16:ピー音仕事しろ
気を取り直して、アリシアにもう1つ質問をぶつけてみる。
「そういえば、もう1つ聞きたいことがあったんだけど、いいかな?」
何度かリリスの話が出た為に思い出したことがある。
「はい、なんなりと……は難しいですが、私にお答えできることならなんでも。あ、スリーサイズは上から88-58-84です」
「それは聞いてないよ!?」
いきなりの爆弾発言に驚きを隠せない。
しかし、88-58-84か。やっぱり大きいな。大してお尻は小さ目か。いいよね小尻。
「やはり私の身体には興味などありませんよね……」
ツッコミに再び落ち込むアリシア。
「いやいや、そんなことないよ! あー、気になるなー! アリシアのこと凄い気になるなー!」
面倒くさいなぁ、この子!
「え、そんな私の身体に興味なんて、御主人様ったらもう……」
そして急に赤くなってモジモジし始めた。
どうしよう、本当に面倒くさい。
「では何をお聞きになりますか? 私の下着の色ですか? 胸の形ですか? あ、まさか性感帯ですか!?」
ちょ、年齢制限かけないといけないようなことさらっと口走った!
「その、それは実際に御主人様が見つけてくださったほうが……」
「探さねぇよ! ちょっと黙ろうか!」
あまりにイラっときてしまったので、思わずキツイ言い方になってしまった。
しかし、アリシアは堪えてないどころか微妙にだらしない顔つきになっていた。
「あぁ、申し訳御座いません! どうぞ、出来の悪いメイドめにお仕置きを!」
さらにヒートアップ。
なんなのこの変態さん。病み上がりの身には余りに厳しいんですけど。
もうアップとダウンのスイッチがどこにあるかサッパリ分からない。情緒不安定にも程がある。
丁度ここは病院なんだから診てもらったほうがいいのではないだろうか?
今度リリスに会ったら相談してみよう。
「と、とりあえずお仕置きとかスリーサイズは残念だけどまたの機会に置いといて、質問いいかな?」
無碍に断るとまた面倒くさいことになりそうなので、遠まわしに拒否して話を進行を試みる。
「はい、焦らしプレイですね。アリシアは御主人様のご要望ならなんでも来いです」
あさっての方向に解釈がされたようだけど、ここは変に切り返さないでおこう。
話が進まない。
「えーと、聞きたいことっでいうのは、名前のことなんだ」
「お名前ですか? それは御主人様のですよね?」
「そうだよ。記憶を失ってしまっているのは知っていると思うけど」
「はい、存じております」
「うん、それでね、その失った記憶の中に自分の名前も含まれるんだ」
「なるほど」
「だから、もしアリシアが知っているのなら、教えて欲しいんだ」
その質問に、アリシアは少し考えた素振りを見せると、目を真っ直ぐに向けてこう答えた。
「残念ですが、お名前は絶対にお教えできません」
それは、完全なる拒否だった。




