54:診察とプレイ
「何言ってんの? 何言っちゃってんの!?」
「え、ナニって具体的に女の子から言わせたいなんて、御主人様ってば……でも、そんな言葉責めプレイもありです」
ダメだコレ。
追求すればするほど泥沼に入り込んでいくのが分かる。
多少不自然でも強引でも無理矢理でも話題を変えないと!
「そ、そういえばリリスは何しにきたのかな?」
うわー、本当に無理矢理だなぁ。
話術のないこの口が恨めしい。
「ナニってぇ、診察しに来たのよぉ。忘れられがちかもしれないけどぉ、私って医者なのよぉ?」
あぁ忘れてた。
だって医者っぽくないし、そも周りの面子が濃くて、そっちに思考を回してられない。
「分かったところでぇ、上着脱いでねぇ」
いきなり上脱げといわれても抵抗はあるが、担当医の指示なら仕方ない。
それに医療目的なら恥ずかしい気持ちもないので、素直に上着を脱いで次の指示を待つ。
「はぁはぁ」
けど、後ろの人の息遣いが煩いので恥ずかしくなってきた。
この息遣いほとんど耳元で聞こえるんだけど、大丈夫?
怖くて後ろ向けないんだけど、誰か変わりに見てくれないだろうか?
脱いだ上半身に粘りつくような視線を感じる。
「じゃあ始めるわねぇ」
いや、気にしないでおこう。
「はぁはぁ、じゅるり」
無理だ。だって、いまツバ啜ったよ!
「せんせー」
「はぁい、なぁにぃ?」
「診察の前に、後ろの不審者が凄い気になります」
ダメ元で嘆願してみる。
「ふ、不審者!? 一体どこに!?」
アリシアが驚きの声を上げて部屋を見回わす。
いや、君だ君。
「そうねぇ、お仕事の邪魔になるのは困るわねぇ。んー、イデアこれお願ぁい」
リリスは少し考えてから、胸の間から取り出したものをイデアに渡した。
何処にしまってんのさ! え、なに? あそこ収納スペースなの?
思わずまじまじと見てしまう。
しかも、いま渡したものって……。
「ja、畏マリマシタ」
イデアは特に気にする様子もなくそれを受け取り、無音の足取りでアリシアの背後に近付くと。
「むっ、イデアなにをするんでモゴモゴ」
まばたき程の間にアリシアの口を丸いボールのついた帯で塞ぎ、更に黒い布で視界を覆った。とどめに後ろ手に手錠が嵌められる。
「え、ええー」
これってどう見ても……うん、考えないようにしよう。
「んーんー!」
穴の開いたボールにより強制的に口を開いたままにされたアリシアは一生懸命なにかを訴えているけど、まともな言葉になってない。
「さぁ診察を再開しましょうかぁ」
「う、うん」
つっこまない方がいいのかな?
「ぬぶー」
なおもアリシアが唸っている。
視線は気にならなくなったけど、これはこれで凄い気になるな。
でも、また何か言ってもロクな対処法がされる気がしないから、もう我慢するしかないか。集中するんだ、集中。
「はぁい、大きく息を吸ってー吐いてー。また吸ってー吐いてー」
リリスの診察は思いの他まともで、だんだんこちらの気持ちも落ち着いてきた。
「じゅるー」
後ろは気にしない。
「んー、次は後ろねぇ。はぁい、口開けてぇ……」
さすが医者というべきか、やっぱり医者なんだなと思うような慣れた手つきで診察は数分もしないうちに終わった。
「特に問題はないわねぇ。とりあえず今日はこれでいいわぁ。でもこの診察は毎朝やるからぁ、そのつもりでいてねぇ。それとぉ、私の手が空かない時はイデアにやってもらうからよろしくねぇ」
「ん、分かった」
こっちは診てもらっている身だし、拒否するような事でもないし頷く。
今日イデアを連れてきたのは、その時のための顔合わせってところだったのかな。
診察も終わったので後ろを向いてみると、アリシアが相変わらず目と口と手を塞がれた状態で立っていた。
急いで近寄り、まず目隠しを取った。
「大丈夫? アリシア」
「ほふひんはあ」
何言ってんのか分からないな。ギャグボ……口を塞いでいるものも外す。なんでこんなのの名称の記憶とか残ってんだ。
「御主人様……」
アリシアがやたら熱っぽい目で見上げてくる。
「うん、ゴメンね、こんな格好させちゃって」
したのはリリスとイデアだけど、頼んだ責任はこちらにある。
「いえ、御主人様が望まれるのでしたらこんなプレイも」
「あー! リリスー! 手錠の鍵はー!」
アリシアの言葉を遮るために大きな声を出す。
「これよぉ」
リリスは再びおっぱいの間から鍵を取り出し、それをイデアに渡した。
イデアはさっさと手錠を外すと、ここが定位置と言わんばかりにリリスの隣に戻った。
「じゃあ私は行くわねぇ。何か身体の不調とか感じたらぁ私かイデアを呼んでねぇ」
リリスはそう言うと、身を翻してさっさと病室から出て行った。
……。
2人きりになった病室で、一つ気になっていたことをアリシアに訊ねる。
「ねぇアリシア。イデアも昔の関係者なのかな?」
「いえ、イデアは本当にお会いになられたのは初めてのはずです。私もこの病院で初めて会いましたので」
「そっか」
ただ、初めて会った気がしないんだよなぁ。なんでだろ?
「ところで御主人様」
「ん、なに?」
「ちょっと下着が汚れたので変えてきますね」
「何で汚れた!?」
またも爆弾を落としてアリシアも病室から出ていった。
やや長め。かつ下ネタ多めの回です




