11:連れ込み?
「御主人様ぁー!」
アリシアはかなりの勢いで抱きついてきた。
勢いが強すぎて、むしろ押し倒された。
「ちょ、アリシア?」
「あぁ、御主人様御主人様御主人様!」
アリシアは感極まったように自分の身体を押し付けてくる。
ちょ、おおきくてやわらかいふたつの感触が!
それに凄くいいにおいがする!
「アリシア! 落ち着いて! 頼むから!」
本当に頼むから。このままじゃウチのムスコがのっぴきならないことになる!
理性を総動員して、無理矢理アリシアを引き剥がす。
昔いったい何があったのか、この子の好感度が半端じゃない。
美少女メイドに好かれてるんだから、このまま他の人にはお見せできないような事までやっちゃいたくなる。
でもさすがに記憶を失って目が覚めて目の前にいた女の子にほいほいと欲情するのはどうかと思う。
自分がどんな人間だったのかは分からないけど、こればっかりは不味いだろう。
引き剥がされたことで落ち着きを取り戻したのか、アリシアは再び抱きついて来る事はなかった。
「申し訳御座いません、御主人様。つい嬉しさに我を忘れてしまい」
うん、完全に忘れてたね。
「いやいいよ、正気に戻ってくれたのなら」
その場で立ち上がると、いまだ座ったままのアリシアに手を伸ばした。
「ほら、立てるかい?」
しかしアリシアはその手を取ることなく、俯いてしまった。
「いえ、それが腰が抜けてしまい立てそうにありません」
ええー、なにがどうして腰が抜けるのさ。
「そ、そう。それは困ったな」
どうしようかな、と顔を上げると、目の前には自分の病室。
「じゃあとりあえず部屋で休もうか」
部屋の中には何もないけど、ベッドくらいはある。
休むだけなら十分だ。
もしかしたら、さっきは気付かなかったけどナースコールもあるかもしれない。
もしあれば誰か呼んで介抱してもらおう。
「へ、部屋でっ休むっ!?」
何故かアリシアが驚いたような声を上げた。
「う、うん。他に休めそうな所ないからね。じゃあちょっとジッとしててね」
なんで驚いたのか疑問だったけど、それは置いとくとして、アリシアを抱き上げた。
比較的簡単に抱き上げられたことで、自分は思ったより力があるんだと気付いた。
昔はスポーツかなんかしてたのかな?
「そ、そんな御主人様、私ごときのためにお手を煩わせないで下さい! 部屋には這って入りますから!」
「いやいやいや、それはさすがにダメでしょ!?」
そんなの見せられるこっちの身にもなってくれ。
暴れるアリシアを無視して、病室のベッドまで連れて行き、そっと寝かせた。
ちなみに病室に入る際、扉のところにネームプレートがないか期待したけど、なにもなかった。




