動でもしたんか?」


「うん、さっきちょっとね」


 イデアに散々投げ飛ばされました、とは恥ずかしくて言えなかった。


「そーか。まぁ言うても臭うっちゅーほどちゃうから気にせんでええと思うけど」


「でもさすがに汗の臭いがするって言われたら気になるんだけど」


「確かにそうやな」


 どうしたものか。またアリシアに濡れタオルでも用意してもらおうか、そう考えたとき、


「では、お風呂に行きましょう!」


 アリシアが声高に提案した。


「え、お風呂とかあるの?」


「そらあるわ。アンタ入ったことなかった……そういえばまだ目ぇ覚めて2日目やっけ。なんやもっと時間経ってるような気ぃしてたわ。具体的には1ヶ月くらい」


「なんで1ヶ月?」


「さあ? ウチも分からんけど、初登場からそれくらい経ってる気がしてん」


 ふーむ、謎だ。

 まぁそれはいいとして。


「お風呂あるなら入りたいな。確かに汗はかいたから流したいし」


「かしこまりました。では、ご用意いたしますのでお茶を飲みつつ暫しお待ち下さい」


「うん、分かった」


「風呂か、ウチもついでやし入ろかな」


「えっ?」


 まさか一緒に!?


「なんやのその反応? あ、ちゃうで! 風呂は別やしな! 何考えとんねん! まだ早いわ!」


「え、早い?」


「だーっ、うっさい! とりあえず、ウチも入るねん! それで終わりや!」


「あー、うん」


 なんか凄い剣幕で怒られてしまった。

 軽い冗談のつもりだったのに。


「ではココノツの着替えも用意しましょう」


 アリシアはそう言いながらもテキパキと用意を進めていく。

 口調はのんびりなのに、身体はすばやく動いてるって凄い違和感あるな。


「さあ準備は完了です。参りましょう」


「って、速っ」


 のんびりお茶を飲んでる暇もなかった。


「自分、ウチとコイツの分しか用意してへんやん」


「え、御主人様とココノツが入るんでしょう?」


「何言うてんねん。アリシアも入るに決まってるやん」


「いえいえいえ、私はいいです。遠慮しておきます」


「なんでやな。たまには一緒に入ろーや」


「しかし、私はメイドですから」


「いや、いいんじゃないかな。2人で一緒に入りなよ。こっちはさすがに1人で入るから」


 と言うかもしかしてこっちに入ってくるつもりだったんだろうか。

 それは困る。色んな意味で困る。

 これは是非とも女性2人で入ってもらわねば。

 2人からの同時攻撃の効果か、


「御主人様がそう仰られるのであれば……」


 アリシアが渋々ながらに了承の返事をした。


「んじゃ決まりやな。風呂いこかー」


「おー」


「分かりました」


 こうして3人は一路、お風呂を目指すのであった。

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