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Hollow cathedral  作者: 林檎亭
第1章 目覚め
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5:先に立つもの

「なら、知ってることだけでいいので教えてくれませんか?」


リリスは値踏みするように目を細め、こちらを見ている。


「んー、例えばどんなことぉ?」


こちらの質問を聞くつもりはあるみたいだ。

まずは、何を聞こうか?

やはり、基本的なことからかな。


「自分の名前も思い出せないんです。それを教えて欲しい」


「名前、ねぇ……」


リリスは先程までと比べると、少し真剣な表情で考えると。


「それも知らなぁい。せっかくだから、自分で新しくつけてみたらぁ?」


ん? なんだろう? これも絶対嘘なんだと思うんだけど、からかわれているという感じがしない。

むしろ、優しさ? なんだろうか。

ともかく、これは冗談じゃないんだって事は確かだ。

名前を自分でつけろ、と真剣に言っているんだ。

ただ問題があるとすれば、


「でも、いきなり言われても思いつかないんですけど」


こちらには記憶が一切ないのだから、名前を考えるにしても思いつきにくい。

自分がどういう人間かも分からないのに、名前をつけるというのは少々難しい。


「そもそも、何処の国の人間なんでしょう?」


「んーとねぇ、そういう先入観もなしで考えて見なさいなぁ」


「……それは何か意味があるんですか?」


「んふふー、どうかしらねぇ」


「まぁ、いいです。じゃあ、考えてみますよ」


「うん、がんばってねぇ~」


頑張ってやろうじゃないか。

とは言っても、本当にどうしよう?

もう好き勝手決めてしまえばいいんだろうけど、それが逆に難しい。

選択肢がある中から選ぶのは簡単だけど、自由すぎる範囲で考えるのは相当難しい。

特に名前は大事なものだ。

下手をすれば、いや下手をしなくても、一生自分を表す記号となるのだから。


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