14:深淵を覗くもの
「やけに大きなブーツだよね」
ベッドからぶら下がっている足を包んでいるブーツは、彼女に不釣合いなくらい大きかった。
アリシアは立っていると身長160cm後半はありそうなんだけど、身長に反して肩幅や腰周りは驚くほど小さい。
おそらくブーツで10cm以上は底上げされているだろう。
多分、実際の身長は150cm中ほどじゃないだろうか。
胸は大きいが、それでもアリシアは小柄な部類に入る体格をしていた。
「あ、これですか」
アリシアはブーツを見せるように、足を高く上げる。
その際、スカートの中に目が向いたのは仕方がないことだと思う。
無意識に向くものなのだ。男なら誰もがそうだと思う。
決して見たいわけじゃなくても、反射的に見てしまう。
それが美少女ならなおのこと。
もはや本能に刻まれた反応と言っても差し支えないはずだ。
スカートの中は隠されし禁断の聖域なのだ。
隠されたものは人を惹きつける。隠されれば隠されるほど、真実を見たくなる。
冒険家は秘匿された神秘を知る為に、未開の遺跡へ入るのだ。
科学者は現象に内包された不可思議を解き明かす為に、真理を求めるのだ。
先駆者は未だ見ぬ景色をその目に刻む為に、未知を切り開くのだ。
好奇心こそが人類を発展させ、知識欲こそが人類を進化しむるのだ。
故に、未踏の地(スカートの中)へ興味が注がれるのは無理からぬことなのだ。
むしろ、人として当然の行動といえよう。
などとスカートの中を覗き見ようとしている自分を全力で自己弁護していると、
「あの、御主人様?」
微動だにしないのを不審に思ったのか、アリシアがおずおずと声をかけてきた。
「あ、ああゴメン。どうしたの?」
どうしたのじゃねぇよ。
自分でそうツッコミながら、アリシアの反応を待つ。
「いえ、御主人様が難しい顔をして黙りこくってしまわれたので、どうしたのかと。あ、もしや何か失礼をしてしまったのでしょうか?」
なんと、スカートの中について考えをめぐらしていることで、むしろアリシアに不安をいだかせてしまうとは。
完全にこっちが悪いのに!
なんなら「えっち!」とか言って殴られても仕方ないのレベル。
「いや、なんでもないよ。やっぱブーツ大きいなーと思ってただけだよ、気にしないで」
我ながら言い訳が酷い。
けれど、アリシアはそれで納得したようで安心した表情になっていた。
この子ちょろいな、大丈夫か?
ちなみにスカートの中はドロワーズでした。




