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Hollow cathedral  作者: 林檎亭
第1章 目覚め
48/159

47:泥闇の遭遇

「なんか、変な夢見たなぁ」


 内容は覚えてないけれど、妙に引っ掛かりを覚える夢を見た。

 なんでか、と思って頭を捻るも全然思い出せない。


「まぁいっか」


 それ以上頑張っても無駄だと悟り、夢のことは思考の彼方へすっ飛ばす。


「えーと、そんでいま何時だろ?」


 この部屋には時計も窓もないため、時間を知る術がない。


「廊下に時計合ったっけ? もしくは誰かいないかな?」


 眠気はほとんど感じなかったため、二度寝を見送って立ち上がる。

 と、そこで違和感を覚えた。というか確信した。


「ここ、どこ?」


 どうやら相当寝ぼけてたらしい。

 寝ていた場所はベッドではなく床で、部屋ですらなかった。

 廊下のど真ん中だった。


「なんでこんなところで」


 寝ぼけて歩き回った?

 にしても、寝相悪すぎだろう。

 寝相っていうレベルじゃない。夢遊病って言っていいくらいだ。


「とりあえず、部屋に戻ろう」


 寝相のことはリリスに聞こう。

 というか、これリリスの仕業の可能性あるよね。

 彼女なら寝てる間に人を廊下に動かすとか出来そうだ。

 理由は思いつかないけど。

 そんなことを考えながら廊下を歩いていると、少し先に人影が見えた気がした。


「お、誰かいるのかな? おーい」


 いまが夜中かもしれないので、控え目に声をかける。

 しかしその人影は動かない。

 聞こえなかったのかな? そう思って近付いてみる。

 だんたん輪郭がハッキリしてくる。

 その人影はどうやらこちらを向いているようだ。

 なら接近してくるこっちに気付いてもよさそうなものだけど。

 ある程度近付いてから再び声をかけようとして、気付いてしまった。

 その人影の右手に握られたものに。

 正式な固有名詞までは見て取れないけれど、それ全般を表す言葉は頭に浮かぶ。

“刃物”

 まさか急に襲われたりしないよね、と思いながら少し警戒をした瞬間――右手がブレた。

 目の前の空気が裂かれる。


「ひっ」


 右手に注意を払っていたおかげで、咄嗟に身体を逸らすことが出来た。

 もし棒立ちのままなら……そう考えたら背筋に寒いものが走った。


「ちょ、ちょっと何を――」


 何をするんだ、そう言い切る前にそいつは一歩踏み込んできて、もう1度右手を振るった。


「うわっ」


 今度は思い切り後ろに跳んで刃物をよけた。

 2度も切りつけられた。

 1度ならず2度までも。いくら鈍感な身でも分かるし、感じる。

 明確な殺意を。


 やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!


 脳が警鐘を鳴らしている。心臓がうるさくがなり立ててくる。暑くもないのに汗が吹き出る。

 この異常な事態で、なんとか逃げないといけないのは理解出来た。

 けど、背中を向けて走って逃げるのは躊躇われた。

 相手の足のほうが早ければ簡単に背中を刺されるだろう。

 あるいはそうでなくとも、刃物を投げられたらそれだけでお終いだ。

 となると、取れる手段は思い浮かぶだけで3つほど。

 助けを呼ぶか、隙を作ってから逃げるか、


 ――この正体不明の相手を撃退するか。


 妥当なのは助けを呼ぶこと。

 大声を上げれば最低でもリリスは来るだろう。

 また大きな声は相手を怯ませる効果もある。まぁ逆上させる場合もあるけど、殺意ビンビンの相手に逆上もくそもないだろう。

 なら選ぶなら助けを求める、だ。

 しかし、自分で選んだものは信じられないことに、

 この正体不明の相手を撃退する、だった。

  

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