106:迷宮踏破
その後は数学・歴史・理科と問題が続き、また知能クイズがきて国語英語という並びの出題がなされた。
どうもこのパターンを繰り返していっているようだ。
そして問題が1週するごとに難易度が上がっていった。
3週目ではもう普通に学校に通うだけでは分からない程になっていった。
背戻とか読めないからね、普通。
それでも、知能クイズなんかは何とか正解できた。
ただ、アリシアがやたら英語と理科に強く、狐々乃月は国語と歴史を全て秒殺していった。数学の3週目は時間切れで誰も答えられないってなったけど。
そうして計18問が消化された。
「ココマデ貴方ガ50P。ありしあガ50P。狐々乃月ガ60Pトナッテイマス。ソシテ、次ガ最終問題デス。最終問題ニ正解スルト20P入リマス」
「それじゃあ、答えた人の勝ちってことになるの?」
「ja。点差ガ最大10Pナノデソウナリマス」
「それ、今までの問題の意味なくならへん?」
「其レハ点差ヲ広ゲラレナカッタノガ悪イノデス」
「そう言われると言い返せへんな」
「なんにせよ、答えればいいのです。むしろ分かりやすくていいじゃないですか」
「そうだね」「そやな」
3人はそれぞれ納得して、次の問いに備えた。
「其レデハ、最終問題デス」
ゴクリと大きく唾を飲み込む。
最終問題、一体どんな問題が出るのか。
パターン通りなら理科だ。
けれど最終ってことで分けてあるのなら、前出のジャンルとは違う問題が出題される可能性も考えられる。
なら、どんなジャンルの問題になるのか。
3人が集中を高める中、イデアの問題文を読み上げる声が天井から発せられる。
「地球ノ周囲ヲ回ッテイル、直径約3400きろノ衛星ヲ――」
イデアが問題文を読み上げきる前にアリシアがボタンを叩いた。
よっぽど力が入ったのか、またすさまじい音がした。
ただ最初より頑丈に作り直されていたのか、今度は壊れたりはしなかったけど。
「月!」
そして正解であろう解答を口にした。
まぁあそこまで言ったら月だよね。
これで勝負は決した、と思った瞬間、不正解を告げるSEが室内に鳴り響いた。
「不正解デス」
「え!?」
「マダ問題文ハ終ワッテイマセン。続キヲ読ミマス。直径約3400きろノ衛星ヲ月ト言イマスガ」
「くっ」
○○と言いますが、はクイズの引っかけとしてよくある手法だ。
今までそんな問題はなかっただけに、油断していた。
そしてアリシアは見事に引っ掛かった。
とは言ってもお手つきは問題1問につき2回まで認められている。
致命的な失敗とはまだ言えない。
「月ノ裏側ノ南半球ニ存在スル海ノ名前ヲ何ト呼ブデショウ」
問題文が読み終わっても、少しの間ボタンを押さずに様子見に時間が使われる。
全員さっきみたいな引っ掛けを警戒しているんだろう。
しかし、待っていても問題文が続く様子はない。
これなら早くボタンを押して答えるべきだ。
けれど、ボタンを押すことが出来ない。
なぜなら。
(こ、答えが分からない)
そう、単純に知識不足だった。
いや、そんな月の海の名前なんて知らないって。
そうしているうちに理科が得意なアリシアがボタンを押し、この問題2回目の解答権を得た。
「賢者の海」
「正解デス。ありしあニ20Pガ入リマス。由ッテ、優勝ハありしあデス」
パンパカパーンと何処からとも無くファンファーレが聞こえてきた。
けれど、当のアリシアは浮かない様子で机をじっと見ていた。
「どうかしたの? アリシア」
声をかけると、なんでもないと彼女は大きく手を振った。
その様子は少し不自然で。
それがちょっとだけ心に引っ掛かった。
ともあれ、これで長かった迷路攻略イベントも終了だ。
正直、負けたことの悔しさは全く無く、ようやく解放されることへの安堵ばかりを感じていた。




