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Hollow cathedral  作者: 林檎亭
第1章 目覚め
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6:自分の在り処

それから、必死に考えてみたけど、当たり前のようにいい名前なんて浮かんではこなかった。

そもそも自分が自分で分からないのに、自分を示す名前を思いつけるわけがない。

いくら唸っても、無い所からは何も出てこない。

そんな姿を見て何を思ったのか知らないが、リリスが声をかけてきた。


「なぁんにも、思いつかないのかしらぁ?」


それは蔑んでいるような哀れんでいるような愉しんでいるような、

あるいは安心しているような、そんな声だった。


「うん、そう、そうですね。何も出てこない」


素直に答えると、リリスは今度はハッキリと嬉しそうに目を細めた。


「そ。なら無理に考えなくてもいいんじゃなぁい?」


「え?」


「別に思いつかないならぁ、無理に考える必要ないもの」


いや、でもアンタが自分で考えろって言ったんじゃ……。


「じゃあ、名前を考えるのはまた今度にしましょうかぁ」


「いいんですか? それで」


「いいもなにも、思いつかないんじゃあどうしようもないものぉ」


「まぁそれはそうですが、他の人につけてもらうとか」


安易な意見だったんだろうか?

リリスはあからさまに不機嫌な顔をすると、吐き捨てるように言った。


「貴方は信用できるかも分からない赤の他人に、名前を、いいえ、自分の形を決定づけられてもいいの? 私はゴメンだわ。付けるのも、付けられるのも」


それは、冷たい一言だった。

けれど、不思議と嫌な感じはしなかった。

その理由は分からなかったけど、何故かその時、リリスは優しい人なんだと思えた。


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