11:ナイチチ
なんでもないような話――僕と狐々乃月だと読んだ本の感想くらいしか話題がないんだけど、それについてダラダラと話しながら歩いて行き、かれこれ何十分か経った。
正確な時間がわからないのは時計がないから。
狐々乃月に聞けばそれなりに精度の高い答えが返ってくるとは思う――野生の勘だ働くとか何とか、それもう妖怪とか半獣っていうか完全に動物だよね、とツッコミを入れたくなったのはいい思い出。
もちろん実際に声に出してツッコミはしてない。
してたら多分焼かれてた。
比喩とか日焼けとかじゃなくて、文字通りこんがりと。小麦肌を通り越して炭化する感じ。チョコレート色。
「なんか自分、失礼なこと考えてへん?」
会話が途切れたのを不自然に思ったらしい狐々乃月が、僕の顔を下から覗きこんできた。
彼女は身長が低い、まぁ普段から幼女幼女と言ってるから察しはつくと思うけど、かなり低い。
おそらく140cmあるかないかくらいじゃないだろうか。
もちろん体型もそれに合わせた幼児体型をしている。
ロリ巨乳とは行かない。
ペッタンコのつるぺったんだ。
かなりまな板だ。
むしろまな板のほうが膨らんでるんじゃ、という錯覚すら覚える。
最初はリリスとアリシアという2大巨乳と狐々乃月の3人しか僕の周りにいなかったから、それはもう貧乳が目立った。
山、盆地、山みたいな。
そこに貧乳のイデアと微乳のエリザが加わって、むしろナイムネ派の人数が多くなった。
けれど、そこまで言ったものの、やはり狐々乃月のナイムネっぷりは群を抜いている。
イデアとエリザは控えめであるものの、あるかないかで言えば「ある」のである。
1か0なら、1だ。
しかし狐々乃月は「無い」。
全く以て無い。
全く持ってない。
1か0なら間違いなく0だ。
言うなれば狐々乃月は無乳だった。
貧乳ですらない無乳。
「無い乳と書いて無にゅげぶはっ」
考え事をしていたら、顔に硬い何かがめり込んでふっ飛ばされた。
「無乳とか言うな!」
有り体に言うと、狐々乃月に顔を殴られた。
「痛い……」
どうやら狐々乃月の胸を凝視して考え事をしていたら、いつの間にか声に出てしまっていたらしく、それが彼女の癇に障ってグーパンチを貰ったようだ。
「うぅ」
狐々乃月は自分の胸を抑えながら、辛そうに唸っている。
「ちゃうもん。ウチはまだ成長期が来てへんだけやもん。あと500年もしたら母上みたいに…………めっちゃ長い……」
相当に胸が小さいことを気にしていたようだ。
まぁいつも一緒にいるのがアリシアだからなぁ。
けど、狐々乃月はどうやら誤解してるみたいなのでここはしっかりと弁解して置かなければ!
「狐々乃月!」
「な、なんやの!?」
急に大声を出したせいか狐々乃月が驚いている。
だがそんな事には構わずに僕は続ける。
「確かに狐々乃月は胸が小さい。いや、無い」
狐々乃月のこめかみに青筋が浮かぶ。
やばい、殴られる。
いや、怯むな!
「ただ、それが駄目かと問われれば、そんな事は無いと声を大にして言おう」
「無乳なのはあくまで狐々乃月の他に類を見ない個性なのだ」
「オンリーワンだし、ある意味ナンバーワン」
「それに狐々乃月は見た目は幼女とは言っても、長年行きている為か、妙な色気がある」
「見た目ではない、こう内から滲み出るような色気が」
「幼女なのに、円熟した艶っぽさがある」
「ロリであり妖艶でもある」
「相変わらずのハイブリットだ」
「これはむしろ2度美味しい」
「故に狐々乃月は胸がないことにより、普通では持ち得ないような魅了を持っているということになる」
「だから胸の有る無しなんて瑣末な問題だ!」
新しい小説投稿してます。
異世界転生モノ「七界神樹の用心棒」という作品です。
読んでいただけると幸いです。




