28:急展開
タイトルどおり急展開です。
こっから中二感激増します。
「雨降って地固まる、ねぇ」
アリシアといい感じになっている横から口を挟まれた。
「ちっ」
そして相変わらずあからさまな舌打ち。
「まだ固めてるところなので、オバサンは空気を読んで席を外して下さっても構わないんですよ?」
いま言ってはいけない単語が聞こえたような。
「オバ……えぇとぉ、いまなんて言ったのかなぁ? お姉さんちょぉっと聞こえなかったなぁ」
リリスの頬がひくひくしている。
マジでキレる5秒前。
「はっ、お姉さん? 自分のご年齢忘れたんですか? オ・バ・サ・ン」
「いい度胸ね、小娘」
あ、キレた。
先程の殺気とは比べ物にならない殺気が部屋に蔓延する。
ちょ、寒気してきたんですけど!
「お仕置きが必要なようねぇ」
リリスが指を鳴らした瞬間、周囲の景色が一変した。
「えっ!?」
今までいた病室とは違う、ただ広大なだけの白い空間になっていた。
向こうの壁も天井も霞みそうなほど遠い。
その急激な変化にも2人は全く動じた様子がない。
これに驚いているほうが少数派という納得いかない状態になっていた。
え、驚いていいよね? おかしくないよね?
急に場所が、移った? 移った、でいいのかな?
もしくは部屋が広がった?
いや、でも常識的に考えたら幻覚とか夢とかの方が納得できるな。
そんな、魔法とかじゃあるまいし。
けど、夢とか特有の曖昧な感覚がない。
思考も触覚も視覚も聴覚もハッキリしてる。
まぁ記憶もしっかりしてると言えばしてる。
じゃあ、現実ってことでいいのかな?
現実にしては受け入れがたい現象だけど。
そこで再び浮かび上がる単語。
そう、リリスのいう魔女という言葉。
あれは比喩とか通称とかじゃなくて、そのまんま魔法を使う女性だから魔女ってことだったのか?
えぇー、本気で?
その結論でいいの? 間違ってない?
そんな風に現実に請ってる事と自分の中の常識とで葛藤をしていると、さらに目を疑う光景が繰り広げられた。
「来なさいなぁ、小娘。その減らない口を矯正してあげるわぁ」
「そういう物言いがオバサンだって言ってるんですよ」
「それ遺言でいいかしらぁ?」
お互い怒りのボルテージが上がったところで、リリスが後ろに下がると共に唐突に腕を下から上に振るう。
そうすると、その振りに合わせるようにリリスの目の前の地面が四角く切り抜かれたように盛り上がり、かなりの速度でアリシアに迫った。
「えぇ!?」
い、いまのなに?
しかしアリシアは動じることなく身を翻してそれを横に避けると、リリスへと跳んだ。
文字通り跳んだ。
バックステップで距離を取ったリリスとアリシアの間には距離にして5mくらいはあったと思う。
それを助走も無しに、一足で距離を詰めた。
残っている記憶が確かなら、一般的な女性がその場から助走や反動も無しにジャンプしてもせいぜい1m跳べるか跳べないかくらいのはずだ。
いやまぁ、記憶喪失で記憶が確かならとか説得力がないにも程があるけど。
とりあえず、この場では小柄な(胸除く)女の子であるアリシアが5mもの跳躍を見せ、勢いそのままにアリシアへとハイキックを放った。
「スカートでそんなに足上げるなんて、はしたないわよぉ」
リリスがさっきとは逆、左手を上に上げると再び地面が隆起し、ちょうど盾のようになってアリシアの前を塞いだ。
コンクリートを思い切り叩いたような鈍い音が鳴り、アリシアの蹴りが止まる。
「甘いです!」
しかしアリシアは動きを止めずに蹴り足を戻すと、その反動で壁に回し蹴りをぶつけ、壁を粉砕してしまった。
「コンクリって蹴って粉砕できたっけ?」
文字通り粉々になった壁は盾から一転、細かな破片が飛びリリスへと襲い掛かる。
「相変わらずの力押しねぇ」
リリスが手を後方へ振ると、足元の地面が一気に伸び、リリスを安全な場所へと運んでいく。
それをアリシアは逃がすまいと跳んで追いかける。
「そんな簡単に距離は開けさせません!」
下がるリリスへと追撃をどんどん叩き込んでいくアリシア。
「あぁもうしつこいわねぇ」
右から左から壁を起こし攻撃を防ぐが、徐々に追いつかなくなっているのがこっちからでも分かった。
というか、蹴り一発一発で壁をことごとく破壊していくアリシアがちょっと怖い。
もし怒らせたりしたら、あの壁のような目に会うのだろうか?
それを想像したら悪寒が……
とりあえずアリシアは極力怒らせないようにしよう。うん。
そんな事を考えている間についにアリシアの攻撃がリリスの防御を突破した。
「せあぁぁぁぁぁ!」
気合一閃。
ここが勝負どころとばかりに、アリシアの渾身の蹴りが繰り出される。
しかし、
「ざぁんねん」
追い詰められながらもリリスは薄く笑った。
急な戦闘描写ですが別にテコ入れとかではないです。




