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Hollow cathedral  作者: 林檎亭
第1章 目覚め
73/159

72:君がメイドで下僕が俺で

 それは、イデアが女の子だったってことだった。

 胸だけじゃない。女性の体というものは全体的に柔らかいのだ。

 密着するたびに柔らかな感触が肩に手に背中に当たる。

 細身に見えていたのにこんなに柔らかいなんて、女性の身体というのは一体どうなっているのか!

 ちょっと人を生み出した神様とやらに、その神秘の業について小1時間問い詰めたい。

 あと称賛したい。小1日ほど。


「――って、痛たたたたた!」


 そんな風に心地よい感触を満喫していると、急に足に痛みが走った。


「不埒ナ事ヲ考エタ罰デス」


 見ると、イデアが限界以上に足の筋を伸ばそうと引っ張っていた。


「え、なんで分かっ――あ」


 失言だと気付いたのは、ほぼ台詞を言い切ってからだった。


「矢張リ図星デシタカ。ダラシナイ顔ヲシテイタノデ直グニ判リマシタヨ」


 ぐっ、表情に出ていたのか。

 でも、記憶がないせいか女性になんて全く免疫がないのだから勘弁して欲しい。


「マァ、此ノ位デ良イデショウ」


 散々引っ張ったあと、イデアはなんでもない顔をして手を離し立ち上がった。


「ホラ立ッテ下サイ」


「うぅ、イデアさんマジドS……」


「何カ言イマシタカ?」


「いえ、言ってないです」


 泣く泣く立ち上がる。

 なんか完全に力関係出来上がってない、これ?


「取リ合エズ、適当ニ攻撃シテキテ下サイ」


「え、適当にって? なんかこう、型とか教えてくれるんじゃないの?」


 格闘の練習って言うから、てっきり型を覚えて反復練習みたいにするのかと思ったんだけど。


「其レハ追々シマスガ、今ハ貴方ガドレ位動ケルノカ確認ヲシタイノデス」


 なるほど、運動が出来るか出来ないか。

 自分の身体をどれくらい自由に操れるか。

 それの差だけでも、指導する内容は随分変わってくる。

 仮に、全く運動が出来ないし、筋力もまるで足りてないようなら基礎体力をつけるところから始めるだろうし、ある程度体力があるならすぐに型などの訓練に入っていくことも出来る。

 でも、1年近く寝たきりだった身だし、基礎体力なんて皆無だと思うんだけど、その辺はむしろリリス――医者側の人間であるイデアのほうが分かってるだろうから、こっちで気にすることでもないのかな。


「何ヲごちゃごちゃ考エテイルンデスカ? サッサト来テ下サイ」


「うん、でも――」


 確かにゴチャゴチャ考えたけど、尻込みしている理由は他にある。

 それは単純に女の子に殴りかかることへの抵抗感だ。

 もし殴って怪我したりしたらどうしよう、という。

 これは男子として至極普通の感覚だとは思うんだけど。

 しかしイデアはそんな考えなどお見通しのようで、


「大丈夫デス。好キニ掛カッテ来テ下サイ」


「けど」


「デモモケドモ有リマセン。私ハコウ見エテモ、武芸ニハ通ジテイルノデス。罷リ間違ッテモ、貴方ノ攻撃等当タリマセンカラ」


 うーん、そこまで言うなら大丈夫なのか?

 よし、とりあえず当たっても痛くなさそうな――


「手加減等シヨウモノナラ、逆ニ痛イ目ニ遭ッテ貰イマスカラネ」


 ぐっ、先手を打たれてしまった。

 けど、そういわれたからと言って、やっぱり全力では殴れない。

 程ほどに手加減して、かつ手を抜き過ぎないように行こう。

 そう思って当たっても極力痛くなさそうな肩付近を目掛けて殴りかかった。

 そして、そんな風に考えていたことをすぐ後に後悔する事になった。


「フンッ」


 イデアは鼻で笑いながら、殴りかかってきた手を掴むと、


「え――?」


 何をしたのか。

 視界がぐるりと回ったかと思ったら、背中に強い衝撃を受けた。

 そのせいで息が詰まり、あまりにもの痛みに悶絶するが、息が出来ないために声すら出ない。

 投げて床に叩きつけられたんだと気付いたのは、たっぷり数十秒のたうちまわってからだった。

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